水原勇気って、なんか萌えるよね・・「野球狂の詩」
先日、何となく「忘却バッテリー」というアニメを見ていた。
いまどき、野球アニメというのも珍しい感じがしたからね。
いや、野球というのは「巨人の星」など60年代からアニメでずっと扱われてきたし、正直「おっ、スゲー!」と思わされるほど新しい切り口とか残ってないと思うのよ。
で、「忘却バッテリー」を見たら、「捕手が記憶喪失になってしまった」というかなり強引な設定だった(笑)。
・・なるほどね。
最近はアニメ視聴者にも忍耐力がなくなり、「巨人の星」星飛雄馬みたく「少しずつ成長していく」王道スタイルはメンドくさがられるものである。
かといって、バッテリーが俺Tueee!の主人公最強設定でやられると、試合がつまんなくなるよね?
三振、三振、三振で無得点がず~っと続く試合なんて、面白くないでしょ。
だからこそ、野球のアニメにおいて主人公サイドのバッテリーは必ず弱点がなきゃいけない。
エンタメの大原則である。
これ、誰だか分かる?
野球漫画の巨匠・水島新司先生の代表作「ドカベン」に出てくる、明訓高校のエース里中くんですよ。
彼は体が小さく、投げ方もアンダースローなので剛速球で三振をとるような本格派ではなかった。
うまいんだが、結構相手チームに打たれることも多かったっけ・・。
いや、だからこそ「ドカベン」は作品として面白いんじゃないか。
投手は、少し脆弱ぐらいがちょうどいい。
水島先生はそこをよく分かってて、「野球狂の詩」ではオンナノコを投手に据えちゃうんだよね。
はい、ご紹介しましょう。
私が生涯初めて萌えたアニメキャラ、水原勇気さんです。
何が萌えるって、そのピッチングスタイルですよ。
彼女も里中くんと同じアンダースロー、しかもサウスポー。
サウスポーでアンダースローというのは、めっちゃ貴重な存在らしい。
いやね、ここまではいいのよ。
問題は、ここから先のフィニッシュ。
投球後はその勢いのまま跳躍し、空中を舞うんだよね。
アンダースロー⇒跳躍って、どんなメカニズムやねん・・。
でも幼い頃の私は、この湾曲した体勢を見て、生まれて初めて「性的興奮」というものを覚えましたよ。
走り高跳びの「背面飛び」みたいなフォームである。
いやいや、この華麗なフォームを考案した時点で、水島先生の勝ちは確定さ。
あと、このアニメは主題歌もいいんだ。
トゥットゥットゥッ♪ララララ~ララ~♪ってやつ。
めっちゃイントロがカッコいいっすね。
なんつーか、「野球狂の詩」は「ドカベン」に比べてオトナ向けというか、あまりバケモノじみたキャラは出てこないのが特徴。
「水原勇気」編も、水原さんが勝負するのは二軍の時にお世話になった武藤さんという元メッツの先輩(しかもこの人、めっちゃ冴えないオッサン)で、いわば「師弟対決」のドラマなんだ。
水原は「ドリームボール」を投げるのか、そして武藤は「ドリームボール」を打てるのかというのが最大の見せ場で、もう試合に勝つとか負けるとかは完全に二の次。
さて、「ドリームボール」とは一体何なのか?
冒頭はあくまで水原勇気主観でドラマが進んでいくんだが、途中からそれが切り替わり、客観描写になっていくのが面白いところである。
主観から客観に切り替わることにより、
「ドリームボール」とは何なのか?
そもそも、そんな球は存在するのか?
というミステリー要素が急に出てくるんだよね。
うまい脚本だな~と思う。
当時の野球アニメといえば、「巨人の星」の系譜で「魔球」というオカルトじみたものが数多くあったんだが、水島先生はどっちかというと「リアル」路線の作家で、この「ドリームボール」も決して荒唐無稽なものじゃないのさ。
ただ、水原さんはなかなかこの球を投げない。
なぜ投げないのか?
このへんの駆け引きも、リアルな描写でなかなか面白い。
・・だけど最後の水原vs武藤、ホント感涙ものですよ。
もうね、武藤さんの悲哀がハンパないし、水原さんの健気さもハンパないし、その投球フォームには相変わらず性的興奮を覚えるし、正直これを超える野球アニメっていまだ無いんじゃないかなぁ・・?
この「野球狂の詩」はいわゆる群像劇で、「水原勇気編」が終わると、次は岩田鉄五郎編など、主人公が週替わりになっていく感じ。
各々、泣かせる人情噺なんだ。
特に名作と名高いのが、投手・火浦の主人公回である「北の狼、南の虎」で、まずはこれを簡単にまとめた動画を見てください↓↓
私、これ見ただけで涙出てきちゃうんですよね・・。
火浦、どんだけ壮絶な人生やねん?
メッツは前科ありを入団させちゃうあたり、後に水原勇気を入団させたことにも納得である。
とにかく、「野球狂の詩」は今見ても面白い。
ぜひ皆さんにもご覧いただきたい。
古いアニメなので視聴が難しいと思うが、興味ある人は「yakyuu kyou no uta archive」で無料動画をネット検索してみてください。
ただ、こんな感じで野球は水島先生がほぼ隅々までやり尽くしちゃったもんで、その後に野球を描こうとする先生たちは絶対やりにくいよね。
やはり、水島先生がやらなかった切り口で攻めたいんだけど、たとえば、「ONE OUTS」という野球アニメ知ってる?
これは、「LIAR GAME」でお馴染み、甲斐谷忍先生が描いた野球漫画が原作のアニメ。
それだけに、頭脳戦、駆け引き特化型なんだわ。
主人公は投手なんだが、球のスピードはせいぜい120km台で、凄い変化球を投げられるわけでもない。
なのにこれ、明らかに主人公最強系である。
勝負に全然負けないから。
主人公投手がひたすら勝つ野球なんて面白くないと思ってたが、この「ONE OUTS」は面白かった。
野球ものといっても、「アカギ」のようなギャンブルものというテイストを含むものゆえ、めっちゃ緊張感あるのよ。
オーナーやチームメイトは主人公を陥れようと画策してるし、少なくとも「努力・友情・勝利」といった類いのやつではない。
こういうサスペンス系の野球アニメは初めて見たし、「なるほど、この手があったか~」と、目からウロコだったわ。
王道からは程遠い邪道であるにせよ、しかし王道にも十分対抗できる面白さである。
ただ、どうしてもこんな感じで結局は「オトコの世界」の物語になっちゃうんだよね。
「アカギ」がそうであるように・・。
そりゃ、もともと野球という競技が男女別だからしようがないんだけど、「ONE OUTS」は女性キャラなんてほぼ皆無だったんじゃないかな?
うん、全く華がない。
そういう意味でも、女性を主人公にした「野球狂の詩」は画期的だったんだとつくづく思う。
・・実をいうと、水原勇気の野球人生はその後もまだ続いてたんですよ。
今はもう既婚でお子さんもいるらしいんだが、投手兼コーチという形でまだ野球をやってる、とのこと。
しかも、今のメッツには水原さん以外にも女性の投手(国立玉一郎の娘)がいるみたいで、その子が水原さんの弟子ということで「ドリームボール」を投げるらしいんだわ。
・・めっちゃ面白そうな設定じゃないか!
水原ファンとして、是非アニメ化を希望したいです。
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