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蜜蜂マーヤの怒り(590字)

マーヤは激怒した
人間達の身勝手さに!
私達が丹精込めて作った蜂蜜を奪われ、
人間だけの為に使われている事に!
「おのれ、人間達よ覚悟せよ!刺してやる」
と、蜜蜂マーヤが怒声をあげる
だが、他の蜜蜂達は、黙して語らず
何故なら、蜜蜂にとって人間を刺す事は自らの死を意味する。
現状のまま無事に過ごせば良い。
戦など起こさない方が良い。
その様な蜜蜂達に、マーヤは訴える
「我々は働かされ身勝手な人間達の奴隷になるのか?
それで良いのか?悔しくは無いのか!」
だが誰もその言葉に呼応する返事が無い。
「死にたくないよ。我々は刺したら、針が抜けて死ぬんだよ。そんな事したくないよ。」
と、誰かがつぶやく
女王蜂がマーヤに優しく言葉を掛けた
「マーヤの言う悔しい気持ち解るわ。
でも、マーヤ。私達の集めた蜂蜜で喜ぶ人達が多勢いるの。その人達の為になる事を、私達蜜蜂がしているの。
私達は、人様のお役に立っているのよ
その事に誇りを持ちましょうよ
戦などしても、お互いが傷つくだけ
愚かな事だわ。
私達は、誇りを持って生きていきましょうよ」

マーヤの怒りは自然と鎮まる。 
「戦は諸刃の剣」お互いを傷つける
他の人の為に尽くす事で自分も幸せになる

「情けは人の為ならず」
と言う様に、情けを掛ける事で巡り巡って自分にも返って来る。
「狭い心では無く悠然と構える心を
持たなければならない」と
考え方を素直に変えた、新たなマーヤがそこにいた。


#短編小説

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