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【ファジサポ日誌】85.生きろ!〜2023 J3リーグ昇格予想の答え合わせ〜

先週土曜日にJ3も終わり、いよいよ昇格予想答え合わせの時がやって参りました。

結論を述べますなら、今シーズンの順位予想はまあまあ良い線をいきましたが、その根拠については外れている点もあったと思います。

早速振り返りましょう。

まずは開幕前の予想記事を貼っておきます。
この予想記事内で筆者は以下のように予想のポイントを挙げました。

① 就任2年目の監督に注目
② 特徴がある戦術
③ 守りを堅めた相手を崩せる術を持っているか
④ 選手層の厚さ
⑤ 西日本のクラブ、特に遠征が楽になりそうなクラブが有利か

以上5点からJ2昇格候補5クラブを挙げます。

この5点のポイントから昇格候補を、上から順に以下の5チームとしました。

① 愛媛FC(本命級)
② FC今治(本命級)
③ カターレ富山(三番手)
④ ガイナーレ鳥取(大穴)
⑤ SC相模原(大穴)

「2023のJ3は愛媛の年になる!」を大々的に?謳ったのでした。

1位 ①愛媛FC(勝点73・21勝10分7敗 得失点差+11)
圧倒的でしたね。優勝が決まってから気が抜けてしまったように見えましたが、それでも20勝超えですので、これは胸を張れる成績といえます。
予想記事では新加入のJリーグ経験勢に言及しましたが、彼らもさることながら、視野の広さが売りのCH(14)谷本駿介ら若手の台頭が目立ちました。
夏にはユース出身FW(48)行友翔哉が海外移籍を果たしたこともクラブに上向きなムードをもたらしたと思います。
更にはCH(3)森脇良太の発信力(youtubeなど)を活かしたムードの盛り上げもチームの一体感づくりに一役買ったのではないでしょうか?
戦術的には攻守共にオーソドックスで、得点力が安定してくると守りに人数をしっかり割き、前線にロングボールを送る攻めにシフトしていた点も印象的でした。
開幕戦は大敗、序盤は少々勝点が伸びませんでしたが、そこで慌てなかった石丸監督の采配も光りました。

遠征面では最も恩恵を受けると述べましたが、それでも宮崎遠征はフェリー移動があったりと大変なようです。

2位(無)鹿児島ユナイテッドFC(勝点62 18勝8分12敗 得失点差+17)
鹿児島に関しては、その実力は認めながらも昨年失速した夏場を乗り切るだけの戦力に不安があるとし、無印にしました。
実はその夏場は今年も大失速(7月16日~8月19日 1勝5敗)したのですが、第23節松本戦に敗戦後、大嶽直人監督を解任。大島康明ヘッドコーチが監督に就任します。
この監督交代が功を奏しました。
交代後は8勝4分3敗と成績は回復。戦術的に大幅な変更はなかったものの、より多くの選手を起用したことで戦力に厚みが増し、サイドからボックスへの供給のパターンを増やすなど細部に工夫がみられました。
J3全体が混戦となり、愛媛以外のライバル他クラブが足踏みした点も大きかったと思います。

予想はともかく、個人的には好きなクラブなので、戻ってきてくれて嬉しいです。スタジアム問題でも揺れましたが、最後は街全体の後押しがありましたね。

3位 ②カターレ富山(勝点62・19勝5分14敗 得失点差+11)
勝ち星では鹿児島を上回ったものの、鹿児島との直接対決を2度とも落とした。そしてこのチームも夏場に苦しみました。
その夏場は前半を0に抑える前提で後半1点勝負というゲームプランが読み取れたのですが、案外前半や後半早々に先手を奪われるケースが多く、そうなった時の策に欠いた印象です。
シーズン途中で引退を発表したFW(39)高橋駿太が最終節まで奮闘し、その姿からは涙ぐましい執念が伝わってきたのですが、言い換えれば最後まで彼に頼らざるを得なかったことから、アタッカー不足であったといえます。

最終戦のATに勝ち越しのPKを決めた(30)アルトゥール・シルバの涙、小田島監督の悔しさを噛み殺した表情、そして左伴社長の熱弁、途切れた雲の間から顔を覗かせた立山連峰の下に集まったサポーターたち。
何かこのクラブは変わったと感じさせるシーズンでした。

岡山としてはJ2昇格の同期です。
来シーズンこそは報われてほしいと思います。

4位 ②FC今治(勝点59 16勝11分11敗 得失点差+12)
おそらくリーグ最終盤では、J3で最も面白いサッカーをしているのがこのチームであったと思います。得点を奪いながらも戦術へのフィット具合が微妙であったドゥドゥの流出はそれ程痛手にはならなかったと思います。一方で、監督交代がプラスに働いたのかというと、その評価は非常に微妙であると感じています。
ビルドアップの出口がしっかり見える今のサッカーを臨場感あるスタジアムで行う、間違いなくエンターテイメント性はJ3ナンバー1と思われますし、安い失点が減れば、来季は昇格候補1番手に挙げられると思います。
ちょっとしたことで監督を代えないことも必要です。

5位(無)奈良クラブ(勝点57 15勝12分11敗 得失点差+13)
全45得点中、76分以降は10得点、61分以降に広げると18得点とゲーム終盤の勝負強さが光りました。熊本でも実績があった(29)浅川隼人の決定力はもちろんのこと、自陣でしっかりボールを保持しながらチャンスを窺うサッカーの確実性を感じさせてくれました。
スペイン人指揮官フリアン監督の手腕も光りました。
来シーズンは夏場のデーゲームを避けるため、スタジアムの照明などハード面の整備もチーム強化に繋がるのではないでしょうか。

6位 ④ガイナーレ鳥取(勝点56 14勝14分10敗 得失点差+5)
戦力的には上位予想チームと少々差があると感じましたが、金鍾成監督の攻撃サッカーが花開けば面白いと思い「大穴」に挙げました。
その攻撃力の片鱗はシーズン序盤から徐々に発揮されていましたが、増本浩平監督に交代してから更に勢いを増したと思います。
上位陣相手の金星も多く、スピード豊かな攻撃は最終戦の鹿児島も苦しめました。
現体制を維持して補強が出来るなら、来年もと思いましたが先日、増本監督の退任が発表されました。
攻守の柱MF(6)文仁柱の動向も気になります。
最近数年、継続したチームづくりを維持出来ていないという印象もあり、来年のことは来年にならないとわからないという感じのチームです。

以下は、予想記事で採り上げたチームを中心に触れてみます。

9位(無)松本山雅FC(勝点54 15勝9分14敗 得失点差+4)
なんと言いますか、ある意味予想どおりの結果でした。
霜田監督のサッカーは山口でもそうだったと思うのですが、攻撃に関しては面白い形がつくれる反面、守備は脆いチームになりがちだと思います。
だからこそ、圧倒的に個で守れる選手など、そこへの何らかの手当てが必要なのですが、J3にはなかなかそうした人材が来てくれません。
それでも地力はあるので、これぐらいの順位には来るのですが、選手・監督といった現場というよりは、フロントの考え方に大きな課題があるように見えます。
予想記事でも書きましたが、ずっと「ポスト反町」に苦しんでいるという印象が今シーズンも残りました。

10位(無)いわてグルージャ盛岡(勝点54 15勝9分14敗 得失点差-1)
新任の松原良香監督の下、長期的なチームづくりをしてくると思っていましたので、途中解任は少々意外でしたが、中三川哲治監督の建て直しの効果はシーズン終盤に現れており、来シーズンが少々楽しみなチームになったと思います。予想記事で触れました(9)ドウグラスオリヴェイラは23試合で無得点。外国籍選手が当たった2021シーズンに昇格したことを考えると、来シーズンの外国籍選手の編成もポイントになりそうな気がします。
シーズン中は那須大亮氏の一時復帰など話題も提供してくれました。
秋田豊社長の下、クラブ成長のために今後もあらゆる手を打ってきそうです。

12位(無)Y.S.C.C.横浜
今シーズン過去に無かった意欲的な補強を行い、クラブ躍進の礎を築こうとしていました。何度失敗しても繰り返したGKからのビルドアップは徐々に形になっていたように見えましたので、星川敬監督の解任は意外でしたが、後任の倉貫一毅監督も攻撃的に「魅せる」サッカーを志向する指揮官なので、この監督交代が嵌った印象です。
今シーズンはいわゆる「監督ガチャ」頻発のJ3でしたが、この交代は当たりでした。
(失礼な表現ながら)かつてのY.S.C.C.とは違い、上位陣にとってこのチームとの対戦はボーナスゲームではなくなったのです。
この点も今シーズンのJ3の混戦に拍車をかけました。
夏のマーケットでエース(21)福田翔生が一気にJ1湘南へ移籍。戦力的には痛かったはずですが、却って上位カテゴリーでのプレーを夢見る若手選手の勢いが増したように見えました。
イニエスタ所有企業との資本提携も発表。
いわゆる街クラブが、どのような成長を遂げるのか、来シーズン以降も注目です。

13位(無)アスルクラロ沼津(勝点38 15勝6分17敗 得失点差0)
今シーズンのJ3で最も驚いたのがこのチームの躍進です。一時は自動昇格圏内も狙える位置にありました。しかし、J2ライセンスの取得に関しては途中までかなり不透明であったと思います。この点が若干選手の士気に影響したのかもしれません。
戦力的には主力は昨シーズンからのメンバーが中心でしたので、これは一重に中山雅史監督、鈴木秀人コーチのジュビロコンビの手腕といえます。
実は筆者はこのチームの試合はそこまで観ていないのですが、数少ない観戦試合からは5レーンを効果的に使ってくる、そしてオフザボールの意識が高いという印象が残っています。
そして(17)ブラウンノア賢信が点を獲れるようになった、これも中山監督の指導の賜物ではないでしょうか。

16位(無)カマタマーレ讃岐(勝点44 11勝11分16敗 得失点差-16)
こちらも予想記事では採り上げませんでしたが、来シーズンに向けて明るい兆しが見えてきたと思います。全11勝のうち、1-0での勝利が6勝を数えるなど現役時は名DFで鳴らした米山篤志監督の手腕が光りました。
現在のJ3に攻撃面で特長を持ったクラブが増加する中、堅守のチームをつくることで他チームとの違いを来シーズンは示せると思います。
練習場、クラブハウスも建ちましたし、あとは実績があるストライカーを補強したいところです。

17位(無)FC琉球(勝点43 12勝7分19敗 得失点差-18)
J2で4シーズン頑張ったクラブでもこうなってしまう。
Jリーグの厳しさを感じさせる1年でした。
そもそも編成面で昨シーズンとは全く異なるチームになってしまいましたので、無理もなかったかとは思いますが、監督人事も迷走。改めてクラブづくりからなのかなという印象を持ちました。
(44)金崎夢生や、月間ベストゴールに選ばれた(7)白井陽斗の奮闘など個の頑張りはみられた一方、決める、決めさせないという球際で後手に回る試合展開が多かった印象です。

18位 ⑤SC相模原(勝点41 9勝14分15敗 得失点差-4)
戸田和幸監督をはじめ、ヘッドコーチからフィジカルコーチに至るまで全員が新任。大卒を中心にGKを除いた全員が26歳以下とかなりユニークな編成を組んできました。大当たりか、大外れかのいずれかと読み、「大穴」に推しましたが、やはりリーグ序盤でJリーグの壁にぶち当たり順位的には大外れに。リーグ後半戦からは(39)瀬沼優司などのJリーグ経験者を補強し、舵を降格回避へ向けます。
徐々に選手がJリーグのスピード・強度に慣れ始め、自力で降格圏から脱出した点は明るい材料で、オフザボールの動きに改善がみられる点からも来年に向けての種は蒔けた状況といえます。
来シーズンはかなり期待できるとみています。

20位(無)ギラヴァンツ北九州(勝点38 7勝10分21敗 得失点差-12)
今シーズンのJ3にはJFLへの降格可能性もあったことから、この点で終盤の降格争いが昇格争いにも影響を与えると予想していましたが、JFLが早々にHоndaFCの一強になり、この北九州が圧倒的に低迷したことで降格争い自体が無くなってしまいました。
寧ろ、降格回避を狙った早めの監督交代がリーグ戦全体を混戦にしたという印象です。
編成面では、かつてのディサロ燦シルヴァーノなど、以前は当たっていた大卒選手が近年低調な成績に終わっており、それにより毎年戦力の大幅入れ替えが発生しているという印象があります。
単なる上位カテゴリーへの引き抜きだけが問題ではないように見えます。
結局、田坂和明新監督の戦術が浸透せず、状況を打開できる「個」も存在せず手詰まりに陥りました。

岡山は天皇杯で対戦しました。北九州もベストメンバーではありませんでしたが、全体的に線が細い選手が多く、単にフィジカル面で苦労しているという印象も持ちました。

小林体制の終焉から今後どのようにチームづくりを展開していくのか、元々サッカーどころでもありますし、素晴らしいスタジアムがあり、熱いサポーターもいます。

個人的には学生時代を過ごした地であり、思い入れがある街です。まずはJFLに落ちなかったことをプラスに捉えて、その復活に期待したいチームです。

以上、簡単に来シーズンに向けての展望も少々加えてJ3予想の答え合わせをしてみました。頻繁に起きた監督交代に代表されますように各クラブが様々なアクションを起こしたシーズンであったといえます。
Jリーグで「生きる」ためのなりふり構わない必死さがJ3リーグからは伝わってきます。
ここに来シーズンは大宮と金沢が加わります。
そしてJ2昇格プレーオフが始まります。

今、確かに言えることは来シーズンのJ3は今シーズンよりももっと面白くなる!ということです。

こんな魅力的なコンテンツを配信しないDAZNなんて…と呟いて、今回の記事を終えたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
地元のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。
JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、
ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに
戦術に興味を持ちだす。
2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。

アウトプットの場が欲しくなり、サッカー経験者でもないのに昨シーズンから無謀にもレビューに挑戦中。

鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。




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