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評論

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2023年9月の記事一覧

「糖尿病」の表記変更案はいかなる問題を含むか

昨日、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は糖尿病の通称の候補として、英語名「ダイアベティス」を提案しました[1]。

今回の提案は患者から「糖尿病」という病名が怠惰や不潔といった負の印象に繋がるという意見があり、変更を求める要望があったことに基づく措置ということです[1]。

確かに、病名に否定的な意味合いが含まれ、偏見へと繋がるなら、病名をより適切な表記に変更することは重要です。実際、これまでにも「

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加減乗除から考える第2次岸田第2次改造内閣における「副大臣と政務官に女性の起用なし」の問題点

去る9月15日(金)、政府は副大臣および政務官の人事を閣議決定し、54名の副大臣および政務官のうち、女性の起用はなく、全員が男性となりました。

昨年8月の内閣改造の際には11名の女性が副大臣もしくは政務官に任命されただけに[1]、史上最多に並ぶ5名の女性を入閣させた閣僚人事と対照的な人事となりました。

衆議院においては自民党及び無所属の会に261人中21人、公明党に32人中4人、参議院では自民

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生成型AIによる「球団経営の自動化」が実現する日

去る6月5日(月)、日刊ゲンダイの2023年6月6日号27面に私の連載「メジャーリーグ通信」の第140回「生成型AIによる「球団経営の自動化」が実現する日」が掲載されました[1]。

今回は、生成型人工知能(AI)を大リーグ各球団が日々の経営の中でどのように活用しているかを、最近の事例に即して検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

生成型AIによる

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岸田文雄首相は人事を有効に活かすことが出来たか

本日、内閣改造と自民党役員人事が行われ、第2次岸田文雄改造内閣が発足しました。

今回は閣僚と党役員に女性の起用が進んだことが注目されています。これは、女性の積極的な登用により進歩的な人事であることを強調しようとする岸田文雄首相とその周辺の思惑の表れです。

実際、2001年の小泉純一郎内閣、2014年の第2次安倍晋三改造内閣に並び過去最多の5人の女性閣僚が起用されたことは、「男女共同参画」や「上

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大リーグを悩ませる学生ローン問題

去る7月24日(月)、日刊ゲンダイの2023年7月25日号27面に私の連載「メジャーリーグ通信」の第143回「大リーグを悩ませる学生ローン問題」が掲載されました[1]。

今回は、米国の連邦最高裁判所が学生ローンの返済を一部免除するバイデン政権の政策を違憲と判断したことが大リーグに与える影響について検討しました。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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「ジャニーズ問題」について報道機関が注意すべき点は何か

ジャニー喜多川氏による元所属芸能人らへの性加害問題は、ジャニーズ事務所の経営者の交替という局面を迎えました。

ところで、「ジャニーズ問題」に関する各種の報道を概観すると、今回の出来事を芸能界全体の中でどのように位置付けるかという視点が不足しているように思われます。

もちろん、今回のような出来事は極めて特殊で、多くの芸能事務所は無関係かも知れません。

これに対し、もしそうでない場合はどうなるで

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ジャニーズ事務所の新体制は「ジャニーズ問題」の解決をもたらすか

昨日、ジャニーズ事務所が記者会見を開き、創業者で2019年に逝去したジャニー喜多川氏による元所属芸能人らへの性加害を事務所として初めて認めるとともに、9月5日(火)付で引責辞任した藤島ジュリー景子社長の後任として俳優で歌手の東山紀之氏が就任することを公表しました[1]。

「同族経営からの脱却」は先月の第三者委員会による報告書の中でも強調されていました。

それだけに、藤島ジュリー景子氏の辞任は第

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国民民主党の代表選挙の結果はいかなる意味を持つか

9月2日(土)に行われた国民民主党の代表選挙で現職の玉木雄一郎氏が再選されたことを受け、自民党内では同党の連立政権入りを模索する動きが出ています[1]。

確かに、法案ごとに対応を決め、政権と時に対峙し、時に協力するのが玉木代表の下での国民民主党であっただけに、玉木氏の入閣を含めて連立政権入りが取りざたされるのは無理からぬところです。

また、公明党との関係が円滑さを欠く場面が増えている自民党にと

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発生から100年目に考える関東大震災の現代的な意味

本日、1923(大正12)年9月1日午前11時58分に関東大震災が発生してから100年が経ちました。

大地震とその後の一連の火災などは、世界の災害史上に残る出来事として現在も日本に住む人々にとって大きな意味を持っています。

2011年の東日本大震災を経て、今や「防災」のみの段階から「減災」が重要な役割を担い、「公助」が主体であった時代は「自助」と「共助」とともに多層的な支援のあり方が追及される

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