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【ファジサポ日誌】33.昇格に法則あり?〜2023・J3リーグ昇格予想〜

こんにちは。
先日のJ2リーグの昇格予想に続きまして、今回はJ3編をお届けします。

J3にはファジアーノ岡山に在籍した選手が数多く活躍しています。
藤岡浩介(岐阜)、染矢一樹(沼津)、千布一輝(鹿児島)、篠原弘次郎(松本)、山本大貴(長野)、デューク・カルロス(相模原)、西村恭史(長野)、下口稚葉(今治)、パウリーニョ(松本)、増谷功祐(鳥取)。これらの面々に2023シーズンから喜山康平(松本)、宮崎智彦(福島)、白井陽斗(琉球)、疋田優人(愛媛)が加わり、ファジサポ目線でも目が離せないリーグになっています。

とはいえ、推しクラブ(ファジアーノ岡山)が存在しないリーグという気軽さはあり、それが故に更に独断と偏見に輪をかけてしまいそうですが、出来るだけ各クラブをリスペクトして書いたつもりです。よろしくお願いします。

はじめに

前回のJ2編同様、2022シーズンのJ3についても昨シーズン開幕前に拙インスタで予想を公開しました。答え合わせをしてみます。

2022 J3リーグ昇格予想と実際の順位

◎昇格候補(2位以内)
FC岐阜(14位)
FC今治※(5位)
SC相模原(18位)
愛媛FC(7位)
藤枝MYFC(2位)
テゲバジャーロ宮崎※(9位)
※はJ2ライセンス交付前提で予想

全体的に大外れでした。我ながらヒドイ予想です。
宮崎はライセンスを取れませんでしたしね…。

岐阜は豪華戦力ながらもベテランが多かったので、夏場に走れるかという懸念に触れましたが、最終的に昇格候補筆頭に挙げてしまいました。三浦俊也監督の日本での采配が久々となる点も気になりましたが、そこはJ3をよく知る横山雄次コーチがカバーするとみていました。結果的にカバーすることになってしまったのですが、難しいものです。

今治は2021シーズン途中に橋川和晃監督に交代してから好成績でした。いよいよ2022シーズンは、岡田メソッドをトップチームで体現かと思いましたが…、これも難しかったですね。

唯一当たったのが藤枝の昇格です。
前年に須藤大輔監督が就任してからGKからビルドアップするサッカーに取り組んでいましたが、当初はGKから最終ラインへの最初の繋ぎのところで失敗して失点というシーンが散見されました。それでも藤枝はこのスタイルを止めなかったのです。
J3は特異なスタイルを持つクラブが躍進する傾向にありますので、このこだわりがひょっとしたら実を結ぶのではないかと、大穴に挙げたのでした。

いきなり予想精度の低さをお伝えすることになりましたが、今年は昇格候補を5クラブに絞ってみたいと思います。例年、最終的には5クラブぐらいの昇格争いになっていると思います。

1.2023 J3リーグ 昇格予想のポイント

J2編と同様に「私的」予想ポイントを挙げてみたいと思います。

J3は就任2年目に花開く?

(1)J3は就任2年目に花開く?

過去5年間のJ2昇格クラブの監督と当時の就任年数をまとめてみました。

シーズン途中から就任した監督も多いのですが、最近のJ3では就任2シーズン目で結果を出す監督が多いのです。

先ほど触れました藤枝がわかりやすい事例であると思います。
就任1年目でしっかり種を蒔き、翌年に昇格という実りを手にするパターンが多いのです。

では就任1年目で昇格を果たす場合はどうでしょうか?
2019シーズン、北九州の小林伸二監督はGM兼任でクラブ全体の建て直しに着手、前年最下位からの巻き返しは鮮やかでした。
また、秋田の吉田謙監督は沼津の監督を退任後に就任。徹底してフィジカルを鍛え、就任1年目でJ3を圧倒しました。吉田監督の朴訥な語りと秋田の堅守に特化したスタイルはJ2で今もなお異彩を放っています。
このように就任1年目でJ2昇格を果たすには、既に名将としてのキャリアを確立していたり、特徴のあるチームづくり、戦術を嗜好する傾向にあるようです。
いわきの村主博正監督も就任2年目でJ2昇格を果たしましたが、JFLから昇格後1年でJ3を突破しました。
科学的トレーニングに基づき鍛え上げられた身体能力を武器に、局面を圧倒するサッカーは、一戦術や采配を超えて、いわきが数年単位で築き上げたクラブカラーというべきものです。やはりこれも特徴のあるチームづくりという昇格傾向に合致したものといえるでしょう。

それでは、2023シーズン就任2年目を迎えます監督を確認してみましょう。

福島ユナイテッドFC  服部年宏
Y.S.C.C.横浜     星川敬
AC長野パルセイロ   シュタルフ悠紀リヒャルト
カターレ富山      小田切道治
愛媛FC        石丸清隆
鹿児島ユナイテッドFC 大嶽直人
(※Y.S.C.C.横浜は財務上の課題を理由に2022シーズンはJ2ライセンス取得に至りませんでした。)

この6クラブの中から5クラブを選べば…いやいや、話はそう単純ではないような気がします。

あくまでも就任1年目でどのような種を蒔き、収穫に向けてどのような上積みがあるのかを見なくてはなりません。

先ほど、「1年目に種を蒔く」とお伝えしましたが、J3でじっくり種を捲けるのにも理由がありました。
それは下部リーグ(JFL)への降格がなかったからです。
つまり、ある程度は順位の心配をせずに理想とする「自分たちのサッカー」づくりに邁進できたのです。

なぜ過去形なのか?
そうです、今シーズンからJ3にも降格、残留争いが生まれるのです。

(2)J3残留争いがリーグに及ぼす影響


J2編でも触れましたが、2024シーズンからJリーグのクラブ数はJ1~J3各20に統一されます。
2023シーズンのJ3はFC大阪、奈良クラブを加えて既に20となりました。
よって2023シーズンは条件付きですが、最大2クラブがJFLに降格することになります。詳細については下記を参照いただければと思います。

昨シーズンまでは種を蒔けたわけだから、今シーズンの昇格予想とは関係ないのでは?と思われるかもしれません。
そこはそのとおりなのですが、別の観点でこのJ3残留争いが昇格戦線に及ぼす影響は大きいと考えるのです。

Jリーグ各カテゴリー間の昇格、残留争いも熾烈ですが、おそらくJ3・JFLの入れ替えは、J3クラブにとって降格すればJクラブでなくなってしまうという脅威、恐怖を与えることになるでしょう。
残留争いを戦うクラブには、これまでのように実験的なサッカーを試す余裕、いわゆる種を蒔く余裕はなくなると思うのです。
リーグ終盤になるほど、この傾向は強くなり、現実的に勝ち点を確保するサッカー、守りを堅めたサッカーへ転換するクラブも出てくると予想します。

これは昇格争いを戦うクラブにとって下位相手の戦いがこれまでよりも簡単なものでなくなることを意味します。

昨シーズンの対戦成績から下位相手の戦いぶりや接戦での成績等を洗い出し、予想の参考にすることも考えましたが、2023シーズンは監督交代や入退団により大きく体制が変わったクラブも多いことから、あまり参考にならないと判断しました。
明確にいえるのは、昇格争いが佳境を迎えるシーズン終盤になればなる程、これまで以上に引いた相手、守りを堅めた相手を崩す術を持つサッカーが有利になるということです。

(3)近年最多20クラブの参戦

最初の表にもお示ししていますが、2023シーズンは近年で最多の20クラブがJ3に参戦します。2022シーズンから2クラブ増えましたので、年間試合数は4試合増えることになります。
よって、これまで以上に2023シーズンは選手層の厚さが問われます。
戦力補強の充実度がそのまま順位に反映されるシーズンになるのかもしれません。

(4)西日本に偏るクラブ分布

いわき、藤枝がJ2昇格、盛岡、琉球がJ3に降格、奈良、FC大阪がJFLから昇格したことにより、2023シーズンのJ3リーグはこれまで以上に西日本にクラブが偏ります。試合数が34試合から38試合に増加する中、クラブにとって移動の負担の変化という点は見逃せないところです。
この点は単純に移動距離ということではなく、アクセス面で遠征が楽になるクラブがあるのかという点が気になります。
予想の決め手ではないです。あくまでも補強要素です。

それでは以上の予想ポイントをまとめます。

予想ポイントのまとめ

① 就任2年目の監督に注目
② 特徴がある戦術
③ 守りを堅めた相手を崩せる術を持っているか
④ 選手層の厚さ
⑤ 西日本のクラブ、特に遠征が楽になりそうなクラブが有利か
以上5点からJ2昇格候補5クラブを挙げます。

2.2023 J3は愛媛の年になる?!

◎昇格予想(2位以内)

① 愛媛FC

昨シーズン7位、石丸清隆監督2年目の愛媛が更に躍進、J2復帰を勝ち取ると予想します。
昨シーズンは開幕4連敗スタート、チーム最多8ゴールを挙げたエース松田力の初得点も実に第13節でのことでした。
しかしながらシーズン全体では前年の39得点を上回る51得点をマーク。得失点差は二桁のプラス10となりました。
石丸監督が標榜する攻守に能動的なサッカーが徐々に浸透したシーズンといえます。
チーム全体のシュート成功率はリーグ屈指もチャンス構築率に課題を残すクラブ(※FootballLabo参照)は、疋田優人(岡山→)や深堀隼平(群馬→)らパスやスピードでチャンスを創出できる若手、狭いスペースでもテクニカルなプレーを発揮する曾根田穣(水戸→)や菊地俊介(大宮→)ら実力者も獲得。最終ラインの平岡康裕(仙台→)に、残留した佐々木匠、松田力も含めて全体的な選手層は昨シーズン以上といえます。

更に愛媛の強みはセットプレーでのゴールの多さ(昨シーズン16得点)とミドルシュートの意識の高さです。これは、守りを堅める相手から得点を奪う大きな武器になります。もちろん昨シーズンから選手の入れ替わりがありますので一概に今シーズンも同じようになるとは言えませんが、セットプレーのキッカーとして、そしてミドルシューターとして疋田優人が代えの効かない戦力になるのではないかとイメージしています。

② FC今治
そして今一度、FC今治に期待します。
昨シーズンも最終的には勝ち点60の5位でしたので、悪くはなかったのですが10月の3連敗(全て1点差)が痛かったです。
一度失点しだすと止まらなくなる傾向がありましたので、J3ベストイレブンCB安藤智哉(大分)の流出はあったものの、GKセランテス(元福岡)、DF二見宏志(長崎→)や櫻内渚(神戸→)の補強は的確といえます。
12得点をマークした千葉寛汰(徳島)流出の穴はドゥドゥ(町田→)で埋めます。彼がどれぐらい稼働できるかがポイントでしょう。
そんな意味でもインディオの更新は大きなプラス要素だと思います。
高木理己監督は新任ですが、ヘッドコーチからの昇格となるためチームづくりの継続性は維持されると思われます。かつては3シーズンにわたりガイナーレ鳥取を率いた経験もあるJ3をよく知る監督です。

愛媛県のこの2クラブは関西に2クラブが増えたことにより、今シーズンアウェイ遠征の負担が若干軽くなるのかなと推測します。いわき遠征が無くなる分、いわて遠征が帰ってきた訳ですが…。花巻便が神戸や伊丹から飛んでいますし、仙台空港からいわきに移動する負担と比較しても、あまり変わらない気もいたします。実態は選手に聞かないと分からないことです。

③ カターレ富山

小田切道治体制2年目の富山が愛媛の2クラブを追走するとみます。
昨シーズンは、ここを勝てば昇格戦線へという大事な試合を落とす傾向にありました。結果的に石崎信弘監督の解任に繋がった訳ですが、石崎監督途中解任からの新監督2年目という状況は、実は藤枝と全く一緒なのです。
藤枝が後方からの徹底したビルドアップを磨いた一方で、小田切監督はそれまでの3-1-4-2を4-4-2に修正、相手に合わせて可変しながらギャップを作るサッカーを試みます。つまり種の蒔き方が違うのです。
結果的に得点は増加しましたが、失点も減少せず、まだチームづくり半ばとの印象です。
今オフは比較的静かな動きに止まりましたが、このクラブには川西翔太や大野耀平といった計算できるアタッカーがいる点が強みです。DFの軸かつプレースキッカー林堂眞も健在なだけに戦術の成熟が待たれます。
そして今季、カターレ富山には久々に胸スポンサーが復活します。
こういう動きは選手のモチベーションを上げる要素のひとつであると思います。富山地鉄の車内には左伴繁雄社長の言葉が広告掲載されています。
雪をも溶かす熱いサッカーに期待しています。

④ ガイナーレ鳥取

この先は穴っぽい2チームを挙げます。
石川大地(熊本)が抜けた穴は大きいと思いますが、金鍾成監督3年目のガイナーレ鳥取を穴として挙げます。琉球を昇格させた時も就任3年目でした。元々金鍾成監督の攻撃サッカーは戦術浸透まで時間がかかるとの見方もあるようです。両SBが同時に上がるシーンもありますので、守備はなかなか大変との印象もありますが、昨シーズン夏場によく走れていたという印象が強く残っています。琉球から田中恵太を獲得し、サイド攻撃は更に磨きがかかるものと思われます。
そして、このチームも遠征の負担が軽減されるのではないかと予想します。

⑤ SC相模原

そして穴と呼ぶには期待値が高いと思いますが、戸田和幸新体制の相模原を挙げます。おそらくお金は使える状況と推測していますが、新戦力のスカウティング方針が徹底していました。28歳以上の選手、カテゴリー降格となる選手は獲得しないという方針は斬新でした。昇格を目指すのは当たり前、その先に何を提供出来るのかを追求すると志の高さは今の若者に火をつけるのかもしれません。
サッカーの中身は開幕後の楽しみになりますが、戸田監督、このクラブの成功は今後の日本サッカー界をも変革する大きなエネルギーになる可能性を秘めていると思います。

その他
案外、重要なチームに触れていませんので少々…。

松本山雅…「ポスト反町」に苦悩し続けているとの印象です。攻撃サッカーを標榜するのもそこを意識してのことだと思いますが、力を入れるべきは守備力強化であると思います。

鹿児島…個人的には好きなサッカーをするチームなので応援しているのですが、ここは若干全体の戦力層が薄い印象があります。昨シーズンも夏場以降苦しんだのはそのためでした。米澤令衣の長期離脱も痛いです。

盛岡…ドウグラス・オリヴェイラの加入におっと思ったのですが、一気にカテゴリーを2つも下げた点が気になりました。

琉球…監督、そして軸となっていた選手が出ちゃいましたね。うーんという感じです。

おわりに
以上、まことに独断と偏見ながらJ3の昇格予想を記させていただきました。例年とは異なった味わいのシーズンになるのかなと思います。
個人的にはJリーグをよく視ていた頃(今も観ていますが)のスターたちが指導者になって帰ってきてくれたことが素直に嬉しいです。歳をとったなとも思います…。
お読みいただき、ありがとうございました。

※敬称略

【自己紹介】

雉球応援人(きじたまおうえんびと)
40代。特定社会保険労務士という仕事をしています。
JFL時代からのファジサポです。
昨シーズンからレビューに挑戦、このレビューを通して他のサポーターさんとの交流が広がったと感じています。
サッカーはまだまだわからない事が多い、目の前の試合に向き合いながら今シーズンも学んでいきたいと思います。

学びを諦めない、知ること諦めないはモットーのひとつです。

ミラーレス一眼片手の乗り鉄です。
意外にも「アウェイ鉄」さんって多いんだなと最近気づきました。
時刻表と選手名鑑が愛読書です。


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