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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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#仕事

カジュアルに飛び込め

カジュアルに飛び込め

小学6年生の頃、クラス全員に表彰状を送ろうという話になった。何を表彰したいか、一人ひとりが全員分の内容を考えて、それを担任が取りまとめた。卒業前、わたしが受け取った表彰状は「人が嫌がることもやるで賞」だった。

確かに、わたしは人が嫌がることをよくやるタイプだった。校内祭りでお化け屋敷をしたときには口裂け女役をしたし、クラス劇では老婆役を引き受けた。どちらも誰もやりたがらず、クラスメートや先生に言

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名のある日記帳から、名のないnoteへ

名のある日記帳から、名のないnoteへ

「こんなことを考えています」と書きはじめたのは、小学校一年生のこと。

本来は日記である「あのね帳」に、途中から「しぜんはたいせつ、しぜんをまもろう」と連載スタイルで毎日書き綴ったのが最初だ。

読書感想文も、感想というよりも小論文のようで、子どもらしさはあまりなかったかもしれない。幸いだったのは、「意見します」といった可愛げのないスタンスの文章も、先生方がおもしろがって受け入れてくれていたことだ

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我思い書く、ゆえに我あり

我思い書く、ゆえに我あり

夫の仕事が当面休みのため、言ってしまえばこれまでより時間・体力的には楽なはずの外出自粛期間。(ふだんは90%以上ワンオペ)にもかかわらず、妙に疲れるし夜は眠いし、これは単にホルモンの時期によるものなのか、本当に疲れているのか、自分でもよくわからない。

ただ、書くときの集中力は何となく減だ。いや、確かに減だ。能率が悪くなっているなあと思う。割とインドアで出不精なわたしですらそうなのだから、もともと

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「“きゃりあ”って何それ、おいしいの?」な女子中学生は、アラサーでワーキングマザーになった

「“きゃりあ”って何それ、おいしいの?」な女子中学生は、アラサーでワーキングマザーになった

「卯岡さんはさ、将来キャリアウーマンになるんやろなあ」

滑り止め用の私立高校受験の帰り道、受験したメンバーで駅まで連れ立って歩いている最中に、Sくんが言った。会話の流れは憶えていない。ただ、あまりにもわたしに不似合いなその言葉に、

「ええっ? ないない。あり得へん。いつも思ってるけど、うちのこと買いかぶりすぎやねんて」

と即座に反応した。

彼は、なぜだかいつもわたしのことを「頭がいい」「エ

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専業シュフは無職じゃない

専業シュフは無職じゃない

わたしたちは、生き方のすべてを選べるわけじゃない。

ひとり暮らしならいざ知らず、結婚して家庭を持ち、さらに子どもに恵まれた場合、何でもかんでもすきに人生をデザインすることはできない。経済力は必要だ。少なくとも、家庭単位では。

たとえ「結婚や子育てを選んだ」といわれたとしても、家庭を守るための判断のすべてを「あなたが選んだんでしょ」と外野がいうのはいかがなものかと思う。

これは何も、結婚して家

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「何もない」はスタートライン

うまくいっているように見える人に対して、「あの人だからできるんだよ」と言う人がいる。わたしもそう思ったことがある。「あの人だから」は、確かにその人の持ち味で、わたしにはできないなあと思うからだ。

でも、「あの人だから」を「わたしには何もできない」とする免罪符にしてしまうのは、勿体ないなと思う。

何もない、といってしまえば、多くの人は何もないと思う。ちいさなちいさなきっかけを、そのままにしたか育

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仕事は楽しいですか

仕事はつらいもの。生活のため、つらいことに耐え忍ばねばならないもの。

そんなイメージがあった。子ども時代に、父から植え付けられたものだ。母は「お父さんがお仕事がんばってくれてるから、ご飯が食べられるんだよ」とよく言った。おかげで、お金のありがたみ、お金は仕事をせねばもらえないものらしいということは理解できたけれど、鬱々とした疲れを抱えて帰ってくる父の姿や「子どもはええなあ」という言葉に、当時のわ

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痛みや苦しみは必須じゃない

痛みや苦しみは必須じゃない

苦しさを乗り越えて到達した山頂からの眺めは格別だ。達成感が美しさを際立たせるのだろう。山登りは趣味ではないけれど、あの「やった、綺麗!」という感覚は身体が覚えている。

同じようなことなのか、誰かがハードルを乗り越えた先に何かを成し遂げることに、わたしたちはいたく感動する。投げかけられる「感動しました」「勇気をもらいました」の数々。

代表的なものはスポーツの試合や大会だろう。スムーズに実績を打ち

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一線を越えてもいい理由

一線を越えてもいい理由

数年前に幾度となく聞いた不適切動画の投稿が、またここのところ取り沙汰されている。某回転寿司の次は、某中華系ファミレス。投稿したのはアルバイトだ。

回転寿司の件では、刑事・民事ともに訴えることにしたらしい。これに、「妥当」「当たり前」の声が寄せられるなか、「アルバイトにどこまでの倫理観を求めるの」「社員がいない労働環境のせいだろう」といった意見が混じっているのを見た。

まあ、確かに社員なしで回し

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マイナス評価を基準にしすぎない

マイナス評価を基準にしすぎない

どこへ行っても優秀でいられるほど、できた人間はほとんどいない。もちろん、わたしも例外ではない。

ところ変われば平均点が上下する学校のように、場所によって及第点の位置付けは異なるから、ある場所では合格でも、別の場所では赤点になるなんてことは、当たり前のように起こりうる。



わたしの通っていた中学校は、その当時市内の中学校のなかでレベルが低く、そのなかでわたしは「賢い」部類にいた。「賢い」立ち

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たった5年、されど5年

たった5年、されど5年

先日、次男が5歳になった。生まれてから5年経ったという事実にぞっとする。

この5年はあまりにも早かった。突風のように過ぎ去った5年の間に、わたしは彼に母の役目を果たせていただろうか、と思う。

次男が生まれて半年後に、わたしは子連れでポスティングを始めた。長男がベビーカーで、次男が抱っこ紐。毎週1、2日ちらしを配って、およそ5,000円。その後エリアが増えて1万円ほどになったけれど、微々たる額だ

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描いた「将来の夢」はただの手段

描いた「将来の夢」はただの手段

長男の「将来の夢」は、コロコロ変わる。警察官になりたいと言っていたかと思えば、バスの運転手になりたいと言ってみたりなんかして、昨日も「うーん、オレ何になろっかなあ」と大げさに首を傾げながら思案していた。

わたしも、幼い頃はコロコロ夢が変わっていたなあと思い出す。そのすべてを憶えているのだけれど、これはふつうのことなのだろうか……という問いはさておき。

「何に」なるのか考えるのが、幼い頃の将来の

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「合う場所探し」に依存しない

「合う場所探し」に依存しない

大学を中退後、地元の眼科に勤めようとしたことがある。

「ようとした」からわかるように、結果的にわたしはここで働くことはなかった。2週間設けられていた研修期間で、女社会の悪い面をぶちこんだような人間関係に参ってしまったからだ。

雇用主である院長は正式雇用してくれるつもりだったらしいのだけれど、「ごめんなさい」と断った。食べているのに体重が減ってゆき、2週間で5kg以上激減しまったことも、「あ、無

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「稼ぐ」「儲ける」にそそられない

「稼ぐ」「儲ける」にそそられない

「稼ぐ」や「儲ける」といった言葉が、昔からどうにも苦手だ。

「日本人はお金の話をしたがらない」という言葉を見かけたことがあるのだけれど、話題としてではなく、単語としての苦手感が拭えない。

身も蓋もないけれど、お金は好きだ。あるに越したことはないし、あるから得られるものも多い。高い収入を目指すこと、目指している人にも嫌悪感はない。そもそも、生活し、子を育てるのにお金は必要だから。

この苦手意識

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