見出し画像

成長するための哲学と考え方

どうも。藁科侑希(わらしなゆうき)です。
普段は大学教員やスポーツ現場でコーチやトレーナーをしております。
今日が329日目のnote投稿です。

本日は、外山滋比古先生の著書「ホレーショーの哲学」から。

外山先生の著書は、書籍ごとの色や「語りかけ方」が全く異なるようで、とても好きです。
「思考の整理学」のように講座を受講しているように思えるものから、語りかけるようなもの、物語の中に没入させるかのような表現まである気がしています。

Amazonでは表紙画像は掲載されていませんが、実際にはこのような表紙です。

画像1


中でもタイトルでは内容が分かり得なかった本書。
ですが表紙のこの滝の写真に対して、読む前と読後で印象が変わりました。
"曰く、「不可解」。" の一言の重みも。

正直文学や歴史には疎く、シェイクスピアのハムレットと言われても「悲しい劇のお話」、くらいにしか知識がないためにとてもお恥ずかしいのですが。
ただ、外山先生がこの本で伝えたいこと、核の部分は分野や専門、時代さえも関係なく重要なものではないか、と感じました。

今日は本書の中で、特に繰り返し読み、印象に残った3つの章について、それぞれ書いていきます。
※色付き部分が本書からの引用です。

●無意識と相対性|"ホレーショーの哲学"より

本章から、帯の"日光・華厳の滝・藤村操・巌頭之感"の意味や背景を知りました。
私がこの章で印象に残ったのはこちら。一部引用します。

 外国が近くなったいま、日本も先進国の仲間入りをしたと言われるいま、明治の先輩たちのしたことを冷笑することはできない。いまだに、われわれのまわりでは、ありもしない外国の思想に一喜一憂したり、よくわからない外国の事件について、したり顔に解説して自らまどい、世人をまどわしている例が決してなくなったわけではないからである。ホレーショーの哲学の悲劇は続いている。
 明治は決して遠くなっていない。

この中で論じられていたことについて、
 「ホレーショーという"哲学者"は実在しない」
 「ハムレットが投げかけた"your"は概念的あるいは偶像を表す」
 「ことばの解釈では、一字一句をないがしろにできない」
と読み取りました。

取り上げられているのは、ハムレットとホレーショーのこちらの会話。

 There are more things in heaven and earth, Horatio,
 Than are dreamt of in your philosophy.
ー「ホレーショー、天地の間には、哲学などが思いも及ばないことがたくさんあるね」

 ※訳は外山先生の著書から。

しかし、その時代の人たち、特に哲学や文学を愛する人たちはそのような散文的な、言い換えれば短絡的な解釈は望まなかったのかもしれません。

ある意味神格化して、自分たちを導くものとして、"あの"シェイクスピアが言うことなのだから、と拡大解釈をも引き起こしてしまったのかもしれない。
これが、本章の核となる部分だと思います。

この点について、外山先生はこのように述べています。

 半知半解の知識でも、欧米のものであるというだけで、価値を持つ。外来の思想は、多ければ多いほどありがたいが、それを得るのは思うにまかせない。それを補おうという心理がはたらく。
(中略)
 その想像力に、むしろ、おどろくべきかもしれない。

つまり、「事実や真実とは別の観点で価値があると信じ込むことがある」「自分の知り得ないものに対して過大な評価や付加価値を自らつけることがある」、という人間の心理を表しているのではないか、と思いました。

あるいは、無意識のうちに相対的に自分より上だと思う対象の言葉や行動に対して、想像の力を借りて過剰に肯定したり、盲信したりすることがある、というメッセージなのかもしれないですね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●物事の解釈は自分次第|"アイロニー*"より

*アイロニー:皮肉・遠回しの非難・当てこすり

この章では、冒頭の「だいたい教師には、向こうには知られていてこちらは名前も顔も見当のつかない人間が、たくさんあるものだ。」にグッとつかまれました。私も教員の端くれですので、とても共感したんですね。

そんな教師と学生の挨拶の場面、日常での"すれ違い"(手を振られていたと思ったらタクシー待ち)の場面が前半では描かれていました。

このような場面から、外山先生は、

 自分のことを言われたのではない諷刺やあてこすりを、自分が槍玉に上がったのだと思い込むのは容易である。本を読んでいて、共鳴すると、まるで自分の気持を代弁してくれるように感じるが、筆者はひょっとすると別のことを念頭においているのかもしれない。われわれはそれを我が身に引き寄せて解するようになっている。それでないと、ことばは宙に浮いてしまい、伝達の実をあげることができないであろう。

と論じています。

これは、人間が「自分のフィルターを通してしか物事を捉えることができない」という特徴を表していて。
ただ、それが悪いことばかりかといえば、そうではないですよね。

外山先生の言葉をお借りすれば、

 誤解は人間にとって無害であるばかりか、おもしろいものですらある。
 文学者の書簡がときとして作品以上におもしろく読まれるのも、当事者の迷惑ということとは別に、アイロニーの興味といえよう。書簡体小説があられるわけである。

これらはつまるところ、自分自身がどう物事を捉えるかで見える世界が変わる、ということを表すのだと思います。

先のホレーショーの哲学と紐づけるのなら、その自分の色眼鏡こそが"人間らしさ"でもあり、おもしろいと思い、逆におもしろいと思われる部分なのではないか、ということなのかもしれません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●広く深い見識を持つために|"外国を読む"より

最後にこちら。

明治以来、日本にとって、外国は本の中にあった。

またしても冒頭の書き出しに心をつかまれました。
これは、実際現在でも同じような状況ではないか、と思ってもいます。

外山先生も言及されているように、

 読んだ外国が、住んだ外国、見た外国と違うのは当然である。観念的であるのは是非もない。そして部分的である。木を見て森のあることを知らないきらいがある。

この「読んだ外国」が、本の中の外国だけでなく、インターネットが普及した現代でも、実体験として見聞き・経験していなければ、それは同じことなのだろうと感じています。

そして最後の一文「木を見て森のあることを知らないきらいがある。」に本章のメッセージが凝縮されている気がしました。

 いまでも多くの英語教室での読みの理解は、逐語的、逐文的である。ひとつひとつのセンテンスを日本語にすると、それでわかったことになる。パラグラフをひとまとめにして、その要旨をひと口でいうというようなことは、ほんのわずかしか行われていない。
(中略)
 したがって、外国を読んでいるつもりの読みが、案外、われわれが先刻承知している人情、知恵などの再認に終わることが多い。なかなか外国は読めもしないのである。

つまり、外国の言葉を日本の言葉にするという手法・方法論を日本が独自に作り上げたことで、「外国の文化や風土、慣習などの本質を理解しづらくなっている」あるいは、「外国の言葉というツールを通した外国の"人"や"国"自体へ深くまで潜り込めない」ということを表しているのだと思います。

なぜ、英語などの外国語の学習をするのか。
どうして、外国の情報に触れるのか。

その答えとして、自身の見識を広げること深く"相手"を知ること、が挙げられるのではないでしょうか。

--

このようにホレーショーの哲学では、人の概念や思想、考え方や言葉についての新たな視点を与えてくれると感じています。
この記事を読んでいただき、少しでもおもしろそう!と思った方は、こちらからどうぞ▼ おすすめです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今日はここまで。329日目おわり。
最後までお読みいただきありがとうございました!

それではまた明日。

#毎日note
#毎日更新
#スキしてみて
#わらし

【わらし監修】おすすめのランジエクササイズ動画&解説

-----

今日の #standfm

#わらし式トレーニング   【通称】 #わらトレ

今日の #マイキーチャレンジ 【通称】 #マイチャレ #朝活

-----

毎日のトレーニング投稿は基本以下の3つ。

#マイキーチャレンジ   |マイキーのためのシェイプアップベーシックトレーニング
#わらし式トレーニング   |バドミントンパフォーマンスアップのための現場向けトレーニング(一部自宅トレ)
#コアチャレンジ |体幹を楽しく鍛えるためのおうちトレーニング

よければフォローやいいね!RT(特にリツイートが嬉しいです!)をしていただけると大変喜びます。

今後とも引き続き楽しく頑張ります!

https://twitter.com/warawarac

スクリーンショット 2021-06-16 11.26.08

【保有資格】
 博士(スポーツ医学 筑波大学)
 日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
 日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
 NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
 NSCA認定パーソナルトレーナー
 高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 赤十字救急法救急員

【現在の大学担当授業】於:東京経済大学・千葉大学・日本女子体育大学
 <体育実技>
  ●バドミントン ●卓球 ●バレーボール ●トレーニング理論実習
 <ワークショップ科目>
  ●テーピング・マッサージ実習 ●スポーツ医学理論実践
 <講義科目>
  ●健康の科学a ●健康の科学b ●スポーツとの出逢い


トレーナー・コーチ・教育者・研究者に役立つ情報を日々発信していきます! サポートしていただけると、それが活力になってより楽しく内容の濃いものが発信できるかと思います^^