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「ガンダム」は、ガンプラを売る為に存在するのか?

今回は、アニメのビジネスモデルについて少し書いてみたいと思う。
まず根本的な話として、なぜアニメは作られるのか?
それは、皆さんに喜んでいただく為ですよ、という綺麗ごとは抜きにして、ひとつにスポンサー企業の販促という目的があると思う。
たとえばスポンサーが出版社の場合、自社の作品をアニメ化することで原作本の売り上げを伸ばす狙いがある。
音楽関連企業なら、主題歌のタイアップによりCD売り上げで稼ぐという目的がある。
そして玩具メーカーなら、キャラクター等をグッズにして売っていく狙いがある。
特に、日本のアニメ界では玩具メーカーがかなり強いよね。
昔から、オトコノコ向けでロボットアニメが多いのはプラモを売りたかったからだと思うし、オンナノコ向けで魔法少女アニメが多いのも魔法アイテムを売りたかったからだと思うよ。

・・だけどね、ちょっとこれを見てほしい↓↓

上の図は、ガンプラ購買層の年齢別シェアである。
これを見る限り、ガンプラって子供よりオトナの方が買っとるやないか。
つまり、「ガンダム」のターゲットはもはや子供じゃなくなってる、ということだろう。
・・おかしいなぁ。
私が子供の頃、周りの友達は結構ガンプラ買ってたんだけど。
あ、私は全く買いませんでしたよ。
なぜって、

私は手先が不器用だから。


昔から図工の成績が悪くてねぇ・・。
あまりにも不器用なもんで、私がガンダム組み立てると最終的にジオングになるんですよ。

ジオング

じゃ、次はこれを見てほしい↓↓

この図は、ガンプラの年別出荷推移のグラフである。
あれ?
この推移、ちょっとおかしくない?
だって、「機動戦士ガンダム」の放送は1979年のはず。
なのに80年代初頭って、全然プラモ売れとらんやないか。
売れ始めたのは、1985年以降のことである。
85年って、確か「Zガンダム」の放送年だよな。
・・あぁ、なるほど。
「Zガンダム」のプロモーションの意味で、「ファーストガンダム」再放送をこの時期に思いっきりやってたんだろう。
あるいは、「マクロス」との相乗効果があったのかもしれない。
で、1989年の売れ行きがまた異常なレベルである。
これは間違いなく、映画「逆襲のシャア」(1988年)効果だろう。
ここが、宇宙世紀の人気ピークだね。
これ以降はややジリ貧になりつつも、1996年と2008年の2回、急に売り上げが伸びてるね。
多分、96年のは「ガンダムW」(1995年)が当たったと見るべきだろうし、08年のは「ガンダム00」(2007年)が当たったと見るべきなんだろう。

「ガンダムW」
「ガンダム00」

イケメン路線に走ると、ガンプラが売れるという法則?
じゃ、次は、今どんなガンプラが売れてるのかを見てみよう。

<ガンプラ売れ筋ランキング最新版TOP5>

【1位】
デスティニーガンダムSpecII&ゼウスシルエット
(ガンダムSEED DESTINY)

【2位】
アカツキガンダム(オオワシ装備) 
(ガンダムSEED DESTINY)

【3位】
MGSD ウイングガンダムゼロ EW
(ガンダムW)

【4位】
インフィニットジャスティスガンダム弐式
(ガンダムSEED FREEDOM)

【5位】
マイティーストライクフリーダムガンダム
(ガンダムSEED FREEDOM)

私、どっちかというと機体に疎いもんで、こういうのを見てもよく分からんのですよ。
ジオングは?
ジオングは1位じゃないの?
見た感じ、「SEED」シリーズのプラモが意外と人気っぽい。
だけど、「SEED DESTINY」が2004年放送だし、今から20年前のやつだぞ。
めっちゃ中古車なのに、人気あるんだ?
新車が中心で売れるってもんでもないんだね。
あぁ、そうか。
リアルタイムに「SEED」シリーズ見てた当時の中学生がもう30代になってるだろうし、今は社会人で金銭にも余裕あるから今度はおカネかけて高難易度のガンプラにチャレンジしてる、といったところじゃないだろうか。
ランキング人気上位のやつって、価格7000円以上するっぽいし。
そりゃ、子供がお小遣いで簡単に買えるもんでもないよなぁ・・。

さて、今度はオンナノコに目を向けてみよう。
これがね、こっちは男子ほど単純じゃないのよ。
なぜって、女子は男子でいうところの「ガンプラ」に該当するものが見当たらないから。
そりゃ、小学校低学年に魔法少女アニメに夢中になって「魔法のステッキ」を買ってもらうことぐらいはあるだろうが、そのステッキは多分1回限りで、そう何度も買い直すものでもあるまい。
彼女らは、ある時期がくると魔法少女を「卒業」するんだよ。

全然卒業しとらんやないか!

と思うかもしれんが、これは単にコスプレである。
男子のように、オッサンになってもガンプラを買うのとはまた意味が違うと思う。
いや、ちょっとだけ似てるかな・・。
何にせよ、経済として魔法少女アイテム市場はガンプラ市場ほどのスケールがないことは事実である。
そういう意味じゃ、バンダイナムコも優先は男子市場なんですよ。
大体、アニメ映画をひとつ例にとっても、興行収入上位にくるのは
・鬼滅の刃
・ワンピース
・名探偵コナン
・呪術廻戦

であり、全てが少年漫画。
少女漫画は、なぜか上位にこない。
これは、「女子もやがて男子市場にやってくる」という現象の顕れである。
多分だが、女子でも「ガンダム」を見てる人は結構多いと思う。
それを特に実証したのが
・ガンダムW
・ガンダムSEED
・ガンダム00

だと言われている。
イケメンがたくさん出てくるやつ。
最近では、「水星の魔女」もうそうだね。
あれはもう、完全に「乙女ゲーム風ガンダム」、および「宝塚風ガンダム」だったもんなぁ。

「水星の魔女」

どう考えても、女子層開拓狙いのマーケティング。
ちなみに、「水星の魔女」はガンプラが結構売れたそうだ。
でも、女子ってガンプラ買わないよね?
いや、それはそうなんだけど、「ガンダム」シリーズの中でも特に女子人気が高いとされる「W」「SEED」「00」、これ3つとも、ガンプラの売れ行きがめっちゃいいらしい。
不思議だな~。
女子人気が高い作品は、女子が買うわけでもないだろうにガンプラが売れるという謎法則。

私思うんだけど、プラモがバンダイナムコの経営基盤を支えてるという現状を踏まえるなら、いっそ「プリキュア」あたりも魔法少女をモビルスーツに乗せた方がいいんじゃない?

魔法少女+モビルスーツのイメージ

魔法のステッキ売るぐらいなら、プラモ売る方が何かとおいしいんじゃないかと。
もはや、モビルスーツは男子だけのもんじゃないですよ。
そういう考え方は、70年代から既にあったと思う。

70年代の女子ロボット
70年代の女子ロボット
70年代の男子ロボットと女子ロボット
70年代の男子ロボットと女子ロボット

女子ロボット、めっちゃ萌えるわ~。


NHK「全ガンダム大投票」より

さて、上の図は2018年にNHKが実施した「全ガンダム大投票」のデータである。
一般に広く投票を募ったところ、投票は男女比が8:2となり、「ガンダム」はいまだ男子偏重の支持層であることが明確になった。
しかしその一方で、作品別に見るとこういうデータが出ている↓↓

なんと、「鉄血のオルフェンズ」の男女比は半々に近い。
これは画期的なデータである。
「鉄血のオルフェンズ」は、皆さんもご存じの通り、男子同士の熱い友情を描いたやつだ。

女子って、こういう男子同士の友情が大好物なのよ。

「鉄血のオルフェンズ」

「鉄血のオルフェンズ」は男子同士の友情、また「水星の魔女」は女子同士の友情。
ここにきて、「ガンダム」はこういう友情路線に走ってきたね。
マーケティングとして、なかないいところついてると思うよ。


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