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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#どうでもいい話

未来に行ける眠り薬(パート3)(460字の小説)

「お父様、私未来に行ってみたいです
この薬を飲めば三十年後の世界に
行く事ができます」
と、純情可憐なお姫様が、
新薬の眠り薬を王様に差し出しながら
嬉しそうに言う
「三十年後の未来だって⁉️ 何故、未来に行きたいのだ。」
と、訝しい思いで、王様は尋ねる。

「だって、多くの男達が、私をストーカーしてくるの。
私、怖くて街にも一人で行けないの。
未来に行けばもっと安全な世界だわ。」

「でも、その

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月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

「お爺様お婆様。私は今夜、月に帰らないといけません
私を育てて頂き有難う御座います
この御恩は、一生を忘れる事は出来ません」
と、涙の表情が、かぐや姫の心痛を表している
「大丈夫だ、姫よ。そなたを誰にも渡さない!
強者の兵も多勢来ておる安心しておくれ」
と、爺さんは自信の面構えだ。
婆さんは、かぐや姫に寄り添い肩を抱きしめる
だが、かぐや姫の表情は暗く切ない

「お爺様、私は帰らなければならないの

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戦争を知らないジジイ達(830字)

戦争を知らないジジイ達(830字)

キノコ雲の下で何が起こっているのか?
パイロットは知らない。
爆弾を投下した人も知らない。
命令され任務を忠実に遂行しただけ。
一発の核兵器が、多くの人達の生命を一瞬で奪った事に
気付いたのはいつの事なのか?
その時、彼らはどの様に感じたのだろうか?
自分自身の罪の重さを感じたのだろうか?
それとも、「任務を遂行しただけ」と悪びれずにいたのだろうか?
原爆を投下する事を決定した当時のアメリカの首脳

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蜜蜂マーヤの怒り(590字)

蜜蜂マーヤの怒り(590字)

マーヤは激怒した
人間達の身勝手さに!
私達が丹精込めて作った蜂蜜を奪われ、
人間だけの為に使われている事に!
「おのれ、人間達よ覚悟せよ!刺してやる」
と、蜜蜂マーヤが怒声をあげる
だが、他の蜜蜂達は、黙して語らず
何故なら、蜜蜂にとって人間を刺す事は自らの死を意味する。
現状のまま無事に過ごせば良い。
戦など起こさない方が良い。
その様な蜜蜂達に、マーヤは訴える
「我々は働かされ身勝手な人間達

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奇跡なんて起こらない⁉️(600字の小説)

奇跡なんて起こらない⁉️(600字の小説)

毎日の様に僕は、一人で部屋にいる。
外に出る事は無い。
でも、僕は精神異常者では無い。

「いつまで寝てるの?もう朝よ!早く起きないとダメでしょ」
と私を呼ぶ声は、父の後妻の声だ。
後妻は僕の事を何も知らない。

父は、今度で三人目の妻をめとる。
先の二人は不幸な事に父を残して先だった。

父と僕は血の繋がりの無い関係だ。
僕が幼児の頃、ある孤児院から養子縁組で父の子供となった。

父は僕のことを

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