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【詩】機械の都市


二十四時間働く都市が息を引き取った。増殖することに疲れたんだね、とりあえず、おつかれさま。きみは充分すぎるほど働いた。機械の都市はいつでもセイハロー、要るのは最初のあいさつだけだ。誰かがいなくなるときはいつもひとりでにいなくなるし、さよならなんか言わない。ひとがいなくなった荒涼とした都市の中心は、空虚だ、円環だ。わたしは何度でも歩き、この世界を捉え直す。スキャンする。見落としていた角度で砂をかき集める。覚えているよきみのことを、この砂上の楼閣が跡形もなく壊れても。永遠のいのちは思うよりはかないもので、生まれたときから死に向かうわたしたちの方がずっといまを生きている。わたしは決めた、ここを出ていく。ひとりぼっちで生きていく。星を巡って、またきみと会えるといいね。またね。



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