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言語学 ガリレオ

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言語学版 ガリレオ 特別編

言語学版 ガリレオ 特別編

比較級 Xの献身
ネットでいくらでも情報を得られる時代に、「調べる」とはどういうことなのだろう?

この問いに向き合っているのが、この ↓ 本である。

その中で、哲学者の萱野稔人さんは「知性の本質は、アウトプットに宿る」としている。

調べた情報をもとに、自分の考えをまとめあげ言語化することが重要との指摘である。

しかし、言葉の方は言語化しないことが多い。
しかも、その「隠された」部分が言

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言語学版 ガリレオ φ

言語学版 ガリレオ φ

第0章 操縦る(あやつる)言葉 「エピソードゼロ」

ナイツの漫才は文字にしてもおもしろい。

たとえば、「漢字が全然読めなくなる漫才」の出だしは、こんな ↓ 感じ。

ことばをうまく操って笑いを生み出している。

その中でも「どうでもいい情報ばっかりのスポーツニュース」は、言語学的にもおもしろい。

ここでは「石川選手結婚!」ではなく、「一般女性結婚!」としているところが笑いのツボとなっている。

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言語学版 ガリレオ ch. 10

言語学版 ガリレオ ch. 10

第10章 とどまれない言葉

今回も 『鴻上尚史のもっとほがらか人生相談』をとりあげる。
ちなみに、帯はこんな ↓ 感じ。

いろんな相談の中に「学校の校則」に関するものがある。

この相談に対して、校則は「手段」であるはずなのに、校則を守ることが「目的」となってしまっていると指摘している。

その上で、「昔からある、与えられたシステムを続けよう」という「所与性」に着目しいている。

この「所与

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言語学版 ガリレオ ch.9

言語学版 ガリレオ ch.9

第9章 わけがある言葉
「人間は計算式のように美しくはない」

そのため、人の悩みも千差万別である。
この「一筋縄ではいかない」人の悩みに向き合っているのが、この ↓ 本。

その中に、「好きなものが決められない」という大学生の質問がある。

この質問に対して、鴻上さんはいろんな角度から具体的に答えている。
その1つに「受け身のポジティブ」がある。

ここでのポイントは、「理由があるから選ぶので

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言語学版 ガリレオ ch.8

言語学版 ガリレオ ch.8

第8章 ぼかす言語
こんなカッコいい不良じいさんになりたい。

そう思わせてくれる対談集が、この ↓ 本である。

重松さんの含蓄ある言葉も胸に刺さるが、それ以上に鶴見俊輔さんの生きざま、考え方に脱帽しっぱなしである。

その中でも、鶴見さんがアメリカでヘレンケラーに会った話は印象深い。

すでに歴史的偉人のヘレンケラーに、実際に会って話したことがあるというのは、驚きである。

そして、unle

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言語学版 ガリレオ ch.7

言語学版 ガリレオ ch.7

第7章 関わる言葉
ちまたには「わかりやすさ」があふれている。

そのような「わかりやすさ」に警鐘を鳴らしているのが、この ↓ 本。

たしかに、理解を越えているからこそおもしろい。
まさに、「「一気にわかる!」必要なんてない」のである。

この本では、コミュニケーションについても書かれている。

他者との関係がコミュニケーションであるのに、能力として問われている。
これは「関係性の個人化」であ

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言語学版 ガリレオ ch.6

言語学版 ガリレオ ch.6

第6章 言わない言葉
「現象には必ず理由がある」

その原因を求め仮説が立てられる。
そして、検証を重ねた仮説は法則になる。

そのような法則を集めたのが、この ↓ 本。

万有引力のような自然法則ではなく、経験に基づく法則を集めている。

その1つに「パレートの法則 (80対20の法則)」がある。

簡単にいうと「一部が全体に大きな影響を与えている」ということである。

これを英語のスピーキン

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言語学版 ガリレオ ch.5

言語学版 ガリレオ ch.5

第5章 ズレる言葉
『ガリレオ』の湯川准教授は「変人」と言われている。

しかし、「変人」は京大ではむしろ立派な「ホメ言葉」であり、「京大変人講座」なるものまで存在する。それを書籍化したのが、この ↓ 本。

今回取り上げるのは、続編の「科学哲学」の講座。

そこでは、「椅子」と「椅子でないもの」の線引きは難しいことが指摘されている。

つまり、「椅子なのかどうかわからない」というグレーゾーンが

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言語学版 ガリレオ ch.4

言語学版 ガリレオ ch.4

第4章 分けたがる言葉
タイトルだけを見ると言語とは関係ない本のように思えるだろう。

ゴリラ研究の第一人者で京大総長の山極さんと『バカの壁』でおなじみの解剖学者の養老さんの対談である。

この本には言語を考える上で有益な洞察が多い。

とくに、二人とも「本来は違うものを同じカテゴリーに入れる」というのが言葉の特徴であることを指摘している。

たしかに、「イヌ」といってもいろんな犬がいる。

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言語学版 ガリレオ ch.3

言語学版 ガリレオ ch.3

第3章 ネガティビティー・バイアス

「考えるという行為は、人間に与えられた最大の楽しみだ」

しかし、「考えすぎない」ことが大事だと主張している本がある。

この本では、「考えすぎない」ことの重要性をいろんな仮説に基づいて考察している。

その数、45。 どの仮説も「実に興味深い」。
その1つに「ネガティビティー・バイアス」がある。

つまり、「ネガティブな情報ほど注意が向きやすい」ということ

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言語学版 ガリレオ  ch. 2

言語学版 ガリレオ ch. 2

第2章 決められない言語今回も 『世にも奇妙なニッポンのお笑い』をとりあげる。
ちなみに、背表紙はこんな ↓ 感じ。

この中で、「日本人は決めたがる」という指摘がある。

日本の「ツッコミ」を「一本締め」と結び付けている。

「実に面白い」視点である。

たしかに、日本では一本締めのように最後をキメて締めくくることが多い。

しかし、日本語は「決められない言語」なのである。
(『日本語の教科書

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言語学版 ガリレオ  ch.1

言語学版 ガリレオ ch.1

第1章 ~肯定と否定~本を読んでいると、「実に面白い」アイデアに出会うことがある。

そして、そのような面白いアイデアは言語学的な面白さとリンクすることが多い。このコラムでは、あらゆるアイデアを言語学的に分析していく。

人気TVドラマの『ガリレオ』は物理学であるが、これは 『言語学版 ガリレオ』である。

今回、取り上げるのは、この本。

著者のチャド・マーレンさんはオーストラリア人であるが、松

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