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キャッシュレスの話⑧ 高見の崖から突き落とされる

いらっしゃいませ。
本日も小売王_マグロ大使のnoteにご来店有難うございます。
日曜は〇〇(キャッシュレス)の話。

1999年「地域振興券」の春、
お店では狂乱を避けて淘汰されていく社員たちがいた。
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一方、「振興」されるはずの地域店でも、
差し伸べられた手を取らず、座して死んでいくもの達がいた

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デパートには行けません

事前の触れ込みでは、「地域振興券」で受け取った2万円を握って百貨店や総合大手スーパーに行く人が多いのではないかとされ、食品スーパーやホームセンターなどは高みの見物を決め込んでいたところも多かった。

しかし実際に消費者が地域振興券を握って言った買い物先はいつものお店だった。その名の通り「地域を振興しよう」と、発行市(区)町村内での使用に限られていたことが逆に作用した。

百貨店でパアッと使おうにも、多くの人の居住地の同一市町村内にはそれがないのだ。地方では県庁所在市にしかない場合が多い。

政令指定都市であればさらに「区」にも分けられる。都市だけあって多くの百貨店が集中する商業地があるが、大抵の場合その中心「区」の住民は少ない上、子育て世代の率は低い。

「地域振興券」が配られた15歳以下および65歳以上を有する家庭の多くは郊外住宅地に居住する。
「地域振興券」が配られた多くの郊外住宅地には
デパート百貨店はないのだ。

黙って見ていたら、売上が消えた

イオンや西友などがあればまだいいが、それもない市町村ではいつも通りのお店、食品スーパーやホームセンター、ディスカウンターなどしかお店の選択肢はなかった。

当然、買うものもその店舗の品揃えにから選ぶことになる。
それでも非対応の店は方針を変えないとこが多かった。

実は配布される直前、多くの人が気付いていた。「地域振興券が届いたらどこ行こう」とわが身においていざ考えると、わが市町村にはいつものお店しかない。

どうやら近所のホームセンターは対応していないらしい。この市町村で使えるのは、あの店とあの店だ。ではあそこで○○を買おう、と。

15歳以下を有する家庭を対象に春先に配られたとあって、親としても子供に対して大義名分の立つ、学用品や新入学・進学商品にその多くが使われ、そのほとんどは元々予定されていた出費だった。

政府にとって思惑が外れたということもあったが、自店には関係ないと参加しなかった地域店は、思いがけず日常の普段の需要をとられ、日々の売上を奪われた。

高みの見物を決め込んでいただけなのに
自分の売上が消えてしまった。

差し伸べられた手は、いつまで

業界が「地域振興券」需要を期待し製造や卸が小売店に働きかけていたにも関わらず、対応しない個人店も少なくなかった自転車業界。

「うちは春先はいつもお客さんが多くてそれどころじゃない」
「うちは現金だけでやっている」
「そんなことしなくても客に支持されているから大丈夫」

そう言って、潮流に目も向けない彼らの春には閑古鳥が鳴き、過ちに気付いた後も取り戻すことはできない需要に「量販店は質が、」「アフターが、」と根拠のない批判を繰り返すことしかできなかった。

業界は変わり続ける。

あさひなど専業チェーン展開の本格化、イオンバイクに代表される大手企業の部門分社化及び店舗展開、ホームセンターなどの自転車売り場の拡大、そして街の自転車屋さんの淘汰、電動アシスト自転車の登場もあった。

自転車業界は地域店を守ろうと、TSマーク制度や自転車整備士制度などで量販店との差別化を図ろうとするも、量販店はそれをクリアし逆に優位性を次々と奪っていった。

地域店を守り続けて自らの体力も削いでいった家電業界に対し、自転車業界は、座して動かぬ者たちにいつまでも手を差し伸べ続けることはなかった。

誰かがおかしい、何かがおかしい、と叫ぶだけで身動きしない飲食店や小売業者は、この先次々と変化する社会に呑まれ淘汰されていった。

彼らをもみくちゃにしていく渦
「地域振興券」もその1つとなった。

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