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【中編】【火星】 新エンジンで叶える火星旅行


さあ、前回の
「 【前編】【火星】 火星を見上げる時代に終止符を  」 
の続きを進めていきましょう。






アメリカが描く核融合エンジン



The Fusion Driven Rocket (FDR推進システム)

credit: NASA

NASAが支援しているプロジェクトの一つに、ワシントン大学研究チームが主軸となって研究、開発をすすめるFusion Driven Rocket(FDR)があります。


 FDRとは

大学の研究チームはオリジナルの磁場を作り、それにプラズマを包まむことに成功した。
核融合反応の材料として重水素とトリチウムを使用し、巨大なリチウム製の金属リングでプラズマを核融合反応が起きる状態まで超圧縮する。
これが、FDRのメカニズムです。

プラズマ(紫色)が噴射され、リチウム金属のリング(緑色)がプラズマの周囲で急速に崩壊し、核融合を起こしているアニメーション動画。

そして、このリチウム金属とプラズマの合体によって生成されるイオンが高速射出されることで、その反作用で推進力を得ます。

現段階の状況としては、各パーツごとの単独実験は全て成功を収めいます。
そして、パーツの組み立て後の全体の実験で成功を収めれば、FDRは我々の身体を火星へ運んでくれる一つの選択肢として登場することになると思います。


楽しみです。




我が日本が描く核融合エンジン



レーザー核融合エンジン

credit: 矢沢サイエンスオフィス


独特な形状をしていますね。
昭和チックなSF世界観がふんだんに投影されている構造で、見ている私たちをとてもワクワクさせてくれるような形状をしているのが特徴です。

こちらの推進システムは、九州大学と大阪大学の共同研究として行われています。
先ほどのFDRとはまた違ったアプローチで開発されているこのロケットの名称は、




レーザー核融合ロケット 


では、レーザーの要素は一体どこにあるのでしょうか。

credit: 九州大学 山本研究室HP (http://art.aees.kyushu-u.ac.jp/research/LFR/No-11-2.htm)

まず、核融合をする上で必要不可欠な燃料を用意します。
そして、その材料に向けて高出力レーザーを照射することで高圧かつ高温状態となり、プラズマが発生すると、燃料の原子核が衝突し始め核融合反応が始まります。
また、将来的な設計で、エネルギー効率としてはシュミレーションによると60%ほどという結果があるため、推進エネルギーにまわりきれなかった余り物たちの多くは、レーザーエネルギーとして再利用される循環システムも考えられているます。


では、このシステムにおける推進力についてです。

原理としては、プラズマの放出に際にかかる反作用を推進力として利用します。
しかし、興味深いのはこのプラズマ放出の方法です。

① 超伝導コイルで発生している磁場の中で燃料を核融合状態にします。
② 核融合により発生した高温プラジマと磁場の相互作用で、プラズマが膨張していきます。
③ 磁場はある時点でその膨張を妨げる様に元の状態に戻ろうとします。
④ 膨張するプラズマは磁場の戻ろうとする力に耐えきれず押し出される様に放出されます。

イメージとしては、風船をわし掴みした状態から空気を入れていき、最終的に風船が膨張し手から飛び出るといった感じでしょうか。




なぜ、核エネルギーを使うのか



それは、時間安全性が大いに関係してくるのです。

長距離の宇宙空間移動をしていく上で、宇宙飛行士は非常に高いレベルの放射線に曝されます。
長期的に被曝をする結果として、癌や不妊症といった病を引き起こしてしまう原因となり得るのです。
つまり、長距離移動をする上で安全性を考慮すると時間という制約がかかってしまうのです。

ここで、
「これまでにない、新たな推進エネルギーを考えなければならない」
という現実にぶつかりました。


新しい推進エネルギーを紹介する前に、ここで従来使われている推進システムをご紹介します。
従来利用されている推進システムは、化学推進電気推進システムの二つがあります。


化学推進システム

cap: NASA

ロケットの推進システムとして有名なのが、化学推進。
宇宙空間というのは、酸素という生命活動とジェット機の飛行に必要な物質が存在しません。
そのために、化学推進としては酸化剤と推進剤を均一に混ぜ合わせて固体化させた固体ロケットエンジンと、酸化剤と推進剤を別タンクに分けて燃焼室で燃焼させる液体ロケットエンジンの二つが存在し、現在も主力として利用されています。
しかし、多大な推力が得られる反面にそのエネルギー効率の悪さが挙げられます。
例として、サターンVというアポロ計画などで用いられたロケットでは3500万ニュートンという多大な力を生み出す代わりに360万Kgほどの推進剤を軌道に乗せるためだけにあっという間に消化したのです。
ここから察するに、化学推進の限界を痛感せざる負えません。

電気推進システム

cap: JAXA

次に人工衛星の推進システムとして有名なのが、電気推進システムです。
最も一般的なのが、ホールクラスターというイオンを放出する反動で推力を得るイオンエンジンです。
こちらのシステムは、化学推進よりも推進剤1gに対するエネルギー効率が非常に良いが、得られる推進力は化学推進に劣るという面があります。
さらに、電気を発生させるシステムとして利用するのは、太陽光発電です。
となると、太陽からの距離が遠くなればなるほど持続的に安定した電力供給は困難を極めます。
つまり、遠くに行くには限界があるのです。

以上のことから、新たな推進システムとして核エネルギーを使用した原子力推進が注目を集めているのです。



そして
この技術が確立し火星にいけたとして、人間が火星で居住するためには、何が必要なのか
もちろん考えていく必要が出てきますよね。

次は、核を利用した居住システムについて一緒に見ていくことにしましょう。




↓ ↓ 続き ↓ ↓
最終回「【後編】 核と共に火星へ ~火星に住むために~

では、また。



WRITER & DESIGN: yuji TAKAHASHI

宇宙工学を専攻する大学生。
宇宙ビジネスの分野を独学で学び、そのアウトプットを兼ねた情報発信でNoteでの投稿を開始。
SNSでも、様々なニュースの発信。
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