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晴れ男と雨女って本当にいる? 思い込みのチカラについて考える

「私、雨女なので、雨降らせてごめんなさい…」

7月4週目の4連休、全国的に雨で、お出かけの予定をキャンセルした人も多いかと思います。私も、キャンプに行く予定をキャンセルし、家で過ごしました。

冒頭の一言は過去に真顔で聞いたことがある言葉です。梅雨の時期は仕方がないですが、この「雨」について昔から言われるのが「晴れ男」「雨女」の話。結構な人が「私は晴れ男だ」などと胸を張って言っている人がいるように思います。実は私もその一人…。

でも、これ相当怪しいなと個人的にも思ってます。それでも、多くの人がこういう表現を引き合いに出して会話している、思い込んでいる、というのはなぜなのかと、ふと気になりました。梅雨明けしたこのタイミングで、改めて晴れ男、雨女のメカニズムについて考えてみます。

思い込みのメカニズム

「晴れ男、雨女問題」は、映画の「天気の子」のようにコントロールできるものでもなく、不特定多数の人が同じ天気の下にいることを考えると、「思い込み」によるものだと言えます。

この思い込みの背景にある心理学の傾向の一つが確証バイアスです。

【確証バイアス】
認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。

自分の仮説が合っていたとき、重要なことのように思い込んだり、予想が当たったパターンを強く記憶する傾向があるということです。また、自分の信念に合っていると、事実と認識してしまう傾向にあるようです。

そしてこの確証バイアスは、誰もが持ってしまう傾向です。客観的な判断が必要な警察官などの公的な職業の人でも持ってしまいます。自分の意志とは関係なく、都合の良いデータをつい集めがちなのです。

そして、誰にでも当てはまるようなことを言われているだけなのに、信用してしまうという側面もあります。これは心理学的にはバーナム効果と言います。

【バーナム効果】
星座占いなど個人の性格を診断するかのような準備行動が伴うことで、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分、もしくは自分が属する特定の特徴をもつ集団だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学の現象。

身近なところでは占いですね。自分にも当てはまることが入っていると、「当たってるかも」と変に納得してしまいます。これも心理傾向の一つ。

そして、晴れ男や雨女は1度の経験で自分がそう思い込むことは少ないと思います。何回かの積み重ねた経験がそうさせているのではないかと思います。

そこでおそらく背景にあるであろうもう一つの法則が3の法則です。

【3の法則】
根拠が3つあるとそれらしく感じる傾向。

人はなぜか3という数字に誤魔化される傾向にあります。これは天気の話に限らずビジネスでも良く見聞きします。説得力を持って話をする人が使っているテクニックが「根拠は3つあります」という一言。3つの角度から説明されたロジックは強固に感じてしまうものです。

経験的には、「いや最後の一つはかなり怪しいぞ」と思ったとしても、「3つ揃っている」時点である程度の説得力を感じてしまうことがあります。

「3」というのはマジックナンバーで、何か謎めいたパワーを感じてしまいます。3角形は最も安定した形状とも言われています。「世界3大○○」や「日本3大○○」といった言葉は世の中にたくさんあります。「心技体」、「速い、安い、うまい」といった言葉も3要素から成っており、何となく「網羅感」を感じてしまいます。

「晴れ男、雨女問題」に話を戻すと、過去重要な局面で晴れた、雨だった、という経験を3回以上経験すると自分を「晴れ〇〇、雨〇〇」にカテゴライズする傾向にあるのではないかとと思います。

私は実は「晴れ男」だと思っています。それも冷静に思い起こせば、①結婚式が快晴だった、②新婚旅行全日程快晴だった、③屋久島の旅全日程快晴だった。これらを経験したあたりから「自分は晴れ男だ」と思うようになった気がします。特に屋久島は東京の約3倍雨が多いと言われる所で、現地の人に「こんなに晴れが続くのは珍しい」と言われた一言を鮮明に記憶しています。

これはエピソード記憶による印象強化と呼ばれる現象だと思います。大切な日に雨が降った、晴天だったといった経験は、脳に強く印象として残ります。エピソード記憶は不快だったり楽しかったり、感情を揺さぶる記憶があるとその感情と一緒に記憶として定着しやすい側面があります。

これら、複数の心理傾向が重なって「晴れ男、雨女」という思い込みが出来上がっているのではないかと思います。

まとめ

日本の場合、年間100日以上(3〜4日に1回)は雨が降っている計算です。数字で見ると、結構な確率で雨が降る。しかもそれは自分だけに起こることではなく、不特定多数の人に起こっている現象です。

それでも「晴れ男」「雨女」といった思い込みが起こってしまう。その背景には様々な心理的なバイアスや傾向がそうさせているのかもしれません。

自分の意図とは別に、「誰も陥る傾向がある」というのは人間の面白い側面とも言えます。こうした傾向から迷信や都市伝説が生まれたりするのは個人的には興味深いなと思います。

もう気づけば8月の2週目。早い人はこの週末からお盆休みがスタートする人も多いのではないかと思います。全国的に晴れるとよいですね。

次に雨が降った日には、「晴れ男」「雨女」について考えてみてはいかがでしょうか。人の面白い一面が見えるかも知れません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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