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退職金問題を考える

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退職金、いわゆる企業年金、退職一時金の問題点は何か?という点を取り上げていきます。
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#退職金

平均賃金・退職金・企業年金から大企業と中小企業の格差を考えてみる:格差は広がっている?

1. はじめにこちらの記事、多くの方に読んでいただき、ありがたい限りです。

ですが、私の専門はやっぱり退職給付と会計です(確認)。

ということなので、こちらのことも考えていきたいと思います。またほかの日々の動きを追っているのは、一つは授業の題材を取り上げるという意味はありますが、もう一つは、自分の専門性を高めるため、です。

会計は現実と向き合う学問です。ですから、現実、今起きていることについ

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雇用と退職金を考えてみる(2)内定取り消しは雇用の開始?

雇用と退職金を考えてみる(2)内定取り消しは雇用の開始?

諸事情ありまして、少し間が空きました(汗)

まずこのことを考える上で、雇用っていつから始まっているの?

という事から、考えていきます。

というのも、そもそも雇用が開始されないと、退職金は発生しませんよね?

退職金は、賃金後払、功労報酬、生活保障、色々な説があるということは申し上げてきました。

共通しているのは、「勤務」の事由(理由)として給付されるものである。

ことはいかなる説を採用し

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雇用と退職金を考えてみる(1)

雇用と退職金を考えてみる(1)

今日は時間の関係上、少し簡単に。

これまでの退職金に関する話で分かってきたのは、雇用の在り方と連携して考えていく必要があるという事です。

例えば、定年延長と退職金についてですね。

こちらでも触れられていますが、

定年延長が行われる場合に退職金がどのように再設計されるのか?

この点は従業員にとっても関心事でしょう。もちろん企業経営者にとっても

長い間雇用してもらえる、ということになれば、

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退職金はどうあるべきか?:振り返り(1)

退職金はどうあるべきか?:振り返り(1)

退職金の問題点に関して取り上げてきた記事。

この辺りで振り返りたいと思います。

繰り返して申し上げてきたことは、

退職金の原資が多くの企業で保全されていない。

労使関係で退職金の制度は変わるということ。

経営者は退職金を功労報酬と捉えているのに対して、従業員は賃金後払い、生活保障と捉えており、ギャップが存在していること。

の3つにあります。

私が懸念しているのは、倒産に伴い退職金が支

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退職金の給付減額リスクを考えてみる

退職金の給付減額リスクを考えてみる

こちら、凄くよくまとまっている記事があります。

今日は少しトーンは抑えめに退職金の給付減額のリスクについて考えてみましょう。

1. 退職金の種類今一度確認ですが、退職金には、外部拠出されている企業年金制度とそうでない退職金(退職一時金)制度があります。これらを包括して退職給付、退職給付制度と専門的には呼ばれます。

貰える給付形態によって確定給付と確定拠出があります(*私よりもこちらの方やより

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高齢者の働かない権利は確保されるのか?~軽視される退職金問題~

高齢者の働かない権利は確保されるのか?~軽視される退職金問題~

前回までのnoteで

経営者にとって退職金は功労報酬である一方、従業員にとって退職金は賃金後払、生活保障の原資であるというお話をしました。

不幸にもこの認識のギャップが、経営者に資金を保全するという動機づけを低くすることに繋がっています。

とはいえ、あまり退職金問題あまり盛り上がっている気がしません。

それはなぜでしょうか?なぜ、保全されていない企業が多いにも関わらずそれが問題視されないん

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経営者は退職金をどのように設定すべきか?

経営者は退職金をどのように設定すべきか?

経営者は退職金をどのように活用すればよいのでしょうか?

日本における退職金制度は、労使関係で決まるところが大きいです。となると、退職金についてどのように設定するかは、従業員ならびに将来の従業員にダイレクトなメッセージになります。

と考えれば、退職金をどう考える?という点について経営者は真剣に考えてみるのもよいのではないでしょうか?

1. 働き方改革と退職金経営者にとって退職金は何でしょうか?

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経営者の立場から退職金を考える

経営者の立場から退職金を考える

これまでは退職金をもらう方、つまり従業員の立場から退職金について考えてきました。

では、視点を変えて経営者の立場から退職金の問題を考えていきましょう。

1.なぜ経営者の立場を理解する必要があるのか?労使の交渉を行う上で、経営者の立場、考え方を理解しておく、ということがとても大事だからです。

なぜか、それは前回触れたことに関係しています。

前回のnoteで確認した様に、日本の退職金(企業年金

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退職金は労使関係で自由自在に変化する

退職金は労使関係で自由自在に変化する

新型コロナウィルスが猛威を振るってます。こうした中でも「出来る事」をやります。

志村けんさん‥‥ご冥福をお祈りいたします。

私の気持ちを表したトップの写真にしました。

ここでは退職金の問題を取り上げます。

厳密には退職金(退職一時金)、企業年金の二つに分けて、これらを包括する退職給付という概念で考えるべき、なのですが、皆さんへの分かりやすさを重視して、勤務を自由として退職以後に支払われる給

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