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2023年1月の記事一覧

岸田首相の「育休・産休中のリスキリング」発言は何が問題か

1月27日(金)の参議院本会議での代表質問の中で、自民党の大家敏志氏が「育休・産休の期間にリスキリングによって一定のスキルを身につけたり、学位を取ったりする方々を支援できれば、逆にキャリアアップが可能になることも考えられる」と質問したことを受け、岸田文雄首相は「育児中など様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押ししていく」と答弁しました[1]。

これに対し、昨日のNH

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入場者減でも大型契約続出の内幕

2022年12月19日(月)、日刊ゲンダイの2022年12月20日号24面に連載「メジャーリーグ通信」の第129回「入場者減でも大型契約続出の内幕」が掲載されました[1]。

今回は、「コロナ禍」の影響による入場者の減少に直面しつながらも選手と大型契約を結ぶ現在の大リーグの状況について、球団の経営の側面から背景を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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第211回国会における岸田文雄首相の施政方針演説の問題点は何か

昨日、第211回国会が開会したことを受け岸田文雄首相が衆参両院本会議において施政方針演説を行いました。

今回の施政方針演説では、少子化対策、防衛費増額問題、原子力発電所の次世代革新炉への切り替え、物価上昇を超える賃上げ、学び直しや職務給の確立などの推進が主たる政策として掲げられました[1]。

施政方針演説は、通常国会の冒頭で首相が国政の基本方針を示す演説です。

そのため、施政方針演説の中で取

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第211回国会の召集に際し国会議員がなすべきことは何かを考える

本日第211回国会が召集されました。会期は今年6月21日(水)までの150日間の予定です。

日本国内だけでなく国際社会も既存の枠組みや秩序が動揺し、あるいはこれまでの知見が通用しなくなる場面が多くなるなど、先行きの見通しに予断を許さない状況が続いているのが現状です。

こうした中で、日本に住む人々の福利を増進し、国家の利益を高めることは国民の選良としての国会議員に課せられた崇高であり、そして最も

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2023年の野球殿堂の選考はいかなる意味を持つか

去る1月13日(金)、球界の功労者をたたえる「2023年野球殿堂入り通知式」が行われ、プレーヤー表彰としてアレックス・ラミレス、エキスパート表象としてランディ・バース、特別表彰として古関裕而の3氏が選出されました。

外国から来日した選手として初めて2000本安打を達成し、横浜DeNAベイスターズの監督も務めたラミレス氏、2年連続で三冠王となったバース氏、そして夏の全国高校野球の大会歌『栄冠は君に

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「都知事選への実績作り」を超える東京都の「第2子の保育料無償政策」

昨日、東京都は2023年10月から0-2歳の第2子の保育料について、所得制限を設けることなく、しかも第1子の年齢にかかわらず完全無償化する方針を公表しました[1]。

都はすでに18歳以下に所得制限を設けず月額5000円を給付する方針を示しており、来年度予算案に経費を計上しました。

こうした一連の措置は、記者会見の中で小池百合子都知事が強調した「東京から少子化を止める。大胆な施策を実行していく」

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「台湾有事」はなぜ日本にとって重要な問題となるのか

昨年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降、従来の国際秩序は転換期を迎えるとともに、台湾有事の可能性の高まりが指摘されています。

何故ウクライナ問題が台湾有事問題とかかわるかと言えば、昨年10月の党大会を経て3期目が発足した習近平政権の存在があります。

すなわち、文化大革命後に集団指導体制が確立して以来、中国では国家主席と党総書記の任期は2期10年までとする慣習が適用されてきました。

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「4閣僚辞任問題」において岸田文雄首相の任命責任はいかに考えられるか

昨年10月から12月にかけて、岸田文雄内閣の閣僚4人が辞職しました。

すなわち、山際大志郎国務大臣、葉梨康弘法務大臣、寺田稔総務大臣、秋葉賢也国務大臣が、3か月のうちに相次いで閣外に去っています。

世論の関心の高い問題に関与した山際国務相、不適切な発言が問題視された葉梨法相、不適切な政治活動の責任を取った寺田総務相と秋葉国務相というように、4人が辞職した理由は様々です。

不祥事とはあるものの

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『どうする家康』は「大河ドラマの将来」をどうするか

本日20時から、NHKの大河ドラマ『どうする家康』が始まります。

1963年以来続くNHKの看板番組である大河ドラマは、2009年以降平均視聴率の低下が進んでいます[1]。

NetflixやAmazonプライム・ビデオなどのオンデマンド配信が普及した現在において、視聴者のテレビ番組の受容の方法は多様化しています。従って、平均視聴率のみが番組の価値を決めるものではなく、様々な評価の指標の一つに過

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第73回NHK紅白歌合戦が示した番組の魅力の回復への手掛かり

2022年12月31日(土)に放送された第73回NHK紅白歌合戦は、関東地区における総合テレビの平均視聴率が、第1部で31.2%、第2部が35.3%でした[1]。

番組の制作者にとって第2部の関東地区の視聴率が1989年の2部制導入以降で過去最低を記録した一昨年からの挽回が唯一の課題であったことは、例年以上にTikTokの再生回数に言及される場面が増えたという事実が示唆するところです。

すなわ

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