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映画『ペーパーシティ』を観た
https://papercityfilm.com/jp/?lang=ja 5月29日、映画『ペーパーシティ』を観てきた。 1945年3月10日に起きた東京大空襲に関するドキュメンタリー映画である。 この映画…
「おじさん構文」について思うこと
社内チャットで「おじさん構文」を振り回す上司が、無自覚にやってる「4つの問題行動」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84087 いわゆる「おじさん構文」というのは…
映画『ペーパーシティ』を観た
https://papercityfilm.com/jp/?lang=ja
5月29日、映画『ペーパーシティ』を観てきた。
1945年3月10日に起きた東京大空襲に関するドキュメンタリー映画である。
この映画は戦争に関するドキュメンタリー映画でありながら、空襲の歴史的経緯や具体的・全体的な被害状況が積極的に語られることはない。この映画がフォーカスを当てているのは、撮影当時(2015年頃)の現代
千葉さんのツイートを見てつらつら考えたこと
「「無限の命を可能にする」ような産業」。それはおそらく、死に直面し、または死に思いを馳せることで傷ついてしまったあなたにそっと寄り添ってくれる「やさしさ」に満ちたものだろう。自分の無力感を嫌というほど味わう死という現象から、「ケア」という名目で癒してくれる、そうしたコンテンツを生み出してくれる「産業」を成立させるべく資本が駆動する。近い将来そうした傾向が一定の支持を集め、死を直視したい派との対立構
もっとみる『分散脳 バラバラな思考がひとつになる時~自閉症スペクトラム障害の私が語ること,書くことの意味』
本書は自閉症スペクトラム障害の当事者であるみほさんが、自分が体験してきたエピソードを自らの言葉で綴るとともに、当人をサポートする母親と研究者の考察を加え、それらをテーマごとにまとめた構成になっている。記憶、感覚、認知、言語・コミュニケーション、注意・実行機能、構成行為・運動、対人心理と7つのテーマに分けられ、それぞれが具体的なエピソードに基づいて簡潔かつ読みやすく書かれている。
自閉症者は一般的
ライブ後に、改めてMegadethについてつらつらと考える
2023年2月27日、日本武道館でMegadethのライブを見てきた。いまさら言うまでもないミュージシャンシップの高さと、研ぎ澄まされたステージプロダクションが展開された、プロフェッショナルのライブ・ショウとしてただただ素晴らしかった。・・と言うほどの息のつく間もないほど緊張感に満ちた空間だったかといえばそうでもなく、ときおり挟まれるDaveのMCはユーモアと感謝の言葉に満たされていた。「まさに今
もっとみる『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』
「彼らも私たちと同じ、意思と感情を持った一人の人間である」。必ずと言っていいほど、こうした言葉が技能実習生関連の記事や書籍には添えられている。多額の借金を抱え来日し、労働基準法を無視した環境で非熟練労働に従事させられ、逃げ場のない状況で彼らは日々追い詰められている。
著者は、もちろんこうした現状を前提としながらも、しかし「技能実習生はかわいそうな被害者である」といった価値観だけでは彼らの姿を
映画『私のはなし 部落のはなし』を見てきた
知ったきっかけはMonoの音楽。観た場所は横浜にある「ジャック&ベティ」で。
〈良かったところ&個人的な感想〉
この映画では被差別部落と繋がりのある多様な世代や立場の人たちが登場し、彼らの不安や希望、そして思想や信念が率直な言葉で語られていた。それらは決して一様ではなく、当然だけれど一人一人が歩んできた人生に裏打ちされたものだった。
昭和と平成が過去のものとなり、私たちは確かに制度を整え、教育
『そもそも植物とは何か』の感想
フロランス・ビュルガ 『そもそも植物とは何か』(2021)河出書房
本書の主張は、植物は、人間や動物とは決定的に異なった存在であり、人間や動物との比較でもって植物を理解することはできない、というものだ。その主張と対になるのが、ペーター・ヴォールレーベンの『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)に象徴されるイメージである。そこで植物は、人間や動物と共通する知覚や感情を持っており、私たちと同じ生命
元旦に遭遇した〈障害者〉と〈健常者〉のコミュニケーション模様
元日も開店している勤務先にいつも通り出勤。平素と変わらずレジで本を売っていた。そしたら時折見かけるお客さんがご来店。知的障害があるようで、その時々気になっていることを店員に繰り返し質問することが多い。
「一月一日は火曜日ですか?」
今日の質問はこれだった。
少なくとも2022年の一月一日は土曜日で間違いないのだが、どうも彼は「一月一日は火曜日」説を捨てきれないようだ。
私に向かって質問して
パラリンピック中止論について
オリンピック・パラリンピックに関して私は、招致の段階から否定的な気持ちを抱いてきた。福島第一原子力発電所の事故処理は「アンダー・コントロール」だとされ、開催費用は「コンパクト」な規模であり、多大な経済効果が見込めると声高に喧伝されていたからだ。そうしたオリンピックから得られる「メリット」は結果的に、「復興五輪」という文言が消え、総費用は膨らみ、無観客での開催を余儀なくされたことで全て潰えてしまった
もっとみる「おじさん構文」について思うこと
社内チャットで「おじさん構文」を振り回す上司が、無自覚にやってる「4つの問題行動」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84087
いわゆる「おじさん構文」というのは、チャットという新しいコミュニケーション・プラットフォームにうまく適応できなかった(もしくは少数派の解釈をしてしまった)人たち特有の言葉遣いだろう。
多くの人は事務的な文章を主体として、所々に
「DX」とは言うけれど。
中央公論2021年5月号に掲載されている、「コロナ後の「脱ミニ東京・持続可能性都市」戦略」という記事を読んだ。人口減少社会が抱える問題点を、「コロナショック」を奇貨として、持続可能な社会のあり方を議論・提案・実行していこう、とう趣旨である。東京一極集中を緩和させるテレワークがコロナ禍で促進され、ジェンダー格差を是正する具体的な提言がなされる昨今、一つの場所に囚われず過去の因習にこだわらない、人の流
もっとみる「乗車拒否問題」について
「乗車拒否問題」のような激しい論争になると、人は大抵「障害者」と「健常者」の論争のように捉えてしまう。けれども上記2つの記事を読むと、車椅子ユーザーの二人の視点から別々の景色が見えていることがよくわかる。過去のバリアフリー化を求めた闘争との関係性、実際の車椅子ユーザーを取り巻く環境、そしてこれからの日本社会への影響。どの言動がネガティブ/ポジティブな影響となるか、それは当然ながら個々人により
フラットアーサーは2割の蟻?
ふと思ったのだけれど、Flatearthers(フラットアーサー)=「地球は平面だと信じている人たち」は、いわゆる働きアリの法則で言われる2割の蟻なのではないだろうか。
Flatearthersは、最近アメリカで増えている「地球は球体ではなく平面」論を信じている人たちのことだ。
彼らは通常の科学知識一般に懐疑的で、陰謀論的傾向を持っている。(ただ、上記のドキュメンタリーを見ると、自説の地球平面
『ケーキの切れない非行少年たち』に対する個人的な違和感を書いてみる
非常に売れている。発売後に様々なメディア・著名人に紹介されたことで大きく売れ、それらが落ち着き発売から1年半が経とうとしている現在においても書店の店頭で売れ続けているのを(データとしても、実際のレジでも)実感する。前々からその売れ方に対して私は違和感を感じていた。障害を扱った他の本の売れ行きとは違う「勢い」のようなものに気圧されていた。
今になって初めて読み、やはりその違和感は間違っていなかった、