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記事一覧
【#毎週ショートショートnote】命乞いする蜘蛛
(410文字)
「待て!殺さないでくれ」
そう念じると、私を潰そうとしていた人間の大きな手が止まった。人間は不思議そうな目で私を見ている。
「私たち蜘蛛がいるおかげで、この家に虫が少ないのが分からないのか?」
私を生かすメリットを念じてみたが、人間は「まさか命乞いする蜘蛛なんているわけないな」と言って私を潰した。あの冷ややかな目は忘れない。奴らにとって虫の命など取るに足らないものだ。私を殺したこ
【54字の物語】2024年1月の54字
1月中に、思いついた時に作っていた54字の物語。
恋愛ものふたつにSFものふたつでした。
どうも、ボクが思いつくのはこのふたつのジャンルだなぁ。
画像は8739sshuhoさんがアップしたものを使わせていただきました。
【#毎週ショートショートnote】ツノがある東館
お題:ツノがある東館 & 一行目で惹きつける
文字数:410文字
「あなたは人生の岐路に立たされている」
分かれ道の看板にはそう書かれていた。
片方の道の先を見るとツノがある東館が見える。
もう片方の道の先には輪っかのある西館が見える。
どちらを選ぶべきか。
ここは素直に西館か?いや、罠かもしれない。
だからといって東館に行く奴がいるか?
私は元来自分に甘い性格で、それが元で失敗することも多い。
【#毎日ショートショートnote】アメリカ製保健室
お題:アメリカ製保健室 さらにどんでん返し
文字数:410文字
アメリカ製保健室が校庭の隅に設置された。
保健室登校の児童の、校舎から離れた場所の方が安心するという意見でこの場所に設置されたそうだ。
保健室登校児童の増加に対応して「室」と呼ぶには大きく、3階建てで、雑居ビルほどの大きさがあり、災害を想定して堅牢な建物になっている。
保健室登校の児童からも好評だった。アメリカ製のゲームなどを楽しみ
【#毎週ショートショートnote】ドローンの課長
お題:ドローンの課長
文字数:410文字
「角田君、最近頑張ってるね」
パソコンに向かって企画書を作っていると、ドローンの課長が後ろから声をかけてくれた。
「ありがとうございます」
振り向くと微かにプロペラ音を発する課長がふわふわと浮いている。
課長がドローン化してから、もう半年以上が過ぎた。
コロナ禍でのリモートワークが終了した日、課長は出社を拒否した。
「それでも私の営業一課の成績は上げて