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【新春!オンライン事件捜査ゲーム】『闇の中の五人』
想定プレイ人数 1~5人程度 想定プレイ時間 1時間~1時間30分
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Chapter:0【序章】
星空も静かに澄みきった、元日の夜半。腕時計に視線を落とせば、針は22時を回ったところだった。
大きな門松が左右に飾られた数寄屋門を見上げ、あなたは肩をすくめて呟く。
「幸先の悪い仕事始めだぜ、まったく」
門扉の表札には『望月(もちづき)』と彫られている。この厄払市をシマ
『闇の中の五人』作者あとがき
はいどうも!あけましておめでとうございます、作者でございます。
このたびは『闇の中の五人』をプレイいただき、そしてここまで読んでいただいてありがとうございます。
友達のおうちで、道尾秀介先生とSCRAPさんがコラボした犯罪捜査ボードゲーム『DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人』をプレイさせてもらって「うひょ~!なんか証言とかデータとかいっぱいあるのを手分けして調べて、みん
Chapter:Ⅶ【真相2】
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「望月さんが疑っていたとしたら、それはアンタだろうな――泥舟さん」
あなたが指さすと、泥舟は強ばった笑みを浮かべる。
「なんの冗談だ、探偵」
「冗談じゃないさ。今夜、この屋敷に着いて応接室に通されてから、望月さんが死ぬまでの間に席を立ったのは腕太くんを除けばアンタだけじゃないか。『レ・ヴィオレッテ』が屋敷に届いたのは今日の昼すぎ。アンタら
Chapter:Ⅵ【真相】
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「この事件には犯人なんていないんだ。望月十五は、隠し持っていたドスで自分で喉を裂いて死んだんだ。自らが仕掛けた停電のさなかにな」
あなたの言葉に、幹部たちはざわめく。鰐飛が狼狽したように食ってかかる。
「自殺やったっちゅうんか? そんな訳あるかアホ! しかもなんや、停電も望月の仕業や言うて、どういうことじゃ」
「望月さんが最近、買い替えた
Chapter:Ⅴ【推理】
三人の幹部と有栖井腕太、舞目路黒美をリビングに集めて、あなたは事件の真相がわかったと宣言する。
泥舟が「ふふっ」と吹き出して肩をすくめ、他の二人と顔を見合わせた。
「驚いたな。鰐飛のアニキの言うとおり、本当に一時間以内で事件を解いちまったらしい。さすがだよ探偵」
あなたは泥舟に挑むような視線を向ける。
「わかってみれば簡単だったよ。この事件の隠された構造――起こった事件の裏にある、『
【ワインセラーの調査】
舞目路と碧居に案内してもらい、地下のワインセラーに入る。
元は納戸だったのを改造したらしい四畳半ほどの部屋。三方の壁を、横倒しにされたワインボトルがずらりと並ぶラックが埋め尽くしている。
「こりゃすごい。何本くらいあるんですか?」
「あっ。500本は超えていると、聞いたことがあります。『死ぬまでかかっても飲み切れないだろうに、掘り出し物があるとつい買ってしまうんだよ』と言って笑ってらっしゃ
【小浦と野呂井の証言】
――お前らはそれぞれ、泥舟と鰐飛をここまで車で送って、到着した後は応接室の前で警護をしてたんだったよな。詳しく聞かせてもらえるか。
小浦「僭越至極ながら、わたくしが泥舟さまをお連れ申してこちらのお屋敷に馳せ参じたのは、確か八時三十分頃だったかと存じたてまつります。会合の時間は九時からと伺ってございましたが、泥舟さまが、少し早く着くようにしたいとわたくしに申しつけられたものでございますから。泥舟さ
【碧居法比古の証言】
――凶器に使われた鰐飛のドスだが、盗んだのはお前じゃないのか?
「あちゃ。もしかして、泥舟さんにでも見られてました? 参ったな。確かに盗んだのは俺です。組長から頼まれたんですよ。これを飲ませれば前後不覚になるから、飲みにでも誘って鰐飛さんからドスを盗って来いって錠剤を渡されて。くすねたドスはあの夜のうちに、組長の家まで届けました」
――望月さんに頼まれただって?
「鰐飛さんはあのドスを、病床
【舞目路黒美の証言】
――この屋敷で働き始めて、どれくらいですか?
「あっ。まだ二か月ちょっとです。勤めていたレストランを辞めてしまって、再就職先を探していたところにノリちゃんが……あっ。碧居さんが、家政婦さんを探している人がいるって声をかけてくれて。あの人は兄の中学時代の同級生で、親友なんです。私のこともいつも気にかけてくれて……」
――今日、屋敷を出たのは何時頃ですか?
「あっ。夜の6時過ぎです。……あっ。普
Chapter:Ⅳ【キッチン】
家政婦の舞目路黒美は、不安げに目を伏せている。あなたと同じように電話で起こされ、ゴリラのレクサスに乗せられてきたのだろう。
彼女は通いで三日に一度、この屋敷に来ているそうだ。
守るように舞目路の肩を抱き「彼女への取り調べは俺も同席しますから!」と息巻く碧居をいなして、あなたはキッチンに向かった。
「舞目路さん。最近、台所の家電をいくつか買い替えたようですね。玄関に真新しい段ボールが畳んで積
【有栖井腕太の証言】
――キミは、望月組長の息子だね?
「……誰から聞いたんですか?」
――そのお父上譲りの、綺麗なグレーの瞳を見れば誰でもわかる。
「……父にも似たようなことを言われました。母は3カ月前に急性の胃がんで亡くなったのですが、死ぬ直前に言われたんです。『うさぴょんぴょん組の望月十五を頼りなさい。その人があなたの父親だから』って」
――自分の父親について、それまでお母上に尋ねたことはなかったのかい?
【鰐飛伊那馬の証言】
――おとといの晩、ドスを失くした時のことを詳しく聞かせてくれ。
「詳しくもクソも、正味の話なんも憶えとらんねん。気がついたら朝、家のお布団でおねんねしとって、腰に挿しとったドスがのうなっとったんじゃ。今ならわかるで、誰かが薬でも盛ったんに決まっとる。ワシをヘロヘロにしてドスをガメるためにの」
――薬だと?
「せや。ワシがあのドスを、肌身離さず持っとることは誰でも知っとるけぇの。凶器に使えばワ
Chapter:Ⅲ【再び殺人現場】
あなたはワインボトルを手に取った。ヴィンテージは2005年とある。テーブルに並んだグラスを一瞥して、あなたは尋ねる。
「ワインに口をつけたのは、望月さんだけみたいだな」
「望月の奴、テイスティングがどうのと言うて、気取ってコップをぐるぐる回しとったわ。乾杯と言われる前にあないなことになってしもうたからの、ワシらビンにもコップにも触ってすらおらん」
「ちょうど、腕太くんが全員のグラスにワイン