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#私の作品紹介
愛なんて知らないけれど
愛なんて言葉を。
辞書で調べたことなんて一度もないけれど。
この想いが愛ならいいなって思うんだ。
君が落ち込んでいるのなら。
君を笑わせるために僕はどこにだって行くよ。
君が悩んでいるのなら。
僕はいつだって君の話を聞きにいくよ。
君がとても幸せなら。
それより嬉しいことなんてこの世にないんだ。
僕が世界を平和にできないとしても。
僕が君を幸せにできないとしても。
君が幸せで
記憶の旅のはて 著:ユキヒロ
ガタンゴトン。ガタンゴトン。
私の名前はわかりません。
気付けばこの列車に乗っていました。
どうやらここは宇宙のどこかのようです。
窓の外には暗闇が広がり、遠くを見つめると無数の星たちが煌めいています。
「ふぅー」
窓の冊子に肘をついて、手のひらに顔を乗せながら深いため息をつきました。
私にはどうやら記憶がないようです。
それにしては心が落ちついています。
しばらくの間、ぼーっと窓の外を眺めるこ
少年と月 著:ユキヒロ
分厚い雲で覆われている灰色の夜空を見上げながら、少年は問いかけました。
「ねぇ、今日はどこへ行ってしまったの?」
この街には年の暮れになると長い長い雨季が訪れます。
それまでの晴れ続きが嘘のように雨の日が続くのです。
少年の名はハミルといいます。
ハミルはひとつ前の雨季が過ぎ去ってからこの街で暮らしはじめたため、雨季を経験するのは初めてでした。
ハミルが探しているのは夜空に浮かぶ1つの月です。