カナダで知った気遣いの違い
14、5年前私はワーキングホリデービザを利用してカナダに一年間滞在しておりました。
英語のスキル向上は微妙でしたが、今思うと幻想的で貴重な思いを沢山出来たと思います。外務省始め、色々な人に感謝してます。
トロントではホットドッグ屋台の売り子、ポーランド大工の付き人をしておりました。
一方バンクーバーではブラジルレストランの皿洗いをしましたが、トロント生活もバンクーバ生活も私の人生の宝です。色々な意味で(笑)
今回は、カナダの人々から感じた事で特に気になった声掛けの習慣についてお伝えします。
1. 道行く人への声掛けが多い!
最初私は、東側に位置するカナダ一番の都市でトロントという街に行きました。とにかく、カナダで印象的だったのは(アメリカもかもしれませんが)誰それ構わず声を掛ける人の多さです。
日本の繁華街のキャッチセールスや何かの勧誘やナンパとかではありません。
新卒で2年半勤めたサラリーマンを退職し、まだまだ若かった私は営業時代に休日しか出来なかった奇抜な恰好をしておりました。
尚更目立つからでしょうか。
目が少しでも合うと『Hey!Guy!』とか『Hey!Man!』とにかく色々なカナダ人や外国人男性に声を掛けられました。向こうで覚えたのは『How’s it going?』です(笑)調子どう?みたいな感じですね。
声を掛けて来る人の中で悪い人も多少いましたが、大体が、
『どこから来たの?』
『何か探しているようだか、大丈夫?』と聞いてくれました。
悪い人達は日本の繁華街と一緒で『○○いらない?』です。ただし、住宅地の白昼堂々ですから日本はやはり治安が良いです。
1-1. 気遣いの習慣が日本と違うだけ
確かに日本ですと、おもてなしという誇るべき文化がありますが、『大丈夫?』と道端のすれ違った人に声掛けする事は圧倒的に少ないと思います。
国民性や文化もありますし、日本と言っても土地柄にもよるでしょう。しかし、仮に田舎の人や、東京下町の人間が人懐っこいと言っても比べ物になりません。
しかしこれは、気遣いの仕方が日本と違うだけだと思います。私の勝手な憶測ですが、日本人と海外の人の優しさに本当は大差ないと思います。
気遣い方の違いだけです。
例えばですが、
・日本人のきめ細かい気遣いや、お客様や年長者を敬う姿勢は海外では少ないです。
・カナダやアメリカではスーパーのレジで、後ろの客より多く買い物カゴに詰めているのを察して、9割方が『Go ahead!』と先に譲ってくれます。
コーラ1本買う際に、大量の買い物客の後ろに並んだ時などですね。
つまり、習慣で気を遣うポイントが違うのです。
2. 弱者や困っている人への思いは一緒
1年間のワーキングホリデーの後半は、西側のバンクーバーへ渡りました。ダウンタウンにある、ブラジリアンレストランサンバという所でデッシュウォシャー(皿洗い)として働きました。
ある日、店の構造上車椅子が通れないと言う事で、裏口の食材の搬入用のエレベーターから通すように、マリオというボスに言われました。
言われた通りに案内して、退店時も同じように案内します。確かマクドナルドも同じエレベーターを使っていたと思います。
そうすると障害者のお父さんでしょうか、盛んにサンキュー、サンキューと何度も言われました。大変満足気な顔をしております。
又、何となくはその意味もわかっていたのですが、『Good Job Man!』とサンキュー同様に、連呼されました。
あまりにも連呼されるので、私は確かあの時、(え?良い仕事だねって、俺、お客様誘導係と間違えられてるのか?)と思ってしまったのです
そこで、英語で『IT’s OK!』どういたしまして。『But this is not my job! I’m dish washer!』『良い仕事って私はこの仕事じゃないよ!皿洗いだよ!』と言ってしまったのです。
その時、かえって来た言葉は鮮明に覚えております。『But you care? You care ? You care right?』〚でも気にかけてくれるでしょ?そうだよね?だよね?〗
みたいに少し不穏な感じにさせてしまったのを覚えております。
何だか、肌感覚ですが『お前は物凄く弱者への気遣いがないのか?』と確かめられたような気がしました。
この時、私は弱者などへ日本以上に優しくしなければいけない国なんだなーとしか思っておりませんでした。
しかし、帰国後、介護施設のご家族、障害者支援施設の親御さんと出会って行く中であのお父さんの短いセリフが重なります。弱者や困っている人への思いに国など関係ないと感じました。
3. 最後は気持ち
上でお伝えしたように、欧米諸国は気軽に知らない人にも声を掛ける風習もありますし、開放的な文化と言えるでしょう。
そして、困っている人や弱者にもすぐさま声を掛けるように幼い頃から教育されていたり、親御さんの背中をみているのでしょうか。
良い事は勿論見習わなければなりませんが、上のレストランの障害者のお父さんのような弱者への強い思いは、既にどこの国でもあるのではないでしょうか。
社会的に差別的な文化活動を批判されている諸国もありますが、人という単体でみた場合、皆そのような優しい気持ちや思いを大切にしていると私は思うのです。
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