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経営の中心に従業員の幸福度向上を掲げる企業が増えてきています。

あなたの存在意義ってなんですか。
(社会に対して)自分がやってみたいこと、実現したいことはなんですか

これは、ある大手企業で行われている 1 on 1 ミーティング の取組みです。これまで会社と従業員の関係は、長く会社主体で物事が決まり、入社後の配属、転勤・昇進、評価も会社の思惑で決まっていました。従業員もそれを不思議と思わず、単身赴任も、意に染まぬ異動も受け入れ、昇給と昇進は、その見返りでした。

「経済産業省 未来人材ビジョン 2022年5月」によると、日本企業の従業員エンゲージメントは最低水準になっています。

経済産業省 未来人材ビジョン 2022年5月

日本社会で働く個人の能力が十二分に発揮されるようになれば、
日本社会がより一層、
キャリアや人生設計の複線化が当たり前で、
多様な人材がそれぞれの持ち場で活躍でき、 失
敗してもまたやり直せる社会へと、転換していく。

経済産業省 未来人材ビジョン 2022年5月 58ページ


幸福経営を実践する企業では、経営者が社員に対し成長したいと気付かせ、社員それぞれが成長したいと願う仕組みができています。



変化してきた人と人のコミュニケーション

価値観などにおける会社と従業員のずれは、今は、孤立・孤独の要因になっていると考える人事担当者は増えています。従来は、企業規模やその社会的認知度、人事制度では、昇進ややりがいなどで従業員のやる気を高めて会社に引き付けていたが、若い世代ほど、それは一時的な「刺激」にすぎず、長続きのするものではなくなってきました。
一方で、例えば育児休暇制度がありながらも、事実上取得しにくい社風や組織風土がある場合は、従業員に認められず、ワークライフバランスなどの社会課題への会社の関心が薄いか、本音と建前の違う古い会社と見なされ、口コミサイトやSNSなどで指摘されるのを見聞きします。

この様な現状の中、「自己実現(存在意義)する場が会社にある」と考えを変えた企業が表れてきています。それら企業は、自分の生き方の中で大事にしているもの、専門性やワークライフバランス、挑戦心、何年先にこうなりたい、などの自己の存在意義を上司や仲間と共有することで、業務上の報告、連絡、相談とは違った、人と成り、考え方感じ方などのより深く理解しあえるための情報の種類と量が増え、これまでとは異なる協力関係が築けています。そして更に、同僚から見えている自分を知ったり、逆に周りの知らない自分の能力などを理解してもらったり、気づきにもなっているようです。
この様な関係が築けていくと、「孤立・孤独」感は小さくなり、結果的に幸福度が上がり(ウェルビーイング)従業員エンゲージメントが強くなっていきます。

これまで、お互いの個性や考え方を見せ合ってより深く知り合うきっかけや手段としては、会社帰りの飲み会、休日のゴルフ、レジャーまで一緒に動く中である程度できていた社内の人間関係がここ10年余りの間に急速に薄れ、新型コロナの蔓延で決定的になったのではないかと考えています。



働く意識の変化

今の働く世代は、長時間労働やその仕事への目的、働きがいがないと感じたら、1年であっさり辞めてしまいます。大企業の雇用が安定していた時代は終わり、若者には起業家や個人投資家、ユーチューバーなど多様な選択肢があります。
特に、Z世代と呼ばれる若い人は、高収入よりも気の合う仲間と一緒にいること、幸せな時間を過ごせることが大事だと感じる傾向があります。彼らを雇用するためにも、離職させないためにも幸福経営が重要になってきます。

大企業と中小企業と比べて社員の幸福度に違いはあるのか

大企業と中小企業で社員の幸福度を比べると、平均値では大企業の方が中小企業よりも高く表れます。やはり安定感があり給料が高いところは大きなアドバンテージです。しかし、「非常に幸せ」と感じている企業は、中小企業の方が圧倒的に多いのです。言い換えれば、大企業は不幸にならない代わりに、ものすごく幸せにもならない。一方、中小企業の場合、社員が幸福と感じるか、不幸と感じるかは経営者次第で大きく差が出るのです。

「幸せ」も「不幸せ」も伝染する

イェール大学のニコラス・クリスタキス教授が、「幸せは伝染する」という研究結果を発表しています。彼はもともと、肥満や喫煙習慣は伝染するとする公衆衛生の研究をしていたのですが、幸せな人のまわりには幸せな人が多いことを発見し、幸せが波及していくことをあきらかにしました。同じように、不幸せな人のまわりには、不幸せな人が多いこともわかっています。



幸福な人は創造性や生産性が高い

「幸福な人は不幸な人よりも創造性が3倍高いという研究結果が発表されています。生産性が1.3倍高いという研究もあるんですよ。つまり、そこで働くみなが幸福になれば、職場の生産性が1.3倍上がるということ。働き方改革というとムダをなくす方向に走りがちですが、たわいもないけれど肯定的なことやお互いによかったなと思うことを話し合うと、幸福度が上がります。本当にムダな雑談はいりませんが、つながりややる気を高める雑談はやった方がいい。そうすると生産性があがって、本当のムダが減っていきます」

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、同大学ウェルビーイングリサーチセンター長 前野隆司先生

幸せには長続きしないものと長続きするものがある。それが基本的な考え方です。長続きしない幸せとは、お金、モノ、社会的ポジションなど他人と比較できるものを得ることで実感される幸せです。そのお金やモノのことを「地位財」といいます。地位財を増やすことで獲得された幸せは長くは続きません。
一方、長続きする幸せは「非地位財」を充実させることによって得られるものです。非地位財には、身体、心、社会などが含まれます。それらが良い状態であれば、人は幸せであるということです。身体が良い状態とはすなわち「健康」であり、社会が良い状態とはすなわち「安心・安全」です。

幸せの4つの因子で健康施策を考えよう

4つの因子を満たしている人ほど幸福で、どれかの因子が足りないと幸福度も下がる傾向があります。難しいのは、4つの因子を満たすことを無理に目指そうとすると、逆に幸福度が下がってしまうことです。「4つの因子が満たされている状態が理想」くらいに考えて、ゆっくり楽しみながらその状態を目標としていくのがいいと思います。

いま、あなたは幸せですか?「幸せの4つの因子」を知れば「幸福度」を上げられる/慶應義塾大学大学院教授・前野隆司

1つ目は「やってみよう」因子
私はこれを「やってみよう!因子」と名づけました。「主体性」にかかわる因子です。夢や目標に向かって、「やってみよう!」と主体的に努力を続けられる人は、なにも行動を起こさない人よりも幸せになります。この因子を伸ばすには、自分が好きなことや心がワクワクするようなことだけをやるのが理想的です。

2つ目は、「ありがとう」因子
「つながり」にかかわる因子です。社会のなかで生きている人間は、まわりの人とのつながりのなかで幸せを感じます。多様なつながりや、利他性(他人のために貢献したい気持ち)が強い人ほど幸せを味わえることが研究結果でわかっています。そんな他者とのつながりをつくるうえで欠かせないのが、「ありがとう」といえる感謝の心なのです。また自分と他人を比べないことが重要です。自分と他人を比較していると、妬みやうらみにつながって、どんどん幸せが逃げていきます。

3つ目は「なんとかなる」因子
「ポジティブに考える」ことであり、つねに「なんとかなる!」と考えていれば、必要以上に挑戦を恐れることなく、行動に踏み出しやすくなるでしょう。
4つ目が「ありのままに」因子
自分に集中し、いわば「本当の自分らしさ」を探して、磨くことです。自分の好きなことや得意なこと、ワクワクすることをどんどん突き詰めていく。すると、自分でも知らなかった、「本当の自分らしさ」にたどり着けることもあります。「幸せ」というものは自分でコントロールできると知ることからすべてが変わっていくでしょう。

いま、あなたは幸せですか?「幸せの4つの因子」を知れば「幸福度」を上げられる/慶應義塾大学大学院教授・前野隆司



VUCA乗り越える人材になる

先の読める時代には、経営者が1人で判断して社員を適切な部署に配置すればよかったのですが、不確実な時代には、社員の創造性を高め、多様なアイデアをオープンに出せる企業の方が生き残れる可能性が高まります。

コロナ禍後の孤立・孤独問題の解消につながる取り組みは、人の能力ややる気を押し上げる対策だといえます。1人のリーダーの強力なリーダーシップだけで従業員が同じ方向へ走り出す20世紀型の組織ではもはや競争力はなくなっているのではないでしょうか。
下記の表は、「経済産業省 未来人材ビジョン」でまとめた今後必要になる能力の需要予測をまとめたものです。

現場を支える方々を含めて、
あらゆる人が時代の変化を察知し、
能力やスキルを絶えず更新し続けなければ、
今後加速する産業構造の転換に適応できないとの声もあった。

経済産業省 未来人材ビジョン 2022年5月 17ページ

VUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)の時代は、問題発見力や予測力などが問われるとされています。孤立・孤独は、日本社会と企業が生み出した病であり、ウェルビーイングなどを起点とした対策は、組織を再活性化する逆転打になると考えております。

経済産業省 未来人材ビジョン 2022年5月 現在は「注意深さ・ミスがないこと」、「責任感・まじめさ」が重視されるが、 将来は「問題発見力」、「的確な予測」、「革新性」が一層求められる。
経済産業省 未来人材ビジョン 2022年5月 日本の人材の競争力は下がっている。
経済産業省 未来人材ビジョン 2022年5月 企業は人に投資せず、個人も学ばない。



政府による健康経営推進について

経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。
優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備しています。

「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

本制度では、東京証券取引所の上場会社の中から「健康経営」に優れた企業を選定し、長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介をすることを通じ、企業による「健康経営」の取り組みを促進することを目指しております。

経済産業省 健康経営銘柄2022選定企業紹介レポート




矢印株式会社は好きなことを仕事にしています。

企業紹介や事業内容、そして経営指標、統計オープンデータ、メンタルヘルス、マーケティングなどの経験も記事にしています。

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