てんてい

VRCのうたを歌います

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最近の記事

お孫様はミュージシャン

「おばあちゃん、孫が来ましたよ。」 老人ホームに入居した祖母を訪ねた。 そもそも高齢という事もあったが、 祖父が亡くなってから体調を崩す様になり、 父や叔父と話し合って決めたそうだ。 それが職場の近くの施設だったため、 仕事の合間に顔を出す事にしたのだ。 事前の連絡もなしに突然僕が現れたので少々驚きもしていたが、祖母は笑顔で迎え入れてくれた。 「仕事は出来るようになったのかい?」 おそらく祖母の中で、 僕は心身共に病んで、ろくに働けもしなかった引きこもりだった頃の記憶

    • あまり歌が上手くないシンガーソングライターの話

      「てんていは歌が上手だねぇ」 今でも鮮明に思い出せる両親の言葉だ。 僕はかけっこもお絵描きも工作も なにひとつ周りの子達と同じ様に出来なかった。 身体も小さく、虚弱で病気がちで、 今思えば両親の心配は絶えなかっただろう。 そんな中、唯一僕が人並み以上にやれていたのが「歌」だった。 今思うと、生まれつき声がデカかったから 目立ってた以上の意味はそれほどなかったと思う。 でも僕は両親の言葉を心の底から信じ切っていた。 「ぼくはうたがうまいんだ!!じゃあおとなになったら『か

      • 【歌詞全文】「キミのママになったよ」のおはなし

        おはてん! てんていです! 自分の曲語りシリーズ、 第3回は「キミのママになったよ」です。 歌詞全文と解説&思い出を載せますので、 良かったら読んでみてね。 歌詞全文解説&思い出勢いに任せて歌い切っておりますが、 大変にトンチキな歌詞ですね。 ですが、この歌詞は「僕の身に起きた100%の実話」です。 僕はVRChat自体は2020年の10月(quest2の発売月)に始めていたのですが、 所謂「いつメン」や「定住するコミュニティ」が見つけられず、2021年の始めまでは

        • 【歌詞全文】「ギラギラ星へ」のおはなし

          おはてんちゃんです!てんていです! 歌詞の全文と共に、 ひたすら自分の曲について話す趣旨のnoteです。 昨日「コミュ障VRChatter」の歌詞&解説を投稿したところ、好評の声を個人的にいただいたので続きをやってみようと思います。 2回目は「好きな人はむっちゃ好き」の代表格! 「ギラギラ星へ」になります。 是非ともお付き合いください。 歌詞全文解説&思い出 この曲は僕が根本的に抱える 「嫉妬心」 「焦燥感」 「何者かになりたい欲求」 これらを出来るだけ"あっ

        お孫様はミュージシャン

          【歌詞全文】「コミュ障VRChatter」のおはなし

          おはてんていです、てんていです。 自分の曲について話してみたいと思ったので、歌詞の全文と共に書いてみます。 第1回は、処女作かつ名刺代わりの一曲、「コミュ障VRChatter」になります。 良ければお付き合いください。 歌詞全文 解説、思い出 ど直球だけど酷い歌詞ですね、本当に。 でも、偽らざる僕の本心が表れています。 当時の僕はVRChatで何かを発信する事に必死で、 自分の手持ちの武器である「作詞作曲」でオリジナルのコンテンツが作れないかと血眼でした。 「『あ

          【歌詞全文】「コミュ障VRChatter」のおはなし

          【備忘録】タイプ別・作詞の仕方

          どうも、メタバースで根暗く元気にシンガーソングライターをやっている「てんてい」と申します。 最近、YouTubeであげた自作曲の内、6曲が10000再生を超えました。 世間一般で見ると別に大した事のない数字なのですが、歌詞について触れてもらう機会がちょくちょく増えているのと、自分がどう作詞しているかを言葉にした事がまだなかったので、備忘録的にまとめておこうと思います。 0.はじめに(前提として)僕は作詞において重要なのは、 「誰でも知ってる言葉を、思ってもみなかった組

          【備忘録】タイプ別・作詞の仕方

          【VRChat】「優しい世界」にしのぶ影

          「ここでならなんかやれそうな気がする」 私がVRChatをプレイし始めた数日後に得た感覚だ。 そこから自作曲の発信を始め、2年経った今はささやかながらながらメタバースで音楽活動をする人間として認知されるようになった。 こういった気持ちを抱くのはなにも私に限った話ではなく、仮想現実で日々を過ごす多くの人が「なにかをやりたい」という欲求に駆られていく。 そんなVRChatの世界で度々語られるテーマに 「なにかをやってる人」と「なにかやろうとするけど出来ない人」 の対比があ

          【VRChat】「優しい世界」にしのぶ影

          ゲリラライブ「野狐禅」を終えて

          「このままじゃダメだと、いや、もう既にダメになんだと思う」 「頑張りたい」のに「頑張れない」 「なにも楽しめてない事」から目を背け続け ただいたずらに心を頑なにし 世間が自分を忘れてるのを知りつつも 何かをする気力すら起こせず 理屈をこねて、周囲を責めて、言い訳ばかりしていた。 『こんなはずじゃなかっただろう』? そもそもお前は そんなご立派なことが言えるほどの高みにいたのだろうか。 分かった気になれるほどの事をやり切ったのだろうか。 もう自分は『気づいた』から

          ゲリラライブ「野狐禅」を終えて

          Q&Aという名の自分語り その1

          てんていと申します。 VRCで生活しながらそこで感じたことや思った事を自作曲で発信しているバーチャルシンガーソングライターなるものです。 他にも「Club Sara's Buddy」や「彼岸旅館 逢曲時」のキャストもやっております。 活動をしてると質問をいただけることがちょくちょくあるので、よく受ける質問を中心に回答を書いて、存分に自分語りしちゃいたいと思います! 以前、YouTubeに投稿した質問動画もよろしければ併せてどうぞ〜! Q1. 音楽経験・歴はどのくらい

          Q&Aという名の自分語り その1

          VRChatが怖いマネージャーと承認欲の話

          「俺、正直怖いと思うんだよね」男梅サワーで顔を赤くするマネージャー兼SPのカイオウがそう言う。 「だからさ、お前が寂しさや人恋しさばかりをあそこで埋めようとしてないか、心配なのよ」 マネージャーは僕のVRでの音楽活動を全面サポートする約束を交わしてくれた一蓮托生の仲間である。 だが、彼はVRSNSとは壁一枚を隔てた距離をとることを徹底している。 「始めからそのつもりだったし、実際あの世界に触れてなお、俺はその必要性を感じたかな」 パソコンもゴーグルもない部屋で、バ美肉

          VRChatが怖いマネージャーと承認欲の話

          VRでも「なにかしなくちゃ」ってなっちゃう話

          VRChatにはとにかくやばくてすげー奴がいる。 そして、そんなそこら辺のやばくてすげー奴を遥かに凌駕する雲上人のような人も割とすんなりいる。 Twitterを眺めていれば、その手の人たちの存在は嫌でも目に入ってしまう。 クリエイターによって発信される音楽や動画、イベントのキャストとして活躍する人達の写真、技術者によって提供される目が回るような最新鋭の魔法。 ジリジリ、キリキリと何かが擦り減ってくのが分かる。 居心地のよかった日陰にギラギラとした陽光が差してくるような感覚

          VRでも「なにかしなくちゃ」ってなっちゃう話

          続・コミュ障アラサー男、クラブで働く

          「あー!てんていさんまた鏡の前で1人になってる!」よくフレンドにそうからかわれる。 でも、そうしてる方が気が楽なのである。 3人以上の会話は苦手だ。 会話という船の舵を自ら進んで取る行為が全くもって出来ない。 会話という大縄跳びでタイミング良く縄に入っていくための一歩を常に逃し続けている。 会話の得意な者が喋れば喋る度、劣等感が刺激されて惨めな気分になる。 「こみゅにけーしょん」というやつはいつだって僕を試して傷つけてくるメンヘラのような奴だ。 それなのに、それな

          続・コミュ障アラサー男、クラブで働く

          コミュ障アラサー男、クラブで働く

          自分でも「何を言ってるんだろう」と思うでも、これは仮想現実上で起きている紛れもなくリアルな話なのである。 僕は隔週で高級感溢れるクラブのキャストとして、来店くださるお客様をおもてなししている。 ボイスチェンジャーを通した目一杯のKawaii声で、夢を見せるべく甘い言葉を囁いている。 僕は自他共に認めるコミュ障であり、 本来は3人以上で話すと会話の輪に入れない。 そんでもってキャストになった経緯も今振り返ると無茶苦茶成り行きである。 でも、僕はそんな成り行きを受け入れ

          コミュ障アラサー男、クラブで働く

          VRで叶えたい目標のはなし

          「お前はVRでの活動を通してどこに向かって行きたいの?」最近、リアルの友人に言われたことだ。 VR上で生活しながら、そこで感じたことを歌にして発信する活動を始めてもうそろそろ一年弱になる。 自分はどれだけ良い曲を作れるかを探求しており、ありがたくもそんな自分の曲を待ってくれているフレンドさん達がいる。 規模こそささやかかもしれないが、そこには好循環が生じている。 それだけで十分ありがたく、このまま活動を続けるに値する理由になると思っている。 だけど、活動の本質を問わ

          VRで叶えたい目標のはなし

          何者かでありたかった自分へ

          「てんていさんは作曲をされてる音楽勢の方で…」 自分のしてる活動は事実としてそうなのかもしれないけど、 こういったことを言われると恐縮が極まってどこかに隠れたくなる。 でも、ふと冷静にかえってみると、 自分に何某かの形ある言葉があてはめられていることに気づく。 これはちょっと前からしたら考えられないような事態だったのだ。 「欝々しいワナビー青春時代」当時の僕がハッキリとそれを自覚する瞬間はなかったと思うけど、 学生時代の僕は「何か」になりたがっていた。 でも自分が手にす

          何者かでありたかった自分へ

          アラサーになった日の話

          ある日、25歳になった。 バーチャル上では17歳を頑なに通してる僕にもそんな時があった。 アラサーの定義は曖昧だが、四捨五入をして30歳になることをそれとするならば、 この時に僕はアラサーになったことになる。 アラサーになって一番最初に出てきた感想は、 「あぁ、このまま30歳になってしまうんだろうな」 だった。 ワナビーおじさん僕は夢だけは色々持ってる人だった。 声優や歌手、脚本家だとかそこら辺のものは大体夢見てた。 周りは優しい人ばかりだったので、 「夢がある

          アラサーになった日の話