Chapter:Ⅲ【再び殺人現場】

 あなたはワインボトルを手に取った。ヴィンテージは2005年とある。テーブルに並んだグラスを一瞥して、あなたは尋ねる。

「ワインに口をつけたのは、望月さんだけみたいだな」

「望月の奴、テイスティングがどうのと言うて、気取ってコップをぐるぐる回しとったわ。乾杯と言われる前にあないなことになってしもうたからの、ワシらビンにもコップにも触ってすらおらん」

「ちょうど、腕太くんが全員のグラスにワインを注ぎ終わる頃でしたよね、停電が起きたのは」

 鰐飛と碧居がそれぞれ答える。
 あなたは四人の容疑者を見回して、言った。

「どこか別の部屋を借りて、一人ずつ話を聞かせてもらえるかな」

 うさぴょんぴょん組の幹部たちは顔を見合わせる。碧居が作り笑いを浮かべて口を開いた。

「ならリビングが良いでしょう。ここより広いし椅子とテーブルの備えもある。大きな窓があるから密談には向かないと組長は言ってましたが」

「それと。家政婦がいるんだったな? 彼女も呼び戻してほしい」

その言葉に、碧居は急に声を荒げた。

「くっ、黒美ちゃんは無関係です! だってここに居なかったんだから。あの子を巻き込まないでください」

「法比古、落ち着け。探偵はただ話を聞きたいだけだ」

 血相を変える碧居を、泥舟がとりなす。あなたは、おや、と思う。

「無関係かどうかは俺が判断する。それに、家政婦なら普段の望月さんの様子についてはアンタらより詳しいんじゃないか?」

「……わかりました」

碧居はため息をついてスマートフォンを取り出し、部屋を出て行った。

「はぁ。こっちはゴルフ帰りでくたくたやっちゅうのに、かなわんなしかし。のう名探偵」

鰐飛が、悪趣味な金のロレックスが巻かれた手首をあなたに向かって突き出した。

「日付が変わるまで……1時間でケリつけようや」
「こっちとしてもそうあってほしいね。明日はパルコの初売りに並ばなきゃならねえんだ」

そう言い返して、あなたは――

鰐飛に話を聞く
泥舟に話を聞く
腕太に話を聞く
死体を調べる

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