見出し画像

ゲートキーパー講習 ② 応用編

 
 11月14日、地元の社会福祉センターで開かれた 

 2022年度ゲートキーパー初期研修

  ━若者向け応用講座━

を受講してきました。

 今回は前回よりも一歩踏み込んだ内容で、

2時間では足りないほど濃いものでした。


 終わりには二十分ほどロールプレイの

時間が設けられており、

職場で思い悩む若い人をどのように助け

られるかという設定で、

二人一組に別れて援助する側とされる側

を交互に演じ、当事者の心情になって対

処法を模索するというのはとても良い勉

強になりました。

 今回、基礎編の振り返りや自殺に繋が

る原因の考察、ロールプレイなどについ

ては敢えて省略しますが、

 おさえておきたいポイント、

ゲートキーパーの心がまえとして、

 ①傾聴の基本的理解

 ②共感の基本的理解

 ③傾聴・共感と言語

 ④無条件の肯定

 等を学びました。


 先ずは①傾聴の基本的理解ですが、

 Ⅰ 五感を研ぎ澄まして寄り添うこと

 Ⅱ 相談者は他者である、

   つまり自他を混同しないこと

 Ⅲ 思いや考えを教えてもらう事から

  始める

 Ⅳ 自分なりの判断評価ではなく事実

  を見極める

 Ⅴ 聴いている姿勢を視線、相槌、

  復唱、確認などで伝える

 Ⅵ 最後まで聴ききる

  …などがありました。

 続いて②共感の基本的理解ですが、

相談者と同じ感情になるということではなく

(それは不可能なので)、それを汲み取り、
自分にどう影響したかを把握し、

フィードバックすることが大切だと言う

事でした。

ある意味セッションのような感じにとら

えると良いのかもしれません。

 ③傾聴・共感と言語

 Ⅰ 相談者が何を話すかではなく、

話しているその状態に意味がある

(話すことをためらうのが普通だから)と認識すること。

 Ⅱ 時として沈黙の中で共有出来る事も

 たくさんある(以心伝心)。

 確かにそのような場面は滅多にありませんから、

「何か聞かなければ」「話さなければ」と
プレッシャーを感じるかもしれません。

 しかし、互いに言葉にできなくてもそ

の場を共有することは傾聴や共感の一つであり、
十分エンパワーメントになり得るという

のは興味深かったです。

静寂な湖の朝


 ④無条件の肯定

 4つのポイントのうち、個人的に一番重要なのがここだと思われました。

 要点として、

 Ⅰ 相談員は他者の人生に関わるが

 人生の先導者ではない

 Ⅱ ゲートキーパーは命の番人であり、

 法の番人ではなく、
 倫理の番人でもなく、教育者でもない

 Ⅲ より良い道があると思っても、

 導こうと無理強いしない

 等です。


 これらは

「自分が相談者に成り代わってその人生を生きるのではない」

と言い換えれば、解りやすいのかもしれません。


 私達は当然のことながら物事を自分の

主観において判断します。

 しかしその、自分本位の基準は

 絶対ではありません。

 人それぞれ自由意志があり、

 育った環境年齢人生経験などで、

 みな異なる基準をもっていることを肝

 に銘じる必要があります。




 落とし穴


 個人的な考察で恐縮ですが、敢えて私

の主観から述べ、そこにどのような「落

とし穴」があるか気づいた事に触れたいと思います。

 それは、学問として研究している人

と、過去にそのような願望を持ったこと

のある当事者とでは捉え方が違ったと言う事です。

 最初、講師の方の話しぶりでは、おそ

らくその方の身近には(カウンセリング

等の対象者は別として)当事者がいな

い、または自身にもそういった経験がな

いのではと思われました。

要は当事者としての経験がある私には、

扱い方もサラッとし過ぎていて、内容も

表面的なものにとどまっているかのよう

に思えてしまったわけです。

 しかし、この時点で既に裁き始めている自分がいる事に気づかされました。

 自殺を考える人の多くは自己受容

(自分の不完全さや置かれた状況etc…を

受け入れること)が出来ていないのかもしれません。

 逆にそこまで至っていない人は、

おおむね自己受容が出来ていると思われます。

 自己受容出来ていない、

つまり自分を裁く傾向がある人は他者をも裁く傾向にあり、

先に挙げた相手を無条件に肯定するという部分で引っかかりやすいわけです。

 私自身、既に克服出来たと考えていましたが、
最近そういう失敗をしたばかりなので、

かなり根が深いものだと思い知らされました。


 この点で自己受容出来ている人は相手を肯定し易いですし、

自他を冷静に別けて考える事もできるでしょう。


しかし繰り返しになりますが、

それが出来ていない人は、

つい入り込み過ぎ自他の境界が曖昧になり、
逆に同調しフラッシュバックが起きて

重荷となりやすい側面もあったり、

(経験上)最終的には自分の基準で裁いてしまう結果になりがちです…

ゲートキーパーの向き不向きは経験値(人生経験)よりも、

正しい知識冷静さ適切な距離感

そして何よりも自身が自己受容できているかが大事だと感じました。

 その意味で、最初に感じた違和感

…講師の方のどことなく一歩引いたような冷静さは至極当然であり、

むしろそうあるべきなのだと気付か

された次第です。


  …二度に渡って受講した講座は、

主に若い人を対象としたものでした。

 次回、来年1月に開かれる講座は高齢者が対象ということで、
現在参加するかどうか検討中です。


 世の中が混迷を極める中で、

あらゆる世代が大きな時代の変化の波にさらされています。

 そのような事態がいつ自分や周りの人に降りかかるかわかりません。

 しかし過度に恐れを抱いたり、

萎縮するのではなく、普段から自分や他者の価値を互いに認め合い、
関心を払い、
今もこうして「生かされている」、
だから「自分はこの世界に必要な存在なんだ」という自覚を共有する事、

それが皆にとって、この嵐の時代を乗り切るための魂の錨となることを切に願っています。


 最後までお読み頂き心より感謝致します。

野反湖の夜明け

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?