フェミニストに関する「ある1つの仮説」
こんにちは、神崎ゆきと申します。
今回のnote記事における考察内容は、あくまで私の推測に基づく「仮説」であり、確証があるわけではありません。それをご承知おき頂いたうえで、ご覧ください。
先日、幻集郎氏という方がこのようなnote記事を投稿されました。
この記事は、Twitterで活動するフェミニストやジェンダー系のアカウントについて、量的調査が為されたものです。
具体的には、当該ユーザーのツイートで「200いいね」を超えるものが月間でどの程度あるか、その数をカウントしたうえで、2021年7月〜2021年12月までの平均値を算出してランキングにしたとのこと。
この調査を踏まえて、幻集郎氏は以下のような傾向分析と提言をされています。
なお、この調査は「フォロワー数1,000以上のアカウント」を対象に調査がされています。そのため、フォロワー数1,000未満のアカウントも含めたら、ランキング上位と下位の傾向の違いはより顕著なるものと思います。
さて。
私はこの調査結果を見た時に、1つ気になることがありました。
それは「ランキング上位陣の『200いいねを超えるツイートの数』が想像していたよりも遥かに少ない」ということ。
そして、これは「フェミニストは社会に支持されていないんだ」とか「先鋭化が進んでいるからだ」という原因とは、おそらく違う。
「別の意味」を持つ数値である可能性がある。
これに気づいたとき、私は長らく抱えていた疑問が1つ解消したと思いました。ああ、だから「こんな状況が発生している」のかと、1人納得しました。
では、その「別の意味」とは一体なんなのか。
繰り返しますが、これは私の推測でしかありません。また、全てのフェミニストやジェンダー系のアカウントに当てはまるものでもないでしょう。
あくまで1つの「仮説」として、ぜひ考えてみて欲しいと思います。
1. 調査結果が意味するもの
まず、参考までに幻集郎さんが行ったのと同様の調査方法で、私こと「神崎ゆき」の『200いいねを超えるツイートの数』を調べてみましょう。
なお、この調査は2022年1月24日に行いました。
その結果がこちら。
もう1人、以前に私がマーケティング戦略を比較した記事を書かせて頂いた、トゥーンベリ・ゴン氏も調べてみましょう。
なお、私の2021年6月末時点のフォロワー数は4,000人で、トゥーンベリ・ゴン氏のフォロワー数を抜いたのは2021年11月9日のこと。これを考慮すると、十分に妥当な結果と言えます。
(……別に、数値で負けたからって悔しくないです。ほんのちょっとの僅かな少しだけの差でしかないし。全然まぁーったく、これっぽっちも悔しくなんてありません。ええ、本当に)
さて、トゥーンベリ・ゴン氏と私の調査結果を幻集郎氏のランキングに反映させたものが、こちらになります。
「ランキング上位陣の『200いいねを超えるツイートの数』が想像していたよりも遥かに少ない」と私が感じたことが、視覚的にも分かりやすいかと存じます。
トゥーンベリ・ゴン氏も私も、言ってしまえば「一介の匿名アカウント」に過ぎません。それでも、実名であり、実績を持ち、社会的な地位を保持し、フォロワー数も大きなアカウントもいるランキングで、かなり上位にまで食い込む結果となっている。
いったい、なぜこんなことが起こるのか。
ここで重要なのは、これはあくまで『200いいねを超えるツイートの数』の比較であること。
これが示すものは「コアファンの数」です。
そのユーザーの熱心なファン層がどの程度のボリュームで存在するのか、それが数値の差として現れます。
どういうことかと言えば、これがもし『1万いいねを超えるツイートの数』だったしたら、そのクラスタ自体の規模や、バズ狙いのツイートを多くしているかも関わってきます。
しかし、これが『200いいねを超えるツイートの数』とすると、必要となるのは「どのユーザー層に向けたツイートであっても『いいね』を付けてくれる人の数」すなわち「コアファンの数」となります。
このコアファンの数が、フェミニストおよびジェンダー系のアカウントは……抱えるフォロワー数の規模と比べて、妙に少ない。
実名であり、実績を持ち、社会的な地位を保持し、フォロワー数も大きなアカウントであるにも関わらず、なぜコアファンの数が少ないのか。この疑問について、私はある1つの仮説を立てました。
その仮説とは……。
「Twitterで多くのフォロワー層を抱えてビジネス・政治活動・社会学等の学問研究に携わるフェミニストやジェンダー系のアカウントは、フォロワー数が少なく暴言を繰り返し誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウントをブロックしている」
というものです。
2. あまりにも酷い現状
私の立てた仮説は「Twitterで多くのフォロワー層を抱えてビジネス・政治活動・社会学等の学問研究に携わるフェミニストやジェンダー系のアカウントは、フォロワー数が少なく暴言を繰り返し誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウントをブロックしている」というものです。
この仮説について考察する前に、まずは「フォロワー数が少なく暴言を繰り返し誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウント」の現状を確認していきましょう。
例えば、私がTogetterでリアルタイムに記録を取ったもので言えば『TOKYO女子けんこう部』に対するバッシング。
「キッッッッモ!!!」と「オス」と言った、嫌悪感を示すワードが見られます。また、企画者を「オッサン」と決めつけて非難する投稿もあります。
他には、2021年末にIKEAの広告動画が非難された際のコメント。
「きっっっしょ!」「女卑男尊ウイルス」「どうせキモい爺が作ったんだろ」「オス」等の特徴的なコメントが見られます。また、「ピュ𓂺」という男性を揶揄するスラングも。
そして、つい最近も。
「アツギが2019年3月期から続くコロナ禍によるインバウンド減や在宅勤務の拡大の影響で国内生産を終了したニュース」に関して、このようなコメント群が……。
「キモオタ」「オス」「ミソオス」「変態オタク」「4んでしまったのぉ!?!?」「おち○ぽ騎士団」等のコメント。
正直、コロナ禍によるインバウンド減や在宅勤務の拡大による影響は、アツギ以外の同業種も経済的な打撃を受けているどころか、日本中の企業が悩む問題であると思うのですが、よくここまで嬉々としたコメントができるものだなと、個人的には思います。
また、アツギは2020年11月にATSUGI『ラブタイツ企画』がバッシングを受けたのですが、この時点から既に企画者を「間違いなくオッサン」と決めつける非難や、「クソキモい」「気持ち悪い」と言った嫌悪感の露呈を憚らないコメントが数多く確認できます。
「女性がこのような企画を立てたりするはずが無い、これは中年男性が企画したに違いない」あるいは「このような企画を女性が好むはずがない」と考えてしまう傾向は、深刻なジェンダーバイアスに囚われてしまっているがゆえの思考ではないかと存じます。
ジェンダーバイアスに関しては、片桐まめこ氏の記事をご覧ください。
また、イラストや広告だけでなく「実在する女性」に対するフェミニストやジェンダー系アカウントの非難も、相当に酷いものがあります。
下記は、オリちゃんがまとめた「胸の大きな女性」に対するバッシングの現状です。具体的な事例も乗っています。
他にも、前述した「ピュ𓂺」も含めて、特に反出生主義を掲げるフェミニストは、様々な過激なスラングで実在人物を非難します。
そのバッシング対象には、男性も女性も含まれます。
上記の画像は、オリちゃんが反出生主義フェミニストを批判する目的で作成したものです。しかし、非常に興味深いのは、この画像まとめに対する反出生主義フェミニストの反応。
この画像まとめを「過激ワードだけ抜き出して批判するな」と言うのではなく、むしろ「全然足りない」と言わんばかりに、率先して過激ワードの追記を行っていました。
すなわち、反出生主義フェミニストは「過激ワードの使用を肯定的に捉えている」ということが伺えます。
反出生主義フェミニストだけでなく、フェミニストやジェンダー系アカウントが「実在する人物」へバッシングする事例は枚挙に暇がありません。
例えば、チョコレートを買った際のほっこりエピソードを投稿されたご夫婦に対しても、集団によるバッシングは起きてしまいました。
他にも、ごく最近の事例では「繁忙期の夫のために、2週間分の作り置きのご飯を作った妻」も「奴隷」「飯炊きオ○ホ」等のバッシングを受けることになりました。
冒頭のランキングを作成された幻集郎氏は、フェミニストやジェンダー系のアカウントの「パワーワード」を『フェミニズム用語集』として記録されています。その数は、現時点で240以上もあります。
正直に言って、幻集郎氏の揶揄的な文体も決して褒められたものではありません。しかし、記事で取り上げられているツイートの数々は、比べ物にならないほど酷いワードが多々あります。
さて。
ここまでに私が挙げたものですら、全体で起きている事例の「ごく一部」に過ぎません。フェミニストやジェンダー系の話題や、差別問題について情報を集めていくと、嫌でもこれらの事例にたどり着きます。
しかし、どうやら……。
幻集郎氏がまとめたランキングの上位陣およびそれに類するアカウントには、あまりにも酷いこれらの現状が「見えていない」ようなのです。
3. 現状認識のギャップ
フェミニストやジェンダー系の話題や、差別問題について情報を集めていくと、嫌でも酷い現状にたどり着きます。
かく言う私も、好きなイラストレーターさんが「ミソじゃん」「これだから名誉は」「ちんよしかよ」を始めとした、嵐のような暴言に晒されていた場面を目の当たりにして……。
それらの暴言を吐くアカウントが「あらゆる女性差別を許さない」「フェミニスト」「フェミニズム」「ジェンダー平等」「女性差別反対」「マイノリティ差別反対」と書いていたことから。
「差別反対を掲げながら誹謗中傷に及ぶ人々」の存在を知って「いったい、何が起きているの……?」と興味関心を持ち始めたのです。
私以外にも、似たような経緯でフェミニストやジェンダー系の話題や、差別問題について興味を持たれた方は沢山いるでしょう。
天路めあ氏も、その1人。
しかしながら……。
Twitterで多くのフォロワー層を抱えてビジネス・政治活動・社会学等の学問研究に携わるフェミニストやジェンダー系のアカウントには、このあまりにも酷い現状が「見えていない」ようなのです。
例えば、こちらの記事。
この記事では「フェミニストが嫌いだ」という男性が若年層でも増えていることを「低賃金による貧困」が原因だと捉えている。
しかし、この記事では「フェミニストを名乗る人々が『女性』を含むあらゆる方向に酷いバッシングを行っている現状」および「フェミニストの振る舞いに疑問を持つ『女性』の存在」が、完全に無視されている。
「暴言を吐き誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウントのあまりにも酷い言動」と「それに迷惑している女性の声」は、不自然なほど「不可視化」されてしまう。
差別問題の文脈では「透明化」とも言われます。辞書には無い意味のスラングですが、問題が語られる際に「存在自体を無かったことにされる」という状況では、こちらの言葉がよく使われる。
ずっと、不思議だったのです。
なぜ、フェミニストの自負を持つ人々は、フェミニストを名乗りながら横暴を振る舞う人々を批判せず、注意せず、諌めず、止めず、そのまま放置しているのか……。
この疑問を抱えているからこそ、私は自分の周りのフォロワーさんに誹謗中傷をやめよう、丁寧で穏当な言葉を使おうと呼びかけています。
そして、自分の意見に賛同するツイートであっても、その意見に暴言が含まれていれば、直接的に注意をしてきました。1度や2度ではなく、アカウント開設初期の頃から何度も行っています。誹謗中傷を無くす為には「まずは自分の周りから」と考えるから。
しかし、フェミニストの方々は「フェミニストを名乗りながら横暴を振る舞う人々」を批判せず、注意せず、諌めず、止めず、むしろそれらを批判する人々に対して「女性差別」「ミソジニー」と呼ぶ主張が見受けられます。
むしろ、それらの「フェミニストを名乗りながら横暴を振る舞う人々」によって、女性が「攻撃」されている現状があるというのに。
では、なぜこのような「現状認識のギャップ」が起こるのか。
その疑問に対する仮説が「Twitterで多くのフォロワー層を抱えてビジネス・政治活動・社会学等の学問研究に携わるフェミニストやジェンダー系のアカウントは、フォロワー数が少なく暴言を繰り返し誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウントをブロックしている」です。
4. ブロックで生じる齟齬
まず、本題に入る前に。
フェミニストやジェンダー系のアカウントに対して、少し異議を唱えるだけで即座にブロックされてしまうことが多いのは、割と有名な話です。
例えば、幻集郎氏が調査したランキングで"8位"に入る、郡司真子氏。
同氏が、VTuber戸定梨香氏に関する「全国フェミニスト議員連盟の記者会見」に参加したときのことです。なお、全国フェミニスト議員連盟・千葉県警・VTuber戸定梨香氏を巡る一連の騒動はこちらの記事をご覧ください。
全国フェミニスト議員連盟の記者会見が終わった後、郡司真子氏はいくつかのツイートをされたのですが、そのリプライツリーには事実誤認と見られる内容が多数含まれておりました。
そのため、様々な方から指摘を受けていました。
しかし、このnote記事を書かれた手嶋海嶺氏以外にも、事実誤認を指摘したアカウントは端から全てブロックされていたようです。
Twitterのブロックには「相手からブロックされた場合、その相手に対して行った引用RT(リツイート)は、相手のツイートの引用RT欄には表示されなくなる」という、公式には明言されていない仕様が存在します。
(ただし、ユーザー名「@〜」を変更した直後のアカウントである場合も、ブロック・被ブロックとは関係なく過去の引用RT欄にツイートが表示されないという現象は発生します)
この仕様を含めたブロックに関する仕様は、以下の記事にて実際に細かく検証を行いました。興味がある方は、ご覧ください。
この仕様を鑑みると、以下の郡司真子氏のツイートから続くツリーにて、多数の引用RTの数が表示されているにも関わらず、その引用RT欄に表示されるツイートがあまりにも少ないことから。
「郡司真子氏が多数のアカウントをブロックしている」という事実を、客観的に確認することができるでしょう。
郡司真子氏がTwitterでブロックを多用するのは「危険勢力である差別主義者や歴修正主義者とは対話してはならない」という考え方が背景にあるようです。
余談ですが、私はむしろ意見に対して有無を言わさず「危険勢力」「差別主義者」「歴史修正主義者」とレッテルを貼る行為こそ、現代の差別問題に蔓延する脅威と捉えています。
「万人が万人にレッテルを貼り合う世界」では、影響力が小さな「社会的弱者」よりも、影響力が大きな「社会的強者」の方が圧倒的に有利になるという現象が生じるからです。
さて、ここからは私の証言。
私の証言である以上、この記事を読まれている方が客観的にこの事実を確認する術はありません。だからこそ「仮説」にならざるを得ない。恐れ入りますが、ご理解いただけると幸いです。
実を言うと、私はアカウント運用開始時に300アカウント、そこから運用していく中で少し増えて、現在は500アカウントほど、フェミニストやジェンダー系のアカウントをブロックしています。
これは以前に、前述した記事でも軽く触れました。
目的は3つ。
まずは、凍結の予防。Twitterでは集団で通報をして凍結を狙うDMグループ等があると聞いたので、それを防ぐための措置です。
次に、面倒なアカウントにしつこく絡まれるのを防ぐため。これは、Twitterを運用に当たり、私自身のメンタル・精神衛生を保つためです。
先行ブロックの効果もあり、8,000フォロワーを超えるあたりまでは妙なアカウントに粘着されることは少なかった。1万フォロワーを超えた現在では、毎日のように絡んでくる面倒なアカウントもチラホラと見受けられるようになりましたが、この規模になると仕方がないと思っています。
そして、最後の1つは「私が先行ブロックしたアカウントの中で、私をブロックするアカウントがいるかどうか、その存在を確認すること」です。
あるユーザーをブロックしている場合、ブロックされたユーザーがブロックしたユーザーを発見することは困難です。Twitterの検索でも表示されず、ツイートもTL(タイムライン)に流れない。
しかし、私が先行ブロックしたフェミニストやジェンダー系のアカウントは、アカウント開設後のかなり早い段階から私の存在に気づいてブロックを仕返してきた人物が結構いました。
ブロックされていることに気づくとしたら「① 私のツイートを引用したツイートをTLで目撃する」「② 別のアカウントでログインして発見する」の2通りが考えられますが……。
アカウント開設初期ではフォロワー数も少ないため、①の可能性は低い。よって、②にてブロックに取り組んでいる可能性が高い。
さて。
私は、ここで1つの疑問が浮かびました。
果たして、これだけブロックを駆使する方々が、自分の意見に反対するユーザーだけでなく、自分の意見に賛同する「暴言を吐き誹謗中傷に及ぶアカウント」をリスクと捉えないことが、あり得るだろうか。
つまり、こういうことです。
Twitterで多くのフォロワー層を抱えてビジネス・政治活動・社会学等の学問研究に携わるフェミニストやジェンダー系のアカウントは……。
自分の意見に反対するユーザーだけでなく、自分の意見に賛同する「暴言を吐き誹謗中傷に及ぶアカウント」も、可能な限りブロックしているのではないだろうか。
それゆえに「フェミニストやジェンダー系のアカウントのあまりにも酷い言動」と「それに迷惑している女性の声」が不自然なほど「見えていない」のではないだろうか。
5. 『記録』の重要性
私の仮説は、以下の通りです。
では、その「意図」は何なのでしょう。
まず考えられるのは、単純に「どのようなアカウントであっても、暴言を吐くユーザーとは関わりたくない」という心情。もう1つ考えられるのは「戦略として、暴言を吐き誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウントと直接的に接触するのを防ぐ」というものです。
例えば、直接的な引用RTやリプライにて、以下のような「暴言を含む賛同意見」がツイートが自身の投稿に沢山つけば……。
これらの言動を無視し続けることにも、限界が生じてくる。
「フェミニストやジェンダー系のアカウントのあまりにも酷い言動」と「それに迷惑している女性の声」から、目を逸らすことができなくなる。
つまり「現状を見ない振り」ができなくなる。だからこそ、目を逸らし続けるために都合の悪いアカウントをブロックしている。
……ただ、これは「意図」という内心の問題。本当の動機を窺い知ることはできず、推測の域を超えることはありません。当たっていたとしても、そうでないとしても、本人は否定するでしょう。
前述した通り、本当に「暴言を吐くユーザーと関わりたくない」というだけの可能性も十分にある。そもそも、これはあくまで私の推測に基づく「仮説」に過ぎない。
だからこそ、考えるべきは「暴言を吐き誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウントのあまりにも酷い言動」と「それに迷惑している女性の声」があまりにも「不可視化」されている、現状そのものです。
可能性を念頭に置くことは大事です。しかし、この現状が意図的に為されているのか、あるいは意図的ではないがバイアスによって起こっているのか、それとも完全なる偶然の積み重ねによって起こったものなのか、それは分からない。推測の域を出ない。
しかしながら……。
いずれにせよ、ビジネス・政治活動・社会学等の学問研究に携わるフェミニストやジェンダー系のアカウントに期待しても、何にもならない。
自分たちで、何とかするしかない。
以前に私は、キャンセルカルチャーおよび表現バッシングに対して「当事者以外の第三者である個人が、現実的に可能な対抗方法」を検討しました。
その方法は、具体的に5つあります。
法的措置
エンカレッジカルチャー
根拠と記録によるアプローチ
選挙の情報共有
スキャンダルの調査とリーク
私は、この5つの中で「根拠と記録によるアプローチ」が最も基本になると考えています。特に『記録』は必要不可欠です。
表現バッシングやキャンセルカルチャーに関する諸問題は、時間を経るごとに状況が変わっていきます。
実際にあった酷い暴言や罵詈雑言が「無かったこと」にされ、その表現を応援していた人々の存在も「無かったこと」にされる。
しかし、これを「歴史修正主義」と糾弾して対話を拒否し、相手をブロックしたとしても、現状は何も変わりません。
必要なのはレッテルを貼ることではなく、実際に起こった事実を淡々と『記録』していくことです。
まずは、Togetter・note・ブログ、何でもいい。
Twitterはフロー型メディアで過去ツイートはすぐに流れてしまいます。さらに「相手からブロックされた場合、その相手に行ったリプライや引用RTは、Twitterの検索にヒットしなくなる」という隠れた仕様もある。そもそも、ツイートが削除されてしまったら元も子もない。
そのため、ストック型メディアをお勧めします。
Togetterでの記録は速報性と拡散性には優れており、元ツイートが削除されても記録が残りますが、運営がユーザーからのまとめ削除要請や通報に応じやすいのは一長一短です。
noteやブログの場合、埋め込み引用で記録すれば元ツイートが消されたとしても、そのツイートの「跡」は残ります。
さらに、スクリーンショットやWEB魚拓等を保存しておけば、企業が法的措置のための情報を集めるときに、支援をすることができるでしょう。
しかしながら、これでもまだ足りません。
『エンカレッジカルチャーとは何か―表現と文化を守る5つの方法』でも書きましたが、10年後や20年後にまで既存のWEBサービスが残っている保証はどこにも無い。
それどころか、特定の騒動に関しては現時点で既に「WEB上の記録が軒並み非公開・削除・閉鎖・凍結され、紙媒体で保存しなければ詳しく時系列に沿った記録が残らない」という事態が発生しています。
『記録』が本領を発揮するのは、人々の「記憶」が忘れ去られたとき。だからこそ、短期的・中期的なWEBサービスでの『記録』と並行して、長期的な紙媒体で「当時、いったい何が起こっていたのか」という『記録』も進めていくのが望ましい。
紙媒体での『記録』を同人誌としてコミックマーケット等で頒布すれば、コミケット運営によって保存もされます。
BOOTH等でオンデマンド印刷同人誌として販売すれば、買った人の手元に確実に物理的な形で残せます。記事執筆者が印刷費を負担しなくても良い、在庫を抱えなくても良いというメリットもある。
「紙媒体をネット経由で参照するのは困難」と思われるかもしれませんが、紙媒体で記事を執筆する際にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスとして「CC BY-ND」と明示すれば、購入者が自由にコピーやスキャンすることが可能となります。
これにより、何度でもネットに情報拡散して貰うことができる。
また、他にも。
PDFを作成して国会図書館に納本するという方法もあります。オンデマンド印刷同人誌もそうですが、こちらの方法も全てWEB上で作業が完結するため、非常にお勧めです。
非常に恐ろしいことを言えば……。
どうやら、表現バッシング・ジェンダークレーム・キャンセルカルチャーの被害に遭った側だけではなく、あろうことか「積極的に主導した側」の方にも、紙媒体に『記録』をする動きがあるようです。その中身が、自分たちの都合の良い内容となるであろうことは、言うまでもないでしょう。
何らかの事柄に関して、紙媒体に残った記録が「それのみ」であった場合、後世においてはそれが「正しい歴史」となってしまいます。
大げさに聞こえるかもしれませんが、物事を『記録』するというのは、それ程に大切なことなのです。
……。
1年と少しの間ではありますが、現在のアカウントで発信をしてきて、私は非常に強く感じることがあります。
表現バッシングやキャンセルカルチャーに関する諸問題は、一朝一夕で簡単に解決する話ではない、ということです。
今この瞬間に起こっている誹謗中傷や間違った言説に対して『局所的な反論』を重ねていくことは、たしかにある程度の効果が望めるかもしれません。しかし、それだけでは根本的な解決には至らないと思います。
そして『局所的な反論』と同様に、私が1年間ずっと呼びかけ続けてきた『丁寧で穏当な言葉で一般層にアプローチする』という方針も、これ単体では問題の解決には至らないと、私は考えています。
『一般層へのアプローチ』という方針。これ自体には大きな効果がある。それは、私が「1年間で1万フォロワーを達成した実績」からご理解いただけると思います。そして、私はこれからもこの方針を取り続けます。一般層の興味関心を惹くことには、意味がある。
しかし、これだけでは問題は解決しない。そして、はっきり言って現代の日本に『表現の自由』は「既に」存在しないものと思います。
配慮および「自主規制」という名の表現規制は、深刻な程に進んでしまっている。そして「自主規制」の恐ろしさは「公的規制」よりも、数理的に遥かに大きな「萎縮」をもたらします。
以下の記事をご覧いただければ、その実態が分かるものと存じます。
では、どうすれば良いのか。
1年間の発信を経て、様々な方とのやり取りを踏まえて、現在の私が考えているのは「来るべきときのために、備えておく」ということです。
世論の盛り上がり方は、個人がコントールできる範囲にありません。いつどんな問題提起がされるのか、その話題がどの程度の盛り上がりを見せ、いつまで続くのか、完全な予測は誰にもできない。
だからこそ。
事前にできる範囲で、世間の興味関心を集めておく。
コツコツと、炎上事例の記録をしていく。
表現バッシングやキャンセルカルチャーに関する諸問題に関する世論が大きく盛り上がったとき、時代のうねりが大きな波となったときのために。何が必要となるか分からずとも、来るべきときに備えて。
今、できることを。
【追記】 炎上の中心はどこ?
本記事の公開後、いくつかのご意見をいただきました。
そして、ご意見を拝見したうえで少し補足する必要があると思いましたので、内容をさせて頂きます。
炎上の広がり方と、ヒエラルキー構造の関係性について。
まず、幻集郎氏が調査した『200いいねを超えるツイートの数』のランキングでは、その上位・中位・下位でその属性がはっきりと分かれる傾向が出ています。
そして、私の仮説は「Twitterで多くのフォロワー層を抱えてビジネス・政治活動・社会学等の学問研究に携わるフェミニストやジェンダー系のアカウントは、フォロワー数が少なく暴言を繰り返し誹謗中傷に及ぶフェミニストやジェンダー系のアカウントをブロックしている」というものです。
さながら、幻集郎氏のランキングで"5位"の朱奈(シュナムル)氏が、"100位"のよもぎ団子氏をブロックしているように。
実際には、全体の傾向とは別に個々のアカウントのレベルでは、上下の階層に少しずつ食い込み「グラデーション」のようになっている模様。この辺りの細かい点については、幻集郎氏の記事を読まれることをお勧めします。
さて。
SNSで何らかのコンテンツが炎上する際、コンテンツ側に原因がある場合は公開直後に炎上します。
なぜなら、そのコンテンツをチェックしているファンたちがすぐに気がついて批判をしたり、苦言を呈したりするから。
しかし、表現バッシングおよびジェンダークレームによる炎上の場合は「そのコンテンツの公開日から時間が経過しているのに、ある日いきなり炎上する」という特徴があります。
ファンたちによるクレームではないから、実際に表現が取り下げられてしまうと、多くのファンが嘆き悲しむ結果となってしまう。
表現バッシングおよびジェンダークレームによる炎上の特徴は「特定のインフルエンサーが対象を非難し、周りがそれに追従することで発生する」からこそ、コンテンツ公開日とのタイムラグが生じるのです。
なお、余談ではありますが……。
上記の「マイメロバレンタイン企画の炎上」について記事を書かれた方は、後日このような記事を書かれています。
大手メディアに頼らずに、個人である1人1人が表現バッシングやジェンダークレームによる炎上事例を『記録』していくことがいかに重要であるか、その危機感が伝わるかと思います。
(いずれは、表現の自由を守る人々からも大手メディアへのコネクションを築けたら良いとは思うのですが、なかなかそう簡単にはいかないでしょう)
さて、ここで。
このような疑問を持たれる方がいらっしゃると思います。
一見すると矛盾して思えるかもしれませんが、これはむしろ「だからこそ、表現バッシングやジェンダークレームは意見に一貫性が見られない、独特な炎上の広がり方をする」と言えるのです。
まず、表現バッシングの炎上パターンは、大まかに分けて3通り。
例えば、幻集郎氏が調査したランキングで"14位"に入る太田啓子氏が発端となり、宇崎ちゃん献血ポスターの炎上は起こりました。
最初の非難はUnseen Japan氏によるものですが、この話題が大きく広がったのは太田啓子氏のツイートによるものでしょう。
なお、宇崎ちゃんと日本赤十字社の献血コラボキャンペーンが始まったのは10月1日、太田啓子氏の言及は10月14日。
Google検索で2019年10月14日以前の情報を見てみると、ヒットするのはオタクの「チョロさ」や「悲哀」を面白みのある自虐として捉える投稿はありますが、女性差別の文脈で批判するものは見られません。
つまり、この炎上は「そのコンテンツの投稿・公開日から時間が経過しているのに、ある日いきなり炎上する」「特定のインフルエンサーが対象を非難し、周りがそれに追従することで発生する」に該当します。
ここで気になるのは、発端となった太田啓子氏のツイートについた「RT&いいね」の数です。
……いかがでしょう?
「あれほど大規模で長期に渡って話題となった炎上にも関わらず、思っていたよりも数字が伸びていない」と感じませんか?
太田啓子氏のツイート自体のRT&いいねは、1万にも届いていない。
これが「公式投稿型」の炎上であれば、RT&いいねは伸びずに引用RTだけが伸びる理由も納得がいきます。
しかし、宇崎ちゃん献血ポスターの場合は「ユーザー投稿型」であり、宇崎ちゃん献血ポスターに否定的な立場からすれば、このツイート自体は同様に「否定的な立場」の意見であるため、RT&いいねで広まるはず。
でも、そうなっていない。
(なお、太田啓子氏が「環境型セクハラしてるようなもの」と認識しながら、自分自身もその画像をTwitterに投稿して拡散するのは、太田啓子氏の基準で言うならばそれこそ「環境型セクハラしてるようなこと」に該当するのではないか……という論点は、今回は脇に置いて起きます)
このことから、フェミニストやジェンダー系アカウントのヒエラルキーにおける「上位属性」に類する太田啓子氏が、「下位属性」のアカウントをブロックしていることで、話題の規模に比べて数値の伸び方が少なく留まっていると推測できます。
しかし、炎上自体は大きな規模で広がっている。
媒介の中心となっているのが、おそらく「中位属性」です。
表現バッシングおよびジェンダークレームによる炎上は、クラスタ内でのヒエラルキー構造で言うところの「上位属性 ⇒ 中位&下位属性」と意見が広まっているのではなく「上位属性 ⇒ 中位属性 ⇒ 下位属性」と、間に『中位属性』が挟まるような広がり方をしていると推測できます。
より正確に言えば、前述した「グラデーション」のような形で、各属性間の情報の伝達が為されている。
上位属性のアカウントがツイートした内容を、中位属性が引用RTする。あるいは、中位属性が通常の単独ツイートで話題に振れる。その中位属性がツイートした内容を見て、下位属性が追従する。上位属性が下位属性をブロックしているからこそ、このような広がり方をする。
このように中位属性のツイートを介すことによって、あるいはハッシュタグ運動やWEB署名を介して、さながら「伝言ゲーム」のようにバッシングが広がっていく。
なお、「ユーザー投稿型」ではなく「公式投稿型」であればこの傾向はより顕著なものとなります。非難の対象となっているツイートに直接ついた引用RTを介して、バッシングが広がっていく。
だからこそ、最初に批判されていた内容と、後から非難される内容では、全く整合性が取れない支離滅裂なものとなる。
また、下位属性が何らかの対象をバッシングして、それを中位属性が拾って言及し、そこから上位属性に伝わっていくというケースも考えられます。下位属性ではなく、中位属性が発端のケースもあるでしょう。
しかし、下位属性や中位属性に端を発するケースの炎上は、コンテンツではなく一般人が標的となることもあり、その場合は上位属性が全く話題に触れない……という場面も見られます。
なお、上記ツイートの「チョコの件」というのは、チョコレートの「リンツ」に関するエピソードを投稿をしたご夫婦が、集団からバッシングを受けてしまった炎上事例のことを指しています。
……正直、酷い言葉による非難の数々に気分が悪くなる一件です。
また、下位属性のアカウントが上位属性のやり方を真似て何らかの対象をバッシングするとき、そのやり方があまりにも杜撰で酷い場合は、上位属性どころか中位属性すら一切話題に触れず、全く炎上が広がらないケースも見られます。
これが、いわゆる「火をつけようとして失敗している」という状況です。
このように考えていくと……。
表現バッシングおよびジェンダークレームで起こる炎上の中心となっているのは、フェミニストやジェンダー系アカウントのヒエラルキー構造における「中位属性」に類する人々なのではないでしょうか。
これを踏まえて、幻集郎氏の提言に何らかの補足をするとしたら……。
「ビジネス、海外」に類する上位のフェミニストにも気を配りつつ、特に注意を払うべきなのは「政治、社会学」に類する「中位のフェミニスト」ということになります。
「政治、社会学」に携わるフェミニストの動向に注意を払うことで、表現バッシングおよびジェンダークレームに対策を講じたり、炎上の流れを適切に『記録』するための役に立つかもしれません。
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