「ジャニーズ問題」について報道機関が注意すべき点は何か

ジャニー喜多川氏による元所属芸能人らへの性加害問題は、ジャニーズ事務所の経営者の交替という局面を迎えました。

ところで、「ジャニーズ問題」に関する各種の報道を概観すると、今回の出来事を芸能界全体の中でどのように位置付けるかという視点が不足しているように思われます。

もちろん、今回のような出来事は極めて特殊で、多くの芸能事務所は無関係かも知れません。

これに対し、もしそうでない場合はどうなるでしょうか。

ジャニーズ事務所の問題のみに注目が集まることは、たとえ故人であるとしても、ジャニー喜多川氏の生前の行為を断罪し、遺された事務所が被害者の救済の責任から逃れることのないよう、一種の社会的制裁を加えるという効果があることでしょう。

一方、ジャニーズ事務所にばかり関心が寄せられることは、かえって他の芸能事務所における同様の事例を見落とす可能性を高め、結果的に「特殊な芸能事務所での異常な出来事」として幕引きを迎えることになりかねません。

しかしながら、「特殊な芸能事務所での異常な出来事」でないとすれば、糺されるべき行為が放置されたままになりかねないのも事実です。

これでは、第二、第三の「ジャニーズ問題」を生じさせかねないだけに、今後、報道機関がどのような態度で一連の問題に向き合うかが注目されます。

<Executive Summary>
Are There Any Other Cases in the Entertainment Industry in Japan? (Yusuke Suzumura)

The "Johnny Kitagawa's Sexual Abuse Issues" face the new stage changing the management structure on 8th September 2023. On this occasion, we examine an adequacy of media's attitude to report the problem focusing only on the Johnny & Associates and ignoring other talent agencies.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?