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空の上で、はんぶんこ

私は、お腹が空いていた。

アラスカからシアトルに到着するのは午後10時頃だった。

それまで時間は十分あったのだが、シアトルで何か食べられると思って機内食にどうしてもお金を払いたくなかった。



しばらくして、私の右隣に座っていた男性が通路側に座っている私に「トイレに行きたい」と言ったので、席をどいた。

彼は、トイレを済ませると自分の席に戻ってきた。


と、思いきや、何かを思いついたように、「ごめん」といって、再びトイレの方へと行った。



彼は、二つの白い蓋がされたプラスチック容器を持ってきた。

私は、先ほどと同じように、彼が真ん中の席に座れるように、席を立ってスペースを作った。


そして彼は、彼の右隣にいる彼女にその白い容器の一つを手渡そうとする。

しかし、彼女は「食べたくない」といった。


それで、彼は後ろを振り返って私を見た。



「これ食べる?無料だから、食べて。」

と、私にその白い容器を渡したのだった。



そこには温かい機内食が入っていた!!

私のお腹は大喜び!!

私は、後ろに座っている友人とその食事を分け合った。



しかし疑問が残る…。

もし、機内食が有料であれば、なぜ彼は最初に彼女に食欲があるかと聞かなかったのか。

もし、機内食が無料であれば、なぜキャビンアテンダントは私や友人に機内食を与えなかったのか。


もしかしたら、彼女が嫉妬してしまうから、

あえて彼女に機内食がいるかどうかを聞くというフェイントをして、

空腹の私にその機内食を与える作戦だったのだろうか…



たぶん違う…(笑)






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