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すーこ
2023年3月6日 20:58
今日も、次に夫に会う日のことばかり考えている。最近、出張が多い。結婚して24年になる。来年銀婚式を迎える私たちは、今でも仲が良く、夫は忙しさの合間を縫って、電話に出てくれたり、電話をかけてくれたりする。留守電に残してくれた夫の声を聴きながら、プロポーズしてくれたときのことを思い出した。*** 24年前のクリスマスイブ。付き合って3年10ヶ月の記念日に、彼から誘われた。「遊園地に、行きま
2021年12月17日 23:48
高校二年の冬、僕たち三人は、ふたご座流星群を見に、とある屋上に上った。 寒い寒い夜だった。 小白千尋、平山賢治と、エレベーターで上がる。「楽しみだね!」 とびきりの笑顔が輝く彼女を連れて、賢治と僕は、屋上へと続く扉を開けた。 頭上に星空が広がる。「結構見えるもんだな。」「そうだな。」「綺麗ね。晴れてよかった。」 街明かりの滲む星空に、彼女は目を輝かせる。「寒くない?」
2021年12月5日 23:13
今日も残業。もう定時という概念は頭の片隅に追いやった。へとへとになりながらも、あるものを楽しみに今夜もがんばっている。厚手の上着に身を包み、底冷えのする室内で一人、手を動かし頭を回す。 やっときりがついた。明日は休みだから、職場の戸締まりのため、念入りに見回りをする。 しーんと静まり返った廊下。もう社屋には私一人。音のない世界に取り残されたような気持ちになりながら、ゆっくりと歩みを進める。
2021年11月29日 02:11
はじめに 表題の通り、ここでの第一作「サンタとトナカイ」とはまったく異なる、お蔵入り別作品です。ちなみに、過去最長です。 実は、noteで書く前、たった一度、とあるサイトできまぐれに小説を書いたことがありました。結果は14ビューで反応0。顔から火が出そうになり、数日後に慌てて取り下げました。 改めて読み返して、本当に恥ずかしいのですけれど、あえて戒めも込めて当時のまま掲載しようと思います。
2021年11月23日 12:15
クリスマスは、少し憂鬱な日だ。 イブが誕生日で、そのまま冬休みに突入するから、家族以外誰も覚えていない。忘れられるものだと思っている。***「来栖さん、おつかれさまです。」「おかえり。今日も営業おつかれさま。」「来栖さんまだ残るんですか。」「うん。明日までの仕事が終わらなくてね。ほら、日報書いて早く帰り。せっかくのイブなんだから。」 言ってて少し哀しくなる。私も、早く帰って、さ
2021年9月10日 15:09
「承子はまたお人好し発揮して。」鈴ちゃんが、困ったような顔をして私を睨む。私はどうもお人好しらしい。幼い頃から、何か頼まれるとできないことでなければ引き受けるし、困っている人を見かけたら放っておけない。そういう性分なので、特に負担に感じたこともないし、見返りがほしいわけでもない。そんな私を鈴ちゃんはいつも気にかけて、大変そうなことは、私が何か言う前に断ってしまう。そんな鈴ちゃんこそお人