ジャニーズ事務所の新体制は「ジャニーズ問題」の解決をもたらすか

昨日、ジャニーズ事務所が記者会見を開き、創業者で2019年に逝去したジャニー喜多川氏による元所属芸能人らへの性加害を事務所として初めて認めるとともに、9月5日(火)付で引責辞任した藤島ジュリー景子社長の後任として俳優で歌手の東山紀之氏が就任することを公表しました[1]。

「同族経営からの脱却」は先月の第三者委員会による報告書の中でも強調されていました。

それだけに、藤島ジュリー景子氏の辞任は第三者委員会及び報告書を尊重する態度を示すという意味でも、当然の対応です。

しかし、東山紀之氏が現在のジャニーズ事務所に不可避とされる企業統治の強化を実現するためにどのような取り組みを行えるのかが不透明なのも事実です。

また、藤島ジュリー景子氏がジャニーズ事務所の全ての株式を保有しているものの、現時点でそのすべてもしくは一部を手放す意向が示されていない点も、同社の今後のあり方を考える上で懸念事項の一つなります。

何故なら、歌手や俳優としての力量の高さと経営者としての能力は異なるからで、どれほど東山氏が芸能人として優れた才能を持っているとしても、企業経営の点では十分な経験や知見を有しているか不確かであり、企業としてのジャニーズ事務所が直面するな曲をいかにして乗り切るかが不明だからです。

もちろん、東山氏が既存の経営者の枠組みに留まらず、被害者に対して法的な枠組みにとらわれない補填を行うという意向[2]の通りの救済と贖罪を行うこともあり得ます。

その一方で、東山氏は形だけの社長として対外的な情報発信の役割を担うにとどまり、経営の実権は創業家が握ったままということになれば、問題の解決は程遠いと言わねばなりません。

それだけに、今回の記者会見をもって一つの段落が付けられたとせず、今後どのような形で企業統治を厳格に行いつつ被害者への救済を遂行し、さらに芸能事務所としての活動を維持するのか、その動向が注目されます。

[1]ジャニーズ、性加害で謝罪. 日本経済新聞, 2023年9月8日朝刊2面.
[2]ジャニーズ性加害、事務所が記者会見. 日本経済新聞, 2023年9月8日朝刊42面.

<Executive Summary>
What Is a Remarkable Viewpoint to Understand the Capability of the New Management Structure of the Johnny & Associates? (Yusuke Suzumura)

The Johnny & Associates held the press conference and announced the new management stracture, Ms. Julie Keiko Fujishima's resgnation from the position of the President and Mr. Noriyuki Higashiyama's appointment as the new leader of the company on 7th September 2023. On this occasion, we examine a remarkable viewpoint to understand capability of the new management structure.

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