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アニメのOP曲って大事だよね

今年のレコード大賞、最近まで大賞の最有力候補はYOASOBIの「アイドル」だといわれてたが、いわゆるオトナの事情ってやつでノミネート選考外になったらしいね。
改めて、こういうのは業界のデキレースなんだと痛感させられるよ。

ちなみにYOASOBIの「アイドル」は、言わずと知れたアニメ「推しの子」のOP曲。
つくづく思うが、近年アニソンの音楽業界におけるポジションは高くなってきてるよね。
それこそ昔のアニソンって、影山ヒロノブが「ちゃーらーへっちゃらー♫」とか唱ってるイメージで、そんなのはカラオケで唱ったら恥ずかしい類いのものだったのに。
でも、今は全く違うだろ?
たとえばYOASOBIは今「葬送のフリーレン」のOP曲を唱ってるけど、こんな難しそうな曲をカラオケでうまく唄えたら、むしろ皆に羨望の目で見られるのでは?

あまりメディア露出をしない戦略のYOASOBI

そう、80~90年代のアニソンと今のそれとでは、全く意味合いが違うのよ。
昔のアニメはあくまで子供向けコンテンツで、当然OP曲も視聴者の子供たちが一緒に唄えるような、簡易なメロディが中心だった。
歌詞も分かりやすく、画面下にテロップを入れたりしてさ。
だけど90年代も後半くらいから深夜アニメが人気になり、アニメがオトナ向けにシフトすると、やはり画面下のテロップが消えたんだよね。
OP曲は視聴者が一緒に唄う類いのものではなく、その作品の世界観を表す「顔」になったんだ。
ちゃんと本編の伏線を映像表現してるし、そこには必ず制作側のメッセージがある。
たとえば、今の「呪術廻戦」のOPには釘崎が左顔面を手で押さえて上空を見上げてる映像が約1秒間だけ挿入されており、この映像の意味は本編43話で分かるという仕組みになってるわけで。

「呪術廻戦」OP映像

深夜アニメの人気が出る前までテレビはドラマが圧倒的に強かったわけで、そのドラマOP曲(もしくはED曲)の影響力も凄まじかったもんさ。
ドラマと主題歌タイアップした曲は軒並みヒットするもんで、レコード大賞を獲るような曲は大体がドラマ絡みだったよ。
でも、いつの頃からだろう。
テレビドラマが、OPに曲をかけなくなったのは。
今では、タイトルバックに短時間のジングルかける程度のドラマが普通になったと思う。
それに比べるとアニメは相変わらずOPとEDに各々曲をかけており、当然のことだがトップアーティストの多くはアニメ畑に流れてきたんだよね。
このあたりから、アニソンの概念は大きく変化してきたと思う。

流れを決定づけたのは、やはりLiSAだろう

その一方で、アニソンの中に「キャラソン」という概念も新たに定着してきた。
これは本職の歌手ではなくて、アニメの声優がその役柄の声色で唄うというパターンだ。
90年代の林原めぐみあたりを契機として、そこから声優が唄うパターンは急激に増えてきたよね。
水樹奈々や坂本真綾といったところは、今はどっちが本職か分からないほどである。
この声優に唄わせるという流れは、事務所の意向も強いだろう。
もともと収益の薄い声優業に比べ、歌の印税収入は当たれば驚くほど高収益だから。
あと00年代以降には、俗にいう「日常系」の萌えアニメが人気を伸ばしたことも大きい。
それはストーリーよりキャラを楽しむアニメであり、そうなると主題歌はキャラが唄った方がウケがいいのよ。
個人的には、それの集大成的アニメといえるのが「WORKING」だったと思う。

「WORKING!」

これはファミレスで働くバイトたちの姿を描いたコメディで、本当にキャラの魅力だけで成立した日常系の金字塔。
これのOPは女性キャスト3人が唄い、EDは男性キャスト3人が唄うというのが1期から3期まで一貫した流れだった。
特にED、福山潤と小野大輔と神谷浩史という豪華なトリオが実に楽しそうに唱ってるやつなんて、こりゃ女性ファンには垂涎ものだっただろうよ。

あと、アニメではOPやEDのみならず、劇伴も忘れてはならない。
アニメ劇伴でいち早く注目されたのは、やはり菅野よう子じゃないだろうか。
「カウボーイビバップ」と「攻殻機動隊」の衝撃は、今でも忘れられないし。
「カウボーイビバップ」のサントラは、99年の日本ゴールドディスク大賞を獲ってるからね。
超カッコよかった!

個人的には、非ロボット系の中ではサンライズの最高傑作だと思う

あとは、やはり梶浦由記だ。
彼女は「鬼滅の刃」で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を獲ってたっけ。
彼女の場合は、一貫してダークファンタジーのアニメばかりを手掛けている。
・魔法少女まどかマギカ
・Fate/Zero
・ソードアートオンライン
・僕だけがいない街
・鬼滅の刃
・ロードエルメロイⅡ世の事件簿
・プリンセスプリンシパル
などなど、この人が劇伴を手掛ける作品は驚くほど「当たり」が多い。
だから、一度梶浦さんの名前で検索してみて、該当した作品を片っ端から
見ていくのも一興である。
ちょっと古いが、真下耕一ガンアクション3部作など意外にオススメだよ。
特に2作目の「MADLAX」は「ヤンマー二♫ヤンマーニ♫」だけでも一聴の価値あり。

真下耕一3部作 全て劇伴は梶浦由記

もっと古いところを挙げれば、やはりアニメ劇伴の大御所は久石譲かと。
ジブリ+久石譲は大ヒットの定番である。
・風の谷のナウシカ
・天空の城ラピュタ
・となりのトトロ
・魔女の宅急便
・紅の豚
・もののけ姫
・千と千尋の神隠し
・ハウルの動く城
・崖の上のポニョ
・風立ちぬ
・君たちはどう生きるか
久石さんで最も印象に残ってるのは、やはり「ナウシカ」の「♫らんらんらららんらんらん♫」というやつだ。
「ナウシカレクイエム」という曲らしいけど。
ちなみに、あれを歌ってたのは、まだ幼かった頃の久石さんの娘さんだった
らしい。

さて、OPに話を戻そう。
実は私、アニメのOP映像で泣いたことあるんだよね。
それは山田尚子監督の「平家物語」で、なんだ。
この物語は当然平家が滅ぶまでを描いた哀しい話なんだけど、なぜかOP曲は羊文学の「光るとき」という明るく爽やかな曲で、最初のうちは「?」と思ってたんだが、これがじわじわと効いてくるんだよなぁ。
本編は回を重ねるごとに悲劇的展開になる一方、OP映像だけはキャラが皆
ニコニコしてて、ホント楽しそう、幸せそう。
そのギャップが回を追うにつれ、見ててだんだん切なくなるんだわ。
最終回になる頃には、さすがに涙が出てきちゃって・・。

「平家物語」OP映像

ちなみに、この「平家物語」は個人的に悠木碧の代表作にして最高傑作だと思ってるんだが、これの何が凄いかって、作中の「琵琶語り」を彼女自身が唄ってるのさ。
そのへんのキャラソンとは一線を画した彼女の本格的な琵琶語りを聴いて、これにはさすがに私も鳥肌立ったね。
この人、マジ天才かよ?
昔の林原めぐみ世代と比較しても、今の声優さんってレベルがもうひとつ上の次元にまでいってるよね。
本職の歌手も油断してると、そのうち声優さんたちに仕事取られちゃうかもしれないぞ?


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