新政権の発足に際し岸田文雄首相に望まれることは何か

本日、衆参両院で自民党の岸田文雄総裁が首相に指名されました[1]。

1885(明治18)年に日本に内閣制度が発足し、伊藤博文が初代の内閣総理大臣に就任してから100代目の首相となった岸田氏は、今月14日(木)に衆議院を解散し、同じく19日(火)に総選挙を公示し31日(日)に投開票を行う意向です[2]。

そのため、岸田氏の「第100代首相」としての任期は短く、総選挙後の特別国会において岸田氏ないし他の人物が第101代首相に就任します。

ところで、当初は派閥の統制と派内での求心力の維持のために総裁選挙への立候補を表明し、菅義偉前首相が総裁選への出馬を辞退したことで有力な候補者となり、総理総裁の座を手にしたのが岸田首相です。

閣僚と党役員の顔触れを見る限り、岸田氏を支援した各派閥への配慮するとともに、論功行賞と宏池会勢力の結集という二つの目的を同時に達成するべく、人事を行っていることが分かります[3]。

しかし、こうした党内の事情はあくまで国民のあずかり知らぬところです。

むしろ、岸田首相には、「忍耐と寛容」、「嘘は申しません」、あるいは「和の政治」といった、自らが率いる宏池会に所属した池田勇人や鈴木善幸などの歴代首相が掲げた標語を振り返り、先人の至言を現代に実践する心持ちで政権の運営に臨むことが重要でしょう。

そして、「巧言令色鮮仁矣」の精神に基づき、言葉を飾らず、語るべきことを適切に述べるこで、岸田首相は初めて国民の広範な支持を受けることが可能となります。

誰よりも宏池会の一員であることを誇り、宏池会を率いることを名誉とする岸田首相であるからこそ、宏池会の伝統と知恵を現在に活かすことで、国民の福祉と国家の利益の増進を実現することができるでしょう。

[1]第100代首相に岸田氏、衆参両院で指名 岸田人事を追う. 日本経済新聞, 2021年10月4日, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA29CZT0Z20C21A9000000/ (2021年10月4日閲覧).
[2]衆院選19日公示―31日投開票 岸田氏意向、解散は14日. 日本経済新聞, 2021年10月4日, https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE042BC0U1A001C2000000/ (2021年10月4日閲覧).
[3]鈴村裕輔, 岸田文雄氏の党役員と閣僚の人事の目的は何か. 2021年10月1日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/9791531d5065eb83cbd659751683eab5?frame_id=435622 (2021年10月4日閲覧).

<Executive Summary>
What Is Our Demand for Prime Minister Fumio Kishida? (Yusuke Suzumura)

Today LDP President Fumio Kishida was elected as the 100th Prime Minister of Japan at the both Diets. In this occasion we examine a meaning and future of Prime Minister Kishida.

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