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【新春!オンライン事件捜査ゲーム】『闇の中の五人』

想定プレイ人数 1~5人程度 想定プレイ時間 1時間~1時間30分 ******** Chapter:0【序章】  星空も静かに澄みきった、元日の夜半。腕時計に視線を落とせば、針は22時を回ったところだった。  大きな門松が左右に飾られた数寄屋門を見上げ、あなたは肩をすくめて呟く。 「幸先の悪い仕事始めだぜ、まったく」  門扉の表札には『望月(もちづき)』と彫られている。この厄払市をシマとする暴力団「うさぴょんぴょん組」の組長の自宅だ。  あなたは私立探偵。これま

    • 『闇の中の五人』作者あとがき

      はいどうも!あけましておめでとうございます、作者でございます。 このたびは『闇の中の五人』をプレイいただき、そしてここまで読んでいただいてありがとうございます。 友達のおうちで、道尾秀介先生とSCRAPさんがコラボした犯罪捜査ボードゲーム『DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人』をプレイさせてもらって「うひょ~!なんか証言とかデータとかいっぱいあるのを手分けして調べて、みんなでひとつの殺人事件を捜査するやつおもしれ~~~~~」となって書き上げたのが本作

      有料
      200
      • Chapter:Ⅶ【真相2】

        ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓  「望月さんが疑っていたとしたら、それはアンタだろうな――泥舟さん」  あなたが指さすと、泥舟は強ばった笑みを浮かべる。 「なんの冗談だ、探偵」 「冗談じゃないさ。今夜、この屋敷に着いて応接室に通されてから、望月さんが死ぬまでの間に席を立ったのは腕太くんを除けばアンタだけじゃないか。『レ・ヴィオレッテ』が屋敷に届いたのは今日の昼すぎ。アンタらは三人とも、今日は午前中から新年会やらゴルフやらで外に出ていたから、事前に屋敷に

        • Chapter:Ⅵ【真相】

          ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓  「この事件には犯人なんていないんだ。望月十五は、隠し持っていたドスで自分で喉を裂いて死んだんだ。自らが仕掛けた停電のさなかにな」  あなたの言葉に、幹部たちはざわめく。鰐飛が狼狽したように食ってかかる。 「自殺やったっちゅうんか? そんな訳あるかアホ! しかもなんや、停電も望月の仕業や言うて、どういうことじゃ」 「望月さんが最近、買い替えた三種類の家電製品には共通点がある。オーブンレンジ、炊飯器、食器洗い乾燥機。いずれ

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        【新春!オンライン事件捜査ゲーム】『闇の中の五人』

          Chapter:Ⅴ【推理】

           三人の幹部と有栖井腕太、舞目路黒美をリビングに集めて、あなたは事件の真相がわかったと宣言する。  泥舟が「ふふっ」と吹き出して肩をすくめ、他の二人と顔を見合わせた。 「驚いたな。鰐飛のアニキの言うとおり、本当に一時間以内で事件を解いちまったらしい。さすがだよ探偵」  あなたは泥舟に挑むような視線を向ける。 「わかってみれば簡単だったよ。この事件の隠された構造――起こった事件の裏にある、『起こらなかった事件』を考えてみればな」 →【真相】へ

          Chapter:Ⅴ【推理】

          【ワインセラーの調査】

           舞目路と碧居に案内してもらい、地下のワインセラーに入る。  元は納戸だったのを改造したらしい四畳半ほどの部屋。三方の壁を、横倒しにされたワインボトルがずらりと並ぶラックが埋め尽くしている。 「こりゃすごい。何本くらいあるんですか?」 「あっ。500本は超えていると、聞いたことがあります。『死ぬまでかかっても飲み切れないだろうに、掘り出し物があるとつい買ってしまうんだよ』と言って笑ってらっしゃいました」  舞目路が寂しげに笑った。  ラックを覗く。  ワインにはそれほ

          【ワインセラーの調査】

          【キッチンの調査】

           あなたは、望月が買ったという新しい家電を検めてみることにした。  炊飯器やオーブンが事件に関係しているとも思えないが、事件直前の被害者の行動を追えば、思わぬヒントが掴めることもある。  ……「真空あばれ炊き」ってのはちょっと気になるな、とあなたは思った。 →戻る

          【キッチンの調査】

          【小浦と野呂井の証言】

          ――お前らはそれぞれ、泥舟と鰐飛をここまで車で送って、到着した後は応接室の前で警護をしてたんだったよな。詳しく聞かせてもらえるか。 小浦「僭越至極ながら、わたくしが泥舟さまをお連れ申してこちらのお屋敷に馳せ参じたのは、確か八時三十分頃だったかと存じたてまつります。会合の時間は九時からと伺ってございましたが、泥舟さまが、少し早く着くようにしたいとわたくしに申しつけられたものでございますから。泥舟さまに従いましてお屋敷に罷り入りましたらば、お出迎え賜りました有栖井腕太さまにご案

          【小浦と野呂井の証言】

          【碧居法比古の証言】

          ――凶器に使われた鰐飛のドスだが、盗んだのはお前じゃないのか? 「あちゃ。もしかして、泥舟さんにでも見られてました? 参ったな。確かに盗んだのは俺です。組長から頼まれたんですよ。これを飲ませれば前後不覚になるから、飲みにでも誘って鰐飛さんからドスを盗って来いって錠剤を渡されて。くすねたドスはあの夜のうちに、組長の家まで届けました」 ――望月さんに頼まれただって? 「鰐飛さんはあのドスを、病床の先代から託されたんだと吹聴してましたが、どうやら組長はその真偽を疑ってたような

          【碧居法比古の証言】

          【舞目路黒美の証言】

          ――この屋敷で働き始めて、どれくらいですか? 「あっ。まだ二か月ちょっとです。勤めていたレストランを辞めてしまって、再就職先を探していたところにノリちゃんが……あっ。碧居さんが、家政婦さんを探している人がいるって声をかけてくれて。あの人は兄の中学時代の同級生で、親友なんです。私のこともいつも気にかけてくれて……」 ――今日、屋敷を出たのは何時頃ですか? 「あっ。夜の6時過ぎです。……あっ。普段は昼の1時頃に来て、掃除と洗濯、買い物をして3日分の夕食を作り置いたら、望月さ

          【舞目路黒美の証言】

          Chapter:Ⅳ【キッチン】

           家政婦の舞目路黒美は、不安げに目を伏せている。あなたと同じように電話で起こされ、ゴリラのレクサスに乗せられてきたのだろう。  彼女は通いで三日に一度、この屋敷に来ているそうだ。  守るように舞目路の肩を抱き「彼女への取り調べは俺も同席しますから!」と息巻く碧居をいなして、あなたはキッチンに向かった。 「舞目路さん。最近、台所の家電をいくつか買い替えたようですね。玄関に真新しい段ボールが畳んで積んであったのを見ました」 「あっ。はい……一週間ほど前に、オーブンと炊飯器、そ

          Chapter:Ⅳ【キッチン】

          【死体の検分】

           あなたは望月十五の死体を見下ろした。  喉が裂かれ、噴き出した血が着物の右肩から袖口までを汚している。  あなたはふと、違和感を覚える。着物の肩や胴回りが妙に、ごわごわと膨らんで見えた。  袷に手をやり、胸元をはだけさせた。 「……なぁ泥舟さん。望月さんは普段から、こんなもんを着込んでたのかい?」  着物の下から現れたのは、黒いナイロン製の分厚いベスト――警察官や警備員が着込むような、いわゆる「防刃チョッキ」だ。  泥舟は目を丸くしている。 「いや、初めて見たよ」

          【有栖井腕太の証言】

          ――キミは、望月組長の息子だね? 「……誰から聞いたんですか?」 ――そのお父上譲りの、綺麗なグレーの瞳を見れば誰でもわかる。 「……父にも似たようなことを言われました。母は3カ月前に急性の胃がんで亡くなったのですが、死ぬ直前に言われたんです。『うさぴょんぴょん組の望月十五を頼りなさい。その人があなたの父親だから』って」 ――自分の父親について、それまでお母上に尋ねたことはなかったのかい? 「ずっと、父は僕が生まれる前に死んだと聞かされていました。母は小さな飲み屋を

          【有栖井腕太の証言】

          【泥舟勝克の証言】

          「例のドスのことなんだがな探偵。一つ、耳に入れておきたいことがある。……あの夜、法比古が酔いつぶれた鰐飛を介抱してる時に、ベルトに挟んでたドスを抜いたように見えたんだよ」 ――碧居が? 「もちろん俺も酔ってたからな。見間違いかもしれない。ただ……店回りに行こうと言い出したのも法比古だったんだ。あいつは下戸で、俺たちを飲みに誘ったことなんか一度もないのにだぜ?」 ――録音の中でアンタが言ってた『例の噂』ってのはなんだ? 「三代目は腕太を自分の後継者にしようとしていたらし

          【泥舟勝克の証言】

          【鰐飛伊那馬の証言】

          ――おとといの晩、ドスを失くした時のことを詳しく聞かせてくれ。 「詳しくもクソも、正味の話なんも憶えとらんねん。気がついたら朝、家のお布団でおねんねしとって、腰に挿しとったドスがのうなっとったんじゃ。今ならわかるで、誰かが薬でも盛ったんに決まっとる。ワシをヘロヘロにしてドスをガメるためにの」 ――薬だと? 「せや。ワシがあのドスを、肌身離さず持っとることは誰でも知っとるけぇの。凶器に使えばワシに親殺しの罪を着せられると思うたんじゃろ。あれは病に伏せた先代が死の間際、ワシ

          【鰐飛伊那馬の証言】

          Chapter:Ⅲ【再び殺人現場】

           あなたはワインボトルを手に取った。ヴィンテージは2005年とある。テーブルに並んだグラスを一瞥して、あなたは尋ねる。 「ワインに口をつけたのは、望月さんだけみたいだな」 「望月の奴、テイスティングがどうのと言うて、気取ってコップをぐるぐる回しとったわ。乾杯と言われる前にあないなことになってしもうたからの、ワシらビンにもコップにも触ってすらおらん」 「ちょうど、腕太くんが全員のグラスにワインを注ぎ終わる頃でしたよね、停電が起きたのは」  鰐飛と碧居がそれぞれ答える。

          Chapter:Ⅲ【再び殺人現場】