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評論

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2021年10月の記事一覧

「新庄剛志氏のファイターズ監督就任」の持つ意味は何か

本日、プロ野球の北海道日本ハムファイターズは次期監督に新庄剛志氏が就任することを公表しました[1]。

新庄氏は2006年にファイターズを引退した後、指導者として球界と関わることはありませんでした。そのため、コーチなどを経ずに監督となることになります。

選手を指導する経験を持たないで球団の牽引役となることには、一抹の不安を抱く向きがあっても不思議ではありません。また、適性が実際に確認されないまま

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TOKYO FMの特集"THE TRAD presents MUSIC IN MURAKAMI"について思ったいくつかのこと

去る10月18日(月)から21日(木)まで、TOKYO FMの番組"THE TRAD"では、15時台の特集を"THE TRAD presents MUSIC IN MURAKAMI"と題し、稲垣吾郎さんと村上春樹さんの対談を放送しました。

この対談は、10月16日(土)に早稲田大学国際文学館、通称「村上春樹ライブラリー」において村上春樹さんが行った自作の朗読会の後に行われたものです。

村上さん

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「政党のキャッチコピー」に対して有権者はどう向き合うべきか

10月31日(日)に投開票される第49回総選挙について、各党は有権者に示す宣伝文句に独自色を出すために腐心しているとされます[1]。

確かに、宣伝文句、あるいはキャッチコピーは多用な有権者に対して自党の公約や方針を簡潔に伝えるためには重要な手段と言えます。

また、選び抜かれた言葉はあたかも一つの芸術作品であるかのように、長く人々の印象に留まることでしょう。

その一方で、近年では選挙のたびに掲

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大谷の発言が「積極的な提言」と受け止められる背景

去る10月4日(月)、日刊ゲンダイの2021年10月5日号27面に私の連載「メジャーリーグ通信」の第101回「大谷の発言が「積極的な提言」と受け止められる背景」が掲載されました[1]。

今回は、本拠地での今季最終戦となった9月26日のマリナーズ戦の後に行った大谷翔平選手の「好きなチームだけど、それ以上に勝ちたい」という趣旨の発言の持つ意味を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介

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第49回衆議院議員選挙の公示に際してわれわれは何を望むか

本日、第49回衆議院議員総選挙が公示され、10月31日(日)の投開票日まで12日間の選挙戦が始まりました。

岸田文雄政権下で行われる最初の総選挙では、各党諸派が国民の福祉と国家の利益の増進のために最善を尽くすべく、それぞれの政策を掲げて有権者に信を問うことが期待されます。

有権者にとって目下の最大の関心事は新型コロナウイルス感染症対策ではあるものの、「対策はしない」という選択肢は事実上あり得ま

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岸田文雄首相の所信表明演説の注目すべき5つの点は何か

本日、岸田文雄首相は衆参両院の本会議において、就任後最初の所信表明演説を行いました。

所信表明演説の中で、岸田首相は「コロナ禍」の影響で生活が苦しい非正規労働者や子育て世代に向けた給付金の支給や「クリーンエネルギー戦略」の策定、「コロナ対策」として人流抑制や医療資源確保のための法改正の実現、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」による「新しい資本主義」の実現、国家安全保障戦略の改

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「9.11」が米国と米球界に与えた影響

去る9月13日(月)、日刊ゲンダイの2021年9月14日号27面に私の連載「メジャーリーグ通信」の第100回「「9.11」が米国と米球界に与えた影響」が掲載されました[1]。

今回は、今年9月11日に米国での同時多発テロの発生から満20年を迎えたのを機に、いわゆる「9.11」が米国の社会と球界に与えた影響を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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岸田首相は衆議院の解散問題で「聞く力」を発揮できるか

昨日新内閣が発足したことを受け、岸田文雄首相は衆議院を10月14日(木)に解散し、総選挙を10月31日(日)に実施する意向を表明しました[1]。

新内閣の発足から1か月と経たないうちに衆議院の解散総選挙を行うのは現行の憲法下では最短です。

特に候補者の調整を含む「野党共闘」が完了する前の段階での総選挙の実施だけに、関連する野党各党が岸田首相の意向を批判するのも[2]当然といえるでしょう。

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新政権の発足に際し岸田文雄首相に望まれることは何か

本日、衆参両院で自民党の岸田文雄総裁が首相に指名されました[1]。

1885(明治18)年に日本に内閣制度が発足し、伊藤博文が初代の内閣総理大臣に就任してから100代目の首相となった岸田氏は、今月14日(木)に衆議院を解散し、同じく19日(火)に総選挙を公示し31日(日)に投開票を行う意向です[2]。

そのため、岸田氏の「第100代首相」としての任期は短く、総選挙後の特別国会において岸田氏ない

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都民ファーストの会が「ファーストの会」を結成する理由は何か

本日、東京都の地域政党都民ファーストの会は、国政政党としてファーストの会を結成するとともに、来る衆議院議員総選挙において都内の全25選挙区で候補者を擁立することを表明しました[1]。

2016年に発足した都民ファーストの会が翌年の衆議院選に向けて国政政党希望の党を設立したものの期待した成果を上げられず、結果的に国政に進出する計画が頓挫したことを考えれば、この度の新党の結成は前回の総選挙の雪辱を期

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岸田文雄氏の党役員と閣僚の人事の目的は何か

本日、自民党は9月29日(水)の総裁選挙に勝利した岸田文雄総裁の下で党役員人事を正式に決定し、新たに甘利明氏が幹事長に就任したほか、福田達夫氏が総務会長、高市早苗氏が政務調査会長、遠藤利明氏が選挙対策委員長となりました[1]。

また、10月4日(月)に岸田総裁が首班に指名される運びの新内閣については、官房長官に松野博一氏が、財務大臣に鈴木俊一氏が内定しています[2]。

甘利氏は総裁選で一貫して

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