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ことばつむぎ

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心の琴線に触れた出来事を綴っています。ほっ、としたい時にどうぞ♡
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#海外生活

結局、人は人に救われる

結局、人は人に救われる

窓を叩きつける風
横殴りの雨
霧に包まれた朝
風と雨で木から剥がれ落ち、茶色くなった葉っぱを踏む
毎年雨のハロウィン
だけど、今年は晴れ46年ぶりの満月

ピローケースをバッグ代わりに5kg分のキャンディーを集めた息子は、特大チョコバーがいくつ入っていたかを友達と競い合う。
その横で娘はお菓子の山の中から高級チョコレートを探し出し、口に頬張る。

この日、私と夫がハロウィンにもらったのは、キャンデ

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ピアノレッスン

ピアノレッスン

物心がついた頃からピアノを弾いていた。

ピアノを弾いていると無になれた。

初めは何度も練習して指と頭で曲を覚える。
楽譜を見なくても弾けるようになった頃から、
音に心をのせていく。
何も考えないでただただ、心をのせてピアノを弾く。
そういう感覚が好きだった。

実家のピアノは、10年以上調律されていないアップライトピアノだった。
全体的に音がずれていて、中でも「ラ」の音が思いっきし狂っていた。

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秋の空 ー夕焼けアラート発令中!ー

秋の空 ー夕焼けアラート発令中!ー

秋の夕焼けは、ほーんとに綺麗。
ピンクと群青色の空。
あまりの美しさに、
リアルワールドのものとは思えなくて
心が異次元にトリップしてしまう。

パワフルな夏の間は、一息つくような暇もなかったけど、
秋は、空を見上げたり、森を感じたり、
そういう時間が、オートマティックにやってくるので好きだなあ。

Autumn Awareness

芽吹きの勢いを経て旬を経験した後の、
枯れていくまでの長い道

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幸せを見つける才能

幸せを見つける才能

亡くなった、私の父は、才能があった。
「天才」と呼ばれる部類に入るといっても、許されるだろう。

しかし、振り返ると、大変な人だったなあーと思う。
父の実姉ですら、亡くなった時に、
「この世の中では彼は相当に生きづらかったから、おばあちゃんのところに行けて良かったねえ」と言うほどだった。

ピュアな故の生きにくさ芸術やITや科学の分野で、「天才」と呼ばれる人は、得てしてピュアで自分に正直であるよう

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あげられなかったコイン

あげられなかったコイン

Save on foodの前で、晴れの日も、雨の日も、夏も、冬も、物乞いをしている男がいた。

汚れたダウンジャケットを羽織い、ボロボロのリュックを背負って、キャップ帽を募金箱代わりにコインを恵んでもらうのをずっと待っている男。

私の記憶が正しければ、私がスコーミッシュに越してきたときから彼はそこにいた気がする。

BC coastには、物乞い(beggar)がとても多い。
見るからにホームレス

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HAKU 〜生きている証〜

実家の猫が旅立った。

18年前の夜のこと。
うちの前の道路に、小さな塊がポツンと落ちていた。
ネズミかと思ってよくみたら、耳の大きな死にかけの子猫だった。
周りをみてみると、子育て中の母猫がいた。
死にかけのその子のことは、目に入らないのか、見捨てたようだった。

片手の手のひらよりも小さい子猫は、かろうじてまだ息をしていた。

あれから18年。
私が一緒に暮らしたのは3年ほどで、あとの15年は

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少し不在の空間

少し不在の空間

短い夏 
息をゆっくり吸う暇もなく毎日がめいっぱいに過ぎていく。
子どもとの日々が慌ただしく元気にすぎていき
空いた時間でクラフト作業を進めていく。
頭も体も動きっぱなしで
振り子が「動」のメーターで振り切れそうになる。

短い夜の静かな時間に、ようやく深呼吸。
とっちらかっている心を落ち着かせる時間。

この夏は、静かな夜の時間に、小説をたくさん読んだ。

空いた時間の使い方。

人と会って、「

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