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2021年10月の記事一覧

「山田さんのトマト」はおいしいのか

「山田さんのトマト」はおいしいのか

スーパーの野菜コーナーにいくと生産者の顔写真とともに売られているパターンがあるじゃないですか。

>山田さんのトマト

みたいな感じのやつだ。・・で、ここから先はへりくつだと思って読んでいただきたいのだがあれには前から2つの疑問を持っていた。

①山田さんが山田さんなのかわからない

②山田さんが誰なのかがわからない

の2つである。①は「本人確認ができない」という意味であり、②は、優れた栽培農家

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だれが一番オトナか?

だれが一番オトナか?

戦前の旧制小学校は今の小・中学校みたいな位置にあり、旧制中学はいまでいうところの高等学校にあたる。だがいまとはちがって中学に行ける人はほんのわずかであり、しかも生まれた家で決まっていた。ぼくが当時の日本に生まれていたらまず行けなかった。

井上靖の自伝小説『しろばんば』では、主人公の洪作が旧制小学校を卒業して中学受験へ向かうまでが描かれている。かれはド田舎の村でただひとり中学校へ進める身分に生まれ

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物語には"起承転結"があるのだと思いこんでいた

物語には"起承転結"があるのだと思いこんでいた

以下の問いがヤフー知恵袋に投稿されていた。

中学時、国語の教科書で読んだ作品の名前を思い出せません。
書き初めを燃やしている時(どんど焼き?)、主人公が好きだと思っている子の書を発見する。そこには「光陰矢の如し」と書いてあり、勉強しなければ…と思う話です。

じっさいは「光陰矢の如し」ではなく「一寸の光陰軽んずべからず」なのだがたいしたちがいはない。井上靖の『しろばんば』という作品だ。600ペー

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孤独な時代に―ジャームッシュの『ゴースト・ドッグ』

孤独な時代に―ジャームッシュの『ゴースト・ドッグ』

食べ物のありがたみをわかっていない子どもが食べ物をおもちゃにするのはよくあるだろう。たとえばパンを丸めて投げてあそぶようなことだ。一方で、食べ物がなくて餓死する人もいるわけで、仮にパンを丸めて蹴っている高校生のグループにホームレスの女の子が近づいてきて

「いらないんだったらそのパンくれませんか。おばあちゃんが栄養失調で死にかかっているんです」

と言われたらかれらはどう反応するだろうか。

「ク

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自分で決めたルールであそぶのがいちばん楽しい

自分で決めたルールであそぶのがいちばん楽しい

ポケモンGOというのは、あっちこっちへいってモンスターをコレクションするゲームなわけだから、あれにハマっている人が多いということは、みんな集める快感というのを味わっているのだと思う。

「ディアゴスティーニ」は買ったことないけど、似たようなものだろう。今、ホンダNSXの1・8プラモデルというのをやっているらしい。パーツが月1回、全15回に分けて届くそうだ。

模型そのものが欲しければ完成品を買えば

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気持ちのいい文章とそうでない文章

気持ちのいい文章とそうでない文章

フリーランスになってずいぶんたつが、フリーランス対フリーランスの仕事はしたことがなくて取引相手はつねに組織だ。その場合、こちらは一人の人であり、相手も一見すると一人の人のようにみえるけれど実はそうではない。あいては組織全体の利益とコンセンサスを代表する窓口なのである。

ぼくのほうは自分の思ったとおりのことを述べているだけだけれども、相手は一見本人がしゃべっているようでじっさいは上司の意向やら会議

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アナログで映画を見るとなぜか感動する

アナログで映画を見るとなぜか感動する

レーザーディスクというのはレコードくらいのデカさのDVDみたいなものである。左側のやつだ。DVDと同じく映像を記録する。

日本独自の技術であり、バブル期の勢いを象徴するテクノロジーだった。DVDはデジタルだがLDには実はアナログ信号が入っている。しかし説明がめんどくさいのでそこはカットします。

ところでレーザーディスクで不思議な体験をよくする。発端は『もののけ姫』だった。ぼくは『もののけ姫』の

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