DQNが増えれば、日本サッカーは強くなる?「ブルーロック」
今回は、アニメ「ブルーロック」について書いてみようと思う。
個人的には、あらゆるスポーツの中でサッカーが一番好きなんですよ。
昔、少しばかり自分がやってたというのもあるし。
子供の頃、「キャプテン翼」が好きでした。
だけど今思うと、「キャプ翼」という作品はあまりにも荒唐無稽すぎた気がする。
立花兄弟のスカイラブハリケーンなんて、どう考えてもふざけてるよね?
また、それを真面目に封じようとする南葛FCも相当ふざけている。
・・審判、ちゃんと注意しろよ。
まぁ、少年ジャンプだからね。
ジャンプはリアリティより、スペクタクル優先である。
その点でいうと「ブルーロック」掲載誌は少年マガジンなので、リアリティは一応考慮されてるはずです。
マガジンって、昔からスポーツものが多い印象の誌である。
サッカーなら、「オフサイド」や「シュート!」は不朽の名作じゃない?
興味深いのは、両作品とも原作者が女性なんだけど。
女性ということはサッカーをやったことがない可能性が高いわけで、そんな人があれほどのものを描けるというのは凄いよなぁ・・。
逆に作者が勉強、および取材を徹底すれば、あそこまでのものを作れるってことだと思う。
で、多分だが、この「ブルーロック」もまた「勉強、取材」で成り立ってるタイプの作品なのでは?
というのも、あまりにもサッカーの科学的領域にまで踏み込んだ学術的内容になってるし、あんなのはサッカー経験ある人間だと、逆に描けないような気がするのよ。
さて、「ブルーロック」の内容に入ろう。
なんだか個性豊かなイケメン勢ぞろいで、一見、女性向けコンテンツっぽい雰囲気があるよなぁ・・。
だけど内容は割と男性向けというか、女性相手にロジックをここまでコネる展開は正直ウザがられると思う。
男子的には、むしろど真ん中ストライクだけどね。
日本サッカー協会が雇った、絵心甚八という人物による
「世界一のストライカーを創る実験」、
その為に集められた高校生300名の中から、僅か1名だけその代表を選抜するという話。
物語は、そのセレクション(ほぼデスゲーム)の内容を描いたものであり、通常のサッカーアニメとは全く似て非なるものである。
まぁ確かに、日本人にワールドクラスのストライカーはいない。
それは「アジア人の肉体的限界」を言い訳にしたくもなるんだが、でも韓国と比較しても、やはり日本のストライカーは劣ってるように感じてしまう。
精神構造の問題?
やっぱ、あれだね。
日本古来の伝統、蹴鞠があかんのよ。
蹴鞠はパス回しばっかりで、ゴールなんて最初から存在しないもん。
一方、欧州のカルチョ(フットボールの原型)は兵士たちの軍事教練だったらしく、ちゃんとゴールが設置されてたみたいだよ。
「ブルーロック」の中で、絵心甚八は
「ストライカーは、エゴイストでなくてはならない」
と言っている。
うん、その理屈はよく分かる。
ただ、日本のムラ社会の中でエゴイストが存在したところで、それは確実にハブられちゃうのよ。
和を以て貴しとなす、の文化ですわ。
出る杭は叩き、均質にすることをよしとする文化。
この日本の土壌として、結構ストライカーが育ちにくい環境だと思う。
でも確かに、昔フィリップトルシエもこう言ってたんだよなぁ。
「8人の明神と3人のクレイジーがいれば試合に勝てる」
トルシエよ、多分これでは勝てんぞ。
だって、GKいないし・・。
ちなみに、私も昔はヨハンクライフ著「美しく勝利せよ」とか読んでたクチなんだが、やはりサッカーが定形のチェス型戦術と決定的に違うところは、チェスみたく駒の役割を一定に計算できないところなんだよね。
それこそ「明神」だったら一定の計算は立つものの、ある意味でそれは上限もまた設定される。
だけど、中には上限もヘッタクレもなく「読めない駒」というのも実在するわけで、そんなのが盤上にあったら、想定してた戦術論とかあっさり無効化されちゃうのよ。
多分、そういうのが「ストライカー」というやつであり、またトルシエいうところの「クレイジー」なのかと。
そういうクレイジーは必要でありつつ、また一方で多すぎてもいけない。
上の画でいうと、ロマーリオ、ストイチコフといったところがクレイジーだと思う。
どっちも素行が悪く、ともに「悪童」といわれた問題児である。
「ブルーロック」でも才能に恵まれた奴ほど、こいつ大丈夫か?というほど性格に難がある設定になってるわな・・。
日本にも悪童が増えれば、世界的ストライカーは生まれる?
そんな保証はどこにもないし、仮にそうだとしても、ひとつ根本的なことを言わせてもらっていいだろうか。
正直、日本に悪童を増やすことがいいことだとは思えんし、そんなことしてまでワールドカップ優勝しなくちゃならんのか?
それこそレイプまがいのタチ悪いことしても、「いやいや、彼ストライカーですから」と免罪符与えるような社会は絶対にゴメンですよ。
そこまでして、ワールドカップ優勝は絶対しなくちゃならんものなのか?
ちょっと、ワールドカップを神聖視しすぎじゃないかなぁ・・。
作中、日本人でありながら日本を後進国と見下して侮辱する不遜なキャラが複数いたけど、正直、ああいうこと平気で言う人たちが今後増えてほしいとは思わんよ。
国の良し悪しは、サッカーが決めるわけでもないだろうに。
サッカー好きの私ですらそう思ったんだから、非サッカーファンは更にそう感じたのでは?
ところが、主人公の潔はクレイジーと程遠く、めっちゃ性格のよさそうな子なんだよね。
お父さんお母さんも性格温厚そうな人だし、そのせいもあって歪むことなくすくすくと育ってきたんだろう。
だけど、この物語の冒頭のくだりでは彼がたまたま人を蹴落とし、その人のサッカーキャリアを台無しにしてしまう、という展開になる。
で、その瞬間、潔は
「何コレ?キモチいい~!」
と、ドSに目覚めちゃうのよ(笑)。
この主人公、めちゃくちゃ面白いね。
正直、私は「ブルーロック」ほど主人公の語りが多いサッカーアニメというのも今まで見たことがない。
その語りの大部分が「心の声」であり、つまり主人公・潔はめっちゃ思考をするタイプの子みたい。
でもって、彼の持ち味がピッチ全体を把握できるという「空間把握能力」ということもあり、ストーリーのMC、解説役としてはこれ以上ない人材である。
うん、一番セリフ(モノローグ)の多い奴が一番ピッチの状況を把握してて、しかもそれが主人公。
つまり、主人公が全て言葉で説明してくれるという、めっちゃ視聴者に親切な構造なのよ。
だから高度な戦術論をやってる割に、案外みんなついていけるんだよね。
この設定がうまいなぁ、と思う。
あと、言葉だけでなく、画的にも非常に分かりやすい作りになってるのよ。
というのは、下の画のように「はい、今、彼のスイッチが入りましたよ!」というサインのようなものがきっちり設定されていて、そのサインが「目」なんだ。
眼球から青い光のようなものが出て、瞳孔のところがグルグル回り始めたら「彼はこれから、凄いプレーをします!」というサイン。
これ、視聴者に親切だよな~。
お陰で、我々はスーパープレーを見逃す心配が100%ない。
多分、この目から光が出る設定は「黒子のバスケ」オマージュだよね?
こういう感じで、「ブルーロック」は他作品のいいところも取り入れつつ、とにかく「視聴者に分かりやすく」を徹底してると思う。
こういう形でフレームがしっかりしてれば、今後さらに複雑で高度な戦術論をかましても十分イケるんじゃないかな?
これぞ、スポーツアニメの構造的進化だよ。
「キャプ翼」の時代より、確実にフレームの質が上がってきている。
あと、こういう球技のアニメというのは、いまどきの3DCGがうまくハマるよね。
・・いいぞ!
ちなみに、「キャプテン翼」のエフェクトは、こんな感じです。
これ、普通に死ぬと思うよ・・。
いや、基本的にサッカー作品はどんなに試合でムチャしても死にません。
死んだのは、「シュート!」の久保先輩ぐらいじゃない?
付け加えると、このてのスポーツものはバトル中に凄く感じ悪い奴でも、後々「結構いい奴だった」というのがお約束。
だから、最終的には必ずといっていいほど後味いいんですよ。
どんなに絶望しても、最後の最後は鬱にならない。
多分、「ブルーロック」もそういうノリになると思う。
ただ、この作品でひとつだけ難をいうなら、環境が閉鎖空間ゆえ致し方ないとはいえ、オンナノコ成分が異様に不足してないか?
そこさえクリアしてくれれば、ほぼ完璧なんだけどなぁ・・。
確か、今秋には続編が始まるんだよね?
もちろん私、楽しみにしています!
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