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ネット恋愛小説

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インターネット恋愛。 数年前まではネット上で知り合った人と 出会うなんて危険だし不毛だと言われて いましたが、最早それも時代遅れ。 インターネットが繋げてくれた私自身の 愛し…
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#ノンフィクション

等距離恋愛。_2丁目2番地 特売日のスーパー

等距離恋愛。_2丁目2番地 特売日のスーパー

20歳、女一人暮らし。

社会人一年目の夏は想像よりも、もっと、ずっと、貧乏で平凡。

学生時代に社会人の先輩に飲みに連れて回された時、奢ってもらうのは申し訳ないからと財布を出そうとしてとめられたことがある。

居酒屋を三軒ハシゴしたにも関わらず一銭も出させてはくれなかった先輩に対して、「今度なにかご馳走します」と頭を下げる私。

「社会人になったら、時間はないけど金はあるから気にすん

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等距離恋愛。_2丁目1番地 空っぽのライブハウス

等距離恋愛。_2丁目1番地 空っぽのライブハウス

あの日、彼と初めて会った日。

初めて一緒にこの町を歩いた日。

初めてデートして、手を繋いで、唇を重ねた日。

それが始まりだと思っていた。

ここから始めるんだと、そう願っていたのに...

彼はあの日以来、私の前に姿を現すことはなかった。

姿は愚か、連絡もなければ電話に出ることもない。

「ラ◯ンが既読にすらならないなんて...」

「今度行く時は、チーズケーキセットを食べようね」

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等距離恋愛。_1丁目13番地 求めあうアパートの前

等距離恋愛。_1丁目13番地 求めあうアパートの前

帰り道、さすがに真冬の夜ということもあってお酒で火照った体もすぐに冷え込む。
冷え性だった私は握られた手がどんどん冷えこんでいくのを自分では止められなかった。

手と手が触れているところは彼の体温でなんとか温かさが保たれていたが、指先と手の甲、それに反対側の手が猛烈に凍えて霜焼になっていた。

片手を必死に吐息で温める私に気づいた彼は、私の正面に向かい合って立ち残りの一つの手で反対側の手を握ってき

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等距離恋愛。_1丁目12番地

等距離恋愛。_1丁目12番地

歌って、笑って、ヘロヘロに疲れ果てた私たちはお腹を満たすために夜ご飯を食べるお店を探すことにした。ふらふらと歩いていると、突然

「ッウオッッツ!こんなところに宮崎料理店出ちょる!」

と興奮気味に私のことなんてそっちのけでお店の方に歩く彼。一日一緒にいてわかったこと。彼は自分の心にすごく正直で、素直だ。

人の顔色や態度を伺って生きてきた私にはその生き方がすごく魅力的で、羨ましかった。そして少し

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等距離恋愛。_1丁目11番地

等距離恋愛。_1丁目11番地

喫茶店を出る頃、外は既に日が傾いていて寒さが一層身体を凍りつかせた。

冷えた手を自分の口元にあてて息を吐き必死に温めていると突然、両手を掴まれて

「摩 擦 熱 〜!」

と言いながら必死に擦りあわせてきた奏太くんの行動に呆気に取られてポカーンとしてしまう。

「なにその顔w」
あほ面になってたことに気づき、

「ちがっ!だっていきなりそっちが変なことするから〜〜〜!」
って腕をポカポカ叩くとそ

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等距離恋愛。_1丁目10番地 冷めきった珈琲

等距離恋愛。_1丁目10番地 冷めきった珈琲

_カランッ

駅前の道をまっすぐ歩いて開けたY字路の古着屋さん。その隣にある「トロワ・シャンブル」と書かれた看板の喫茶店。

階段をのぼった二階。扉を開けると煙草の臭いとクラシック音楽が鼻に通り抜ける。店内にあるアンティーク調のインテリアは店主のセンスを伺わせる宝箱のような空間だった。

この喫茶店に初めて入った時、大キライだったタバコの匂いがなぜか心地よく感じ自分でも驚いたほどだった。

理由は

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等距離恋愛。_1丁目9番地 あちらこちらな遊具

等距離恋愛。_1丁目9番地 あちらこちらな遊具

なんとなく立ち寄った小売店。

そこは文房具から日用品、衣類、それに電化製品まで扱う「何でも屋さん」だった。

小さい頃、地元で一番栄えてる駅前にしかなかったそのお店。電車で1時間かけなきゃいけなかった「何でも屋さん」。

東京にくると家から徒歩20分もかからないでたどり着いてしまう。そこだけじゃないコンビニだって車で15分だったのが徒歩1分で行けちゃうし、スタバだってチェーン店の本当の意味を強く

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等距離恋愛。_1丁目7番地 はじまりの改札

等距離恋愛。_1丁目7番地 はじまりの改札

_おはよ

_いま電車乗った

女の子の朝は忙しい。気合を入れたい日は特に。

今日は久しぶりのデートなだけあって、ドキドキとワクワクが迷子になりそうなほどあっちへ行ったりこっちへ行ったりした。

いつもはファンデと眉毛を書いてお終いな簡素なメイクもこの日はちゃんとチークを入れたし、マスカラを塗った。私にしては上出来だった。

でも、ここ最近の睡眠不足のせいでデキたニキビは隠しきれなかった

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等距離恋愛。_1丁目5番地 お子様プレート

等距離恋愛。_1丁目5番地 お子様プレート

画面には【✆10:22】の表示

わたしはマナーモードにして画面を裏返しにして机に置き台所へと向かった

ガチャ…。

冷蔵庫の中を覗くと賞味期限の切れそうな卵と昨日の残りのひき肉、それに玉ねぎが入っていた。

(うーん、ハンバーグにしようかな。)

一人暮らしを始めたころからずっと続けていた料理。「得意料理は?」と聞かれて「冷蔵庫掃除ごはん」って即答するくらいには自信があった。

丸くて茶色いお

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等距離恋愛。_1丁目4番地 刻まれる時計

等距離恋愛。_1丁目4番地 刻まれる時計

_それでね、…んがね、た…

ベットでごろごろしながら話していたはずなのに、いつの間にか深い眠りに落ちていた

 _んっ…。

目が覚めるととてつもない気怠さと共に空腹感に襲われる。

窓の外は絵具を混ぜすぎた何とも言い難い色を、キャンパスの一面にこぼしてしまったかのような表情をしていた。

_あれ…?わたし確か電話してて…。あっ。

慌ててスマホを開く。

画面には【通話中】の文

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等距離恋愛。_1丁目2番地 短い文字列

等距離恋愛。_1丁目2番地 短い文字列

ブブッ

_よっ

通知音に、思わず手を止める。

まるで以前から友達だったかのような、そんなテンションで送られてきた一通のメッセージ。「誰だよw」と思わず心の中で突っ込んだ。その瞬間、ほんの少しだけ心が軽くなった気がした。大量に送られてきた定型文のような文字列に見慣れていたせいか、唐突に送られてきたものすごくラフな文字列が気になってしょうがない。

_こういう時ってどう返せばいいんだろう...。

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等距離恋愛。_1丁目1番地 孤独なベット

等距離恋愛。_1丁目1番地 孤独なベット

「はあ、眠れない…。」

2月のキンキンに冷えきった夜空を煽り、呟く。寒空に煌々と輝く月はとても綺麗で、自分の心との温度差に失望してはまた、頭を垂れる。わずか4畳一間ほどの個室に備え付けられたシングルベットに身を預けてから何度、寝返りを打ったのだろう。

身体を捻る度ため息が漏れだし、その度、自分の一部がまるでシャボン玉のように雲の上の遥か遠くへと飛んで、どこか知らない土地で弾けて消えていってるよ

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