2023年の野球殿堂の選考はいかなる意味を持つか

去る1月13日(金)、球界の功労者をたたえる「2023年野球殿堂入り通知式」が行われ、プレーヤー表彰としてアレックス・ラミレス、エキスパート表象としてランディ・バース、特別表彰として古関裕而の3氏が選出されました。

外国から来日した選手として初めて2000本安打を達成し、横浜DeNAベイスターズの監督も務めたラミレス氏、2年連続で三冠王となったバース氏、そして夏の全国高校野球の大会歌『栄冠は君に輝く』や阪神の『六甲おろし』、巨人の『闘魂こめて』など、多くの野球の応援歌を作曲し、野球文化の発展に貢献した古関氏と、いずれも球史に残る事績を挙げたのが3氏です。

在籍期間が短くなりがちな外国人選手や、多くの人物が野球文化の発展に寄与してきた経緯を考えれば、あるいは今回の3氏の選出には異論があるかもしれません。

あらゆる顕彰事業は、たとえどれほど客観的と思われる指標を設けるとしても、最終的には選考という人為的な過程を経るため、誰もが納得する結論を得ることは容易ではありません。

むしろ、ある人にとっては評価すべき出来事が他の人にとっては取るに足らない出来事であるということも珍しくないものです。

従って、野球殿堂の選出について求められるのは、誰もが納得する選考を目指しつつ、対象となる人物を選ぶことが野球文化のさらなる発展に資するのか、また野球殿堂の価値を一層高めるかという点に絶えず注意を払うことでしょう。

こうした観点から眺めれば、今回の3氏はいずれも他の追随を許さない成果を残しており、選出されるにふさわしいだけでなく、野球殿堂の声価を向上させるものでもあります。

その意味で、ラミレス、バース、古関の3氏の選出は、実に意義深いものなのです。

<Executive Summary>
What Is a Meaning of the Election for the Japanese Baseball Hall of Fame of 2023? (Yusuke Suzumura)

Japan's Baseball Hall of Fame elected three persons, Mr. Alex Ramirez, Mr. Randy Bass, and Mr. Yuji Koseki, were selected as a new member on 13th January 2023. On this occasion we examine a meaning of the election of 2023 to the development of baseball culture.

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