あとがき



「古武道的★日本語教育論」という記事を書いて「創作大賞2023」に参加する契機となったのは、『セルフブランディング』の重みをじわじわと感じるようになってきたからである。新日本プロレスの内藤哲也選手が「トランキーロ、あっせんなよ!」と並び、同じくらい多用する言葉がいくつかある。その言葉の一つである「声に出さなきゃ始まんないよ!」という言葉を使って、他の選手を挑発するためにバックステージでコメントしている様子をYouTubeで目にすることが何度かあった。まさに、その通りである。何でもかんでも、口に出して意思表示をすれば良いわけでもないが、ただ心の中で思いを煮詰めているだけでは、良いアイデアがあったとしても、いつまで経っても作品としては仕上がらない。
私は、作品の冒頭にも書いたが、「古武道的★教育論」という大きなタイトルを掲げて書いた割には武道歴も浅いし、日本語教師の職においても、まだまだベテランの域には入らない。それでも、「これでいいのか?」と自問すれば「だから何?」と返事がくるようになった。つまり、多少なりとも自分に自信が持てるようになった。
若い頃に、ロックバンドを組んでLIVEも数回演ったし、鈴鹿サーキットでMAZDAロードスターに乗って、走行会にも何度か参加した。仕事だって、日本語教師になる以前は様々なサービス業で日々を悪戦苦闘していた。そして、30代半ばで初めての外国暮らしを経験し、タイのバンコクで自分を見つめ直すことが出来た。どこに居ても、何をやるにしても、決めるのは自分。学歴も職歴も大したことがないからと言い訳だけして、やれることをやらないのは、さらに自分で自分を見下すことになりはしないか。やれることは、とことんやろう。人生一度きりなのだから。そして、この思いが、人生に悩み今を生きる教え子たちに響けば幸いである。
最後に、今の私が存在するのは、家族のおかげであるということは、口に出すまでもない。だが、たまには口に出しておかないと、愛情が逃げてしまっては元も子もない。そこで、この場を借りて、このエッセイとともに、妻と娘に「いつもありがとうございます」と、心から感謝の意を述べさせていただく。

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