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简明扼要ーー「丁寧に生きる」と「自分を愛して生きる」はイコールではなかったのだ

(2011字・この記事を読む所要時間:約5分 ※1分あたり400字で計算)


【简明扼要】

ピンイン:jiǎn míng è yào
意味:ポイントだけをおさえるという意味。

『「丁寧に生きる」と「自分を愛して生きる」はイコールではなかったのだ』

 一人暮らしを始めて、もう10年以上の年月が過ぎようとしている。
 
 この期間を振り返って気付いたのは、生活が随分と「スリム」になったということ。
 持ち物から日々のスケジュールまで、一人暮らし開始当初と比べ、分かりやすいぐらいにシンプルになったことだ。
 
 
 早く親の元を離れてひとり立ちしたいと思っていた頃。
 私だけの「城」に思いを馳せ、ひたすらおしゃれで丁寧な暮らしを夢見ていた。
 
 雑誌をパラパラめくってはインテリアのイメージを考え、
 インターネットで次々と流れてくるモーニングルーティン・ナイトルーティンとやらの動画に心を奪われ、
 いざ自分も一人暮らしすることになったら、このような生活を再現しようと決めたものだ。
 
 
 実際、そのように頑張ってみた。
 
 カントリー風の置物をたくさん飾ったり、
 壁一面に花のスティッカーやお気に入りのポスターを貼ったり、
 便利そうと思った掃除&調理用品や小物入れ、ハイテクでかっこ良さそうな家電などを色々調達した。
 
 
 日々のスケジュールも張り切って計画した。
 
 朝目覚めたら1杯の白湯を飲んで朝日を浴び、15-30分ぐらいの散歩に出かけたら温かいシャワーでゆっくり汗を流し、
 栄養たっぷりな朝食を作って食べ、
 朝活で語学勉強をしてから出勤する。
 
 退勤後はジムで身体を動かし、スーパーで食材を調達したら帰宅して夕食作り。
 食後の片付けが終わったら湯船につかって疲れを落とし、
 趣味の時間を楽しんだら早めに布団に入る。
 
 
 理想な家に、理想なルーティン。
 間違い無く潤った優雅な日々を送れるーー
 
 なんてことを、当時の私は想像していた。
 
 
 いざ実際に暮らしてみて分かった。
 おしゃれなインテリアも、家のあちこちに散りばめられた便利グッズも、ガチガチに決められた日程も、全て全て全て重かった。
 
 抱えきれなかった。
 押し潰されそうになった。

 
 「丁寧な暮らし」は、私に癒しを与えるところか、一種の重荷として私にのしかかっていた。
 
 
 部屋の中が物で溢れかえっていて、探し物が見つからない。
 常用品を入れ物から都度出し入れするのが面倒くさくて、結果置き位置が定まらず出しっぱなしに。
 数回だけ使って放ったらかしにしたハイテク家電にはどんどん埃が被り、
 作業スペースが色んなグッズに占領され、窮屈な環境で勉強や仕事をすることに。
 
 スケジュールもかつかつだ。
 
 所謂「ちゃんとした」朝食を作ろうとするものなら、のんびり散歩や朝シャワーなんてする暇は無い。
 やっと朝の家事が終わったと思ったら、もう出勤時間間近でもはや勉強どころじゃない。
 
 退勤後は疲れ果てて、ジムだのスーパーだのに寄る体力でさえ残っていない日も多く、
 その上に湯船を拭いたりしてまでお風呂に浸かりたいなんて、そんな気力はちっとも湧かない。
 
 
 気付けばクタクタに疲弊していた。
 
 精神がどんどん擦り減っていき、体力が奪われた。
 「丁寧な暮らし」に。

 
 不自然に理想を追い求めてしまった結果、それがかえって一種のセルフネグレクトとなってしまった。
 
 
 あれから私がしたこと。
 
 それは「削る」作業だった。
 
 
 必需品以外のものはとにかく捨て、譲り、売り、最大限減らした。
 目に入って来る情報量が多いと脳内で雑音と化する為、作業スペースはたっぷり取り、がらんとした空間を作った。
 且つ埃を被る為だけに物を買うのは掃除の難易度を上げるようなものなので、確実に使う物品以外は一切購入を控えた。
 一時的に不要なものがあれば、出しっぱなしにせず棚の中に収納した。
 
 洒落こいたモーニングルーティンもナイトルーティンもいらない。
 
 朝は起きる、支度する、ご飯食べる。これらが出来ればオッケー。
 これをベースに追加する朝活は一種類のみーー勉強するなら運動は無し、運動をするなら勉強は無し、だ。
 朝ごはんも、お腹いっぱい食べることが出来れば良し。加えて野菜、または果物もあればなお可。
 
 夜はご飯を食べ、シャワーをしたら寝る。
 趣味に取り掛かるのは余力がある日のみに限り、平日は特に次の日の仕事を考え、体力温存を最優先事項にすること。
 
 とにかく簡潔に、無理なく日々を過ごすよう心掛けた。
 
 
 なんやかんやで色々削っていたら、ほぼ機能性しか重視していないスッキリとしたレイアウトの部屋と、
 最短距離で一日を終えられる超シンプルなスケジュールが出来上がった。
 
 大満足である。
 「丁寧な暮らし」をしていた時より、断然生きている心地がした。
 
 「丁寧に生きる」ことと「自分を愛して生きる」ことはイコールではなかったのだ。
 メディアやSNSに振り回され、サイズが合わない生活スタイルに自分を無理矢理はめ込むより、
 本当の需要を知り、ジャストサイズな必要品が手の届く場所に全て揃っていれば十分なのだ。
 
 
 こだわり抜いて洗練し尽くした私だけの生活スタイル。
 
 そんな「自分を愛する暮らし」こそが、私が本来求めるべきものだったのだ。

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