マガジンのカバー画像

息子に紡ぐ物語

487
1男1女の子供を持つ平凡なサラリーマンと、父で作家の「長谷部さかな」は、不思議なキッカケから毎日メールをやりとりすることに。岡山県の山奥にある見渡す限りの土地や山々はどのように手…
運営しているクリエイター

#岡山県

【180日目】男たちの隠れ家

【180日目】男たちの隠れ家

ご隠居からのメール:【男たちの隠れ家】

今朝の新聞も東京の新規感染者数が1915人とコロナの下降トレンドを伝えている。来週月曜日の9月6日に1000人以下になるかどうかが、政府のコロナ対策の評価のポイントかな。『ペスト』のようにある日、突然終息すると、塩野義製薬が儲けそこない、同社の株価が下落するだろう。

>>一連の件は、ご先祖さまからのメッセージのような気がしてならない。

ーーそうだね。治

もっとみる
■【より道‐58】歴史が刻まれる辺境の地_伯耆日野に残る跡

■【より道‐58】歴史が刻まれる辺境の地_伯耆日野に残る跡

安芸国、備中国、伯耆国への1泊2日でルーツを辿る弾丸ツアーは、宮島の「厳島神社」そして、ご隠居の故郷、高瀬の地での墓参りをすることができました。

高瀬の地は、過疎化が進み、長谷部の田畑も草木で荒れ果てていました。少なからずとも、室町時代に京都の東寺へ年貢を納めていた良質の畑は、みるも無残な姿となっています。これは、由々しき問題だなと思いました。

そのように、思えただけでも良かった。

そう思い

もっとみる
【165日目】歴史の転換点

【165日目】歴史の転換点

ご隠居からのメール:【歴史の転換点】

一方、原稿はどこかの時点で結末をつけねばならないが、ネバーエンディングストーリーという意識をこめる必要がある。『ふゆ物語』は婚姻によるハッピーエンディングの時間を結末とするハッピーエンディングを考えたが、その後、すくすくと成長した二人の少年(友次郎と安次郎)が魚釣りをしている場面をエンディングにすることも考えている。

返信:【歴史の転換点】

弥左衛門さん

もっとみる
【163日目】立木伐採と墓への疑問

【163日目】立木伐採と墓への疑問

ご隠居からのメール:【立木伐採と墓への疑問】

昨日、広島の弟に電話して、立木の件と墓の件について問い合わせた。立木は、枝を払ってもよいと信谷清巳さんにはすでに伝えてあるという。ただし、木そのものを幹ごと切るのは待ってくれということだ。

墓は、まず、友次郎六代目の内容を調べてくれと依頼した。過去帳の写しあるが、よくわからないとのこと。その他、いろいろ聞きたいことが多いが、弟はそんな昔のことには興

もっとみる
【137日目】東寺百合文書

【137日目】東寺百合文書

ご隠居からのメール:【 東寺百合文書】

随筆『尼子の落人』には東寺百合文書という中世の備中についての一級史料が紹介されている。「備中国名主百姓等連署起請文」(寛正二年八月弍二日))には名主・百姓四十一人の名前が載っており、その中に秋末の名がある。

たしかに、『新見庄ーー生きている中世』の地図を見ると、わが家のあった場所は秋末という名の所有地だ。ところが、右隣の八幡神社の近く、現在の松田氏の家の

もっとみる
【95日目】神郷町

【95日目】神郷町

ご隠居からのメール:【神郷町】

「世のため人のため何かしたい」というのは立派な大義名分だ。しかし、立派な大義名分をかかげても、世人は誹謗中傷をしてくる。ひらりひらりと体をかわし生きていかなければならないし、大義名分の重要性が減じるわけでもない。

封建的な田舎の食事時、膳の並べ方に耐えられなくなったのか、それとも他の理由によるものか、文子さんは何度か家出をして京都の妹のところへ逃げた。連れ戻すた

もっとみる
【94日目】人間失格

【94日目】人間失格

ご隠居からのメール:【人間失格】

太宰治『人間失格』ではオレの経験と重なっている箇所がある。たとえば、

自分の田舎の家では、十人くらいの家族全部、めいめいのお膳を二列に向い合わせに並べて、末っ子の自分は、もちろん一ばん下の座でしたが、その食事の部屋は薄暗く、昼ごはんの時など、十数人の家族が、ただ黙々としてめしを食っている有様には、自分はいつも肌寒い思いをしました。

これは五歳か六歳の頃、高瀬

もっとみる
【75日目】妄想ドラマ

【75日目】妄想ドラマ

ご隠居からのメール:【妄想ドラマ】

「山椒魚の故郷」五冊、月曜日に郵便局のレターパックで発送する。

「内田百閒文学賞30周年」記念展の開催は、新型コロナ緊急事態宣言の影響でとりやめになるかもしれない。感染状況は千葉県より岡山県のほうが深刻だからーーと、これはネガチブな展望。一方、ポジティブな展望は『方谷塾入門』を小冊子のかたちで印刷製本するという案も出てきた。一冊508円程度のオンデマンド本で

もっとみる
【73日目】物語

【73日目】物語

ご隠居からのメール:【物語】

與一さんは息子に期待しすぎて裏切られた。農機具や農作業にまったく興味を示さない息子より、喜んでトラクターなどに乗ったりする孫のほうが頼もしいと思っていたようだ。しかし、「ここから見えるすべての土地は全部長谷部の土地だ」と興一さんがJに言ったときは晩年で、昔の栄光のまぼろしを追って、孫に対して見栄をはっていると思う。

目の前に見える土地の多くは長谷部の土地にはちがい

もっとみる
【58日目】井出ノ谷造林地

【58日目】井出ノ谷造林地

ご隠居からのメール:【井出ノ谷造林地】

岡山県と締結した井出ノ谷造林地の土地所有者には次の名前が載っている。

 長谷部弥左衛門
   右相続人 長谷部與一
 長谷部次郎
   右相続人 長谷部與一
 長谷部勝治郎
   右相続人 長谷部與一

その他、松田善太郎(→栄作)、信谷安次郎(→徳重)、柴原作次郎(→爲三郎)、などの署名があり、別のページには井上富士男の署名もある。次郎は友次郎だと思う

もっとみる
■【より道-9】神郷町大字高瀬

■【より道-9】神郷町大字高瀬

岡山県新見市阿哲郡神郷町大字高瀬

父である82歳のご隠居が育った故郷。自分が幼い頃は、毎年夏休みに家族6人で新幹線に乗り東京から4時間かけて岡山へ行く。そこからローカル電車に乗り換え新郷駅(にいざとえき)まで3時間かけて里帰りをしていた。

無人駅の新郷駅には駅開設の石碑が立っていて当時村長だった祖父の名が刻まれている。駅前からバスに乗り10分ほど経つとようやく祖父の家というか、長谷部家の土地に

もっとみる