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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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2022年8月の記事一覧

<映画評>シャイニング

<映画評>シャイニング

 スタンリー・キューブリックの映画手法による面白さが、よく表現された作品である。キューブリックの最高作品は、なんといっても『2001年宇宙の旅』だが、『2001年・・・』の素晴らしさは、何よりもセリフをなるべく少なくして、映画本来の表現力である映像で語りかけていることに集約される。そして、『シャイニング』も、映像による表現力に同様の素晴らしさを見つけることができる。

 冒頭の、主人公一家が山道を

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<芸術一般及び書評>『チャタレイ夫人の恋人』とD.H.ローレンス

<芸術一般及び書評>『チャタレイ夫人の恋人』とD.H.ローレンス

 昔、英文科の学生がD.H.ローレンスを「ド・エッチ・ロレンス」と呼んでいたごとく、D.H.ローレンスは、たんなるセンセーショナルな性を描いた作家と間違われている(ただし、21世紀に入ってからは、この作品に対する研究成果を反映した人文科学的見地から作成された映画が出ており、ローレンスに対する認識はようやく正常なものになってきた感がある)。

 もしローレンスが性的であるというなら、ローレンスの後に

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<書評>『ロバート・キャパ写真集』

<書評>『ロバート・キャパ写真集』

2017年 ICPロバート・キャパ・アーカイブ編 岩波文庫

 世界で歴史上初めて有名になった、報道写真家・戦争写真家ロバート・キャパ、本名エンドレ・フリードマンという、ユダヤ系ハンガリー人で後にアメリカ市民権を得た「キャパ」の写真集である。

 そこには、スペイン内戦、日中戦争、第二次世界大戦、戦後のヨーロッパやソ連の風景、イスラエル独立(第一次中東戦争)、ヘミングウェイ等の友人たち、戦後の日本

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