【備忘録】タイプ別・作詞の仕方
どうも、メタバースで根暗く元気にシンガーソングライターをやっている「てんてい」と申します。
最近、YouTubeであげた自作曲の内、6曲が10000再生を超えました。
世間一般で見ると別に大した事のない数字なのですが、歌詞について触れてもらう機会がちょくちょく増えているのと、自分がどう作詞しているかを言葉にした事がまだなかったので、備忘録的にまとめておこうと思います。
0.はじめに(前提として)
僕は作詞において重要なのは、
「誰でも知ってる言葉を、思ってもみなかった組み合わせで表現する事」
だと思ってます。
マインクラフトを想像してください。
一つ一つのブロックはシンプルな形をしてますが、時々それで見事な建造物などを作り出す人がいらっしゃいますよね。
「マイクラでここまでやるの!?」
それが驚嘆に値するのは、大体の人は同じブロックを使ってもありふれた建造物やう◯こみたいな屋根のお家しか作れないからです。
作詞に話を戻すと、
歌詞は難しい言葉や言い回しを使うと、
「刺さる人、こちらの意図通りに解釈される事」
がガクッと減ります。
かと言って、「誰にでも分かる言葉」ばかりを使うと、
「ありきたり、オリジナリティを欠く」
といったリスクを負います。
「はいはい、結局はバランスなのね」
って事でもあるんですが、それに逃げずにあえて言葉にするなら冒頭の
「誰でも知ってる言葉を、思ってもみなかった組み合わせで表現する事」
という事です。
どれだけ相手にとって「灯台下暗し」な表現で刺すかが肝要であるなと思います。
人間誰しも、
「自分の身近な言葉に心を動かされ、遠い言葉には無関心なのです」
以下は歌のタイプ別に思う事を書いていきます!
1.キャッチー・あるあるソング
(具体例:unityわからん、アバター買ったんか)
多分、一番「てんていと言えば」のジャンルだと思うので、こっから書いてこうと思います。
あるある・キャッチー系を書く時に意識してる事は以下の通りです。
・「多くの人が経験してる事を"敢えて"言葉にする」
「わかるぅ〜😭」
と人に言わせるには「代弁のセンス」が問われます。
「うんうん、キミの気持ち、分かるよ…」
とだけ言っててもそれは共感を生む態度にはなりません。
如何に相手の経験した事や思ってる事を
「それってつまり〇〇ってことだよね?」
と「代弁」する事があるある系のキモです。
そのために必要な事は、
「特定の出来事や物事に対して、まず自分が自分自身の感情や体験を言葉に出来るようになる事」です。
僕の書くあるある系の歌詞は
自分が体験した出来事や感情の中で、他の人も経験してるであろうものに狙いを定めて「描写」しています
・繰り返す言葉(キラーフレーズ)を中心に歌詞、曲を作る
これは曲をキャッチーにする上で大事なことです。
パワーワードが過ぎる言葉や意味はくだらないのに語感が極めて良い言葉に対して「声に出して読みたい日本語」と茶化すネットの文化がありますが、キャッチーな曲の本質はそこだと思います。
「アバター買ったんか」が
「アバター買ったのか」や「アバター買っちゃったの」でない理由はそこです。
「買ったんか」という言葉の聞き感触と「自分も言いたくなる」ような語感を重視してるわけです。
そのようなキラーフレーズを見つけたあとは、それを中心に他の部分を作り、キラーフレーズが目立つような作りにします。
要は「こする」訳です。
「それが音楽的に優れたものか?」という議論は一回置いておいて、
とにかく自分の曲や名前を覚えてもらってバズりたい人にとっては「アバター買ったんか〜♪」のワンフレーズでも覚えてもらえたら勝ちな訳です。
それを口ずさんでもらえようもんなら、しめしめと言ったところでしょうか。
2.刺しにいく曲
(具体例:ギラギラ星へ、しょっぱいな)
ずーっとキャッチー・あるあるばかり書いてると「俺って何やりたいんだっけ…」って病みますし、周りにも同じような事でつつかれるので、時には感情を込めた曲を作るのも良いと思います。
ただ、自分の中の「毒」だとか「痛み」、「トラウマ」にも似た感情を表現するのは「力加減」が問われます。
「痛み」をそのまま「痛かった」と歌うどころか、全編血反吐を吐いて表現することが成立する人もごく一部いるとは思うんですが、基本的には聞く人を置いてかない、疲れさせないためにも「チクッ」と刺すくらいが丁度良かったりします。
そして感情的な言葉こそ、
直接的な言葉よりエピソードや情景の描写の方がかえって引き立つと感じる事は少なくありません。
「皆んながプラベにいて寂しい…」
「こういう時に積極的になれない自分にうんざりする」
「どうせこういう時に皆んなに誘ってもらえるほど僕は好かれてないんだ」
と言いたい感情はたくさんあれど、
「ホームで1人立ち尽くすだけ」
という情景描写のみに留めたのがプラベこもり唄になります。
「つまり回りくどく言えってこと?童◯くさいな!!」
ってな声も聞こえてきそうですが、
全く感情を出すなという話ではありません。
ただ、徹頭徹尾フルスロットルだと聞く人は疲れてしまう事があるのです。
どうしても直球に伝えたいメッセージがある場合は
・サビのラストに入れる
(具体例:ギラギラ星へ「しあわせになりたいな」)
・セリフとして入れる
(具体例:プラベこもり唄「お前ら皆んなJustしてんだろ」「このハレンチ」)
など、ワンポイントに全てを込めると聞く人を刺すような表現ができるかも知れません。
3.手放し、感覚的な曲
(具体例:鏡のナルシシスト)
「てんてい君は科学的に歌詞書くよね」と友人に言われた事があります。
確かに、僕は理屈や妥当性で言葉をチョイスしているところが多分にあります。
特に言葉の意味の面ではそれを強く気にしており、作詞の手が詰まる原因も「理屈の上で通っている」ことを気にし過ぎることであるのが多いです。
ただ、時に自分もチャレンジとして、
「言葉の意味を通さない」
「出てきた言葉をなるべくそのまま使う」
「聞き感触に振り切ったフレーズを多用する」
曲を作るってみることもあります。
正直、その手の楽曲はあまり得意でないなとは思うのですが、「鏡のナルシシスト」を例に意識した事を以下にまとめたいと思います。
・聞き感触の直感を信じる
どうしても「言葉の意味が通ってないしなぁ」っていう感情は邪魔してくるものです。
ただ、そういう楽曲を作ると決めた時は、聞き感触こそを正義としましょう。
個人的に聞き感触、歌い感触の良い曲は"歌い手が好きな"楽曲になりやすいです。
・歌詞は"そもそも上手く伝わらない"という前提
そもそも説明的である事に振り切った歌詞も全然頓珍漢な解釈をされる事はあります。
そして、自分にとってはセンス抜群で会心の一撃のフレーズでも、他人に見せるとあっさりスルーされる事も大変よくあります。
もう一度言います。
大変"よく"あります。
それは極めて"ありふれた"事です。
そして、それは見る側のセンスだとか、自分のセンスがとかそういう話ではなく、
書き手と受け手の価値観や言葉の捉え方の差異でしかないです。
なのでそう思うと、
歌詞を誤った解釈されないための努力がそもそも見当違いであるという風に捉えることもできます。
(僕はそこら辺を諦める事が嫌いなので出来るだけ粘りますが)
伝える事に最大限努力しても結局は聞き手に委ねられてしまうのならば、ひとまず意味の筋を通すより、聞き心地の良いフレーズというのにフォーカスをするのもアリなのだと思います。
4.ホームランを狙う、決めの曲
(具体例:メタってこうぜ!)
僕は自分の曲は全部好きなのですが、思い入れという意味で1曲に絞るのであれば「メタってこうぜ!」になります。
この曲は「それまでの僕の集大成」「活動の目的」「ライブのクライマックスで使える曲」といった言うなればラスボス的な意味合いで作りました。
先ほど、「感情を込めるなら程々に」と言ったばかりなのに誠に恐縮なんですが、この曲は最初から最後までホームランやKOをがむしゃらに狙っている曲になります。
その上で、「こういう意識でもって書いた」というのを以下にまとめます!
・大事な言葉を伝えるからこそ、引き寄せるための「キラーフレーズ」
サビで使う「メタってこうぜ」というフレーズは聞き手の方達にこの曲を共有してもらうための「ツール」です。
先述の内容とも重なる事ですが、どれだけ大事なメッセージをスマートな表現で歌詞にしたとしても、「取っ掛かりのないものに対して人はとことん無情なもん」です。
作詞や歌を人とのコミュニケーションと捉えるのであれば、
「人々は聞きたいと思った人のメッセージを聞くもの」です。
「どっかのクソどうでもいい奴に言われた一言」を
「感じが良くて好ましい人からの一言」に変換するためには、
そのメッセージとは直接的に関係なくても、相手の関心を惹くための仕組みはあった方が安心だと僕は考えます。
・感情の強いメッセージほど簡単な表現で
「メタってこうぜ!」にて感情を特に強く込めたメッセージは
「貫き通せ、僕らは美しい」
「皆んながいい、皆んなでいいんだ」
の二つです。
勿論、僕の思いや感情そのものはもうちょい複雑なのですが、人の気持ちを鼓舞するための言葉は出来るだけ簡潔に出来ると上手くいきやすいです。
これは作詞というより、コミュニケーション全般の話になりますね。
あと、短い言葉にまとめられれば、
単純にフレーズとして短い息使いで歌えるというメリットがあります。
短い息で済むという事は、それだけ一言にかけられるパワーや圧が多いという事になります。
歌う事そのものが難しい(呼吸のコントロールが必要な)フレーズで感情を伝える表現まで入れ込むことで、より高度なテクニックが要されることになる可能性は見過ごせません。
・それでも伝わらない事もあることを受け入れる
最後は気の持ち様の話なのですが、
万事を尽くした言葉でも、伝わらないことも響かないことも全然あり得ます。
そりゃそうなのです。
今、私たちが「歴史に残るJ-Pop100選」的な再生リストを聞いて、その全ての歌詞に心を動かされるかなんて言ったら、そんなこたぁないのです。
いくら頭で「この人達は伝説的なアーティストで…」と思ったところで、響かないものは響かないのです。
伝える努力は曲を作り上げる瞬間まで突き詰めてするべきでしょうが、それ以降はもうどうしようもないのです。
一級のアーティストでさえそうなのですから、思う様に自分の言葉が大事にされてない様に感じても、過度に気に病まないのが大事です。
いや、それでもむっちゃ傷つきますけどね!!
未だに「Unityわからんが一番好きです」って言われると有難いのに複雑な気分になったりしますけどね!!!
ただ、「どんなド天才だってそうなるもんだ」って思えるとちょっとだけ楽かも知れない。
そういうお話です。
さいごに
自分の作詞に対する心構えや理屈が果たしてどれだけ皆さんにとって意味があるかは分かりませんが、ひとまずまとめてみました。
きっとこの先、僕自身が作詞で大事にしていくものや方法論が変わって行ったりすることは全然起こりうる事だと思います。
そうなった自分が2023年8月の僕を振り返れる様にしっかりと書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
楽しんでいただける様な内容になってましたら、ぜひいいねやご感想をいただければと思います!
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
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