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退職金はどうあるべきか?:振り返り(1)

退職金の問題点に関して取り上げてきた記事。

この辺りで振り返りたいと思います。

繰り返して申し上げてきたことは、

退職金の原資が多くの企業で保全されていない。

労使関係で退職金の制度は変わるということ。

経営者は退職金を功労報酬と捉えているのに対して、従業員は賃金後払い、生活保障と捉えており、ギャップが存在していること。

の3つにあります。

私が懸念しているのは、倒産に伴い退職金が支払わられないというケースが増えるのではないか?ということです。

「新型コロナ」関連の経営破たんの発生は全国に広がっている。業種は宿泊業10件(倒産4件、法的手続き準備中6件)、飲食業6件(同3件、同3件)、食品製造業4件(同2件、同2件)、アパレル販売など、インバウンド需要と消費者対象の小・零細企業が圧倒的に多い。
 また、「新型コロナ」の影響で業績悪化が一段と進み、先行きの見通しが立たず廃業を決断するケースなどが増えている。
 経営破たんの企業はサービス業や小売業だけでなく、次第に全産業へ広がっている。国などの制度融資など支援体制は拡充されているが、先行き不透明感が増す「新型コロナ」の影響は経営基盤の脆弱な零細・中小企業を中心に、さらに増える勢いだ。

保全されていない。つまり日本の退職金の支払い原資は、社外ではなく社内で積立られている割合が極めて大きい。

就業規則の状況

退職一時金の支払準備形態

企業年金、つまり外部に資金を出している企業は35.6%、42.7%が退職金のみ。21.7%が就業規則に退職金に関する就業規則を設けていないという状況です。

かつ支払保証制度が設けられていないので、倒産した場合、保証してもらうことは難しい。

日本において退職金制度が整備されていない、理由は雇用との関係を抜きに考えることは出来ないでしょう。

再雇用制度、定年延長により公的年金の所得代替率50%を下支えしようとする中で、退職金問題は軽視されがちです。

確かにずっと働くことが出来れば、退職金にそれほど重きを置いて考える必要はないのかもしれません。一方で懸念されることは、高齢者が引退(退職)した際に十分な老後保障を受けられない、ということです。

高齢者は退職してゆっくりする、ということが許されないことになりそうです。

また非正規労働者との格差も気になるところです。

公的保障の所得代替率が下がり、個人保障の比重が大きくなる中、職場保障である退職金をどのように位置づけるか?

真剣に考えるべき時に来ているのではないか?

そう感じてます。


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