マガジンのカバー画像

roots1*青年期

22
roots・ season1の青年期 少年期からの続きなので8章からになります。
運営しているクリエイター

#人生

【roots】青年期
《23章》清らかな者・2

【roots】青年期 《23章》清らかな者・2

昨日の続きから

ディランの魚はサラダと煮物になって出てきた。
美味しく、ありがたく頂いた。
話は尽きず、笑いは絶えずディランの優しい心にふれて僕たちは幸せな時間を堪能した。
20時頃、ディランが遅くなると道が危ないから帰ると言い出した。僕らは泊まって行って!と頼んだけどまた来るよ!と元気に帰って行った。
急に静かになって、なんだか凄く寂しくなった。

窓に立って外を眺めているとルビーが隣に立っ

もっとみる
【roots】青年期
《23章》清らかな者

【roots】青年期 《23章》清らかな者

次の日オーウェンが運転する車でルビーが越して来た。荷物を小さくして来てくれたみたいだ。
昨日ディランに会った話を二人にするとリリーも一緒に4人で会いに行こう!と喜んでくれた。
オーウェンは帰り、荷解きも一日で終わりそうだなと思った時。ドアをノックする音が聞こえた。
「はい」と僕がドアを開けるとディランが魚を顔の前につるさげて立っていた。
「ディラン!!入って」
「今日は釣ったの?凄いじゃない!お

もっとみる
【roots】青年期
《20章》王として・5

【roots】青年期 《20章》王として・5

昨日の続きから

「僕は弱虫だから。チェイスを見えなくさせてもらうよ。その方が話しやすい。どうせ叩いても切っても君は居なくならないからね」
「人は影から逃げられないってわけさ」ケケケ…
と笑った
「僕は逃げるよ。心に入らせないように出来る。ちゃんと君の悪を見て避ける事が出来るんだ。もう10歳の僕じゃない」
「見た目だけだ。中身はお子ちゃま10歳だろうが」
「違うよ。僕は色々考えて行動出来るように

もっとみる
【roots】青年期
《19章》出会う全ての人

【roots】青年期 《19章》出会う全ての人

11時頃オーウェンとカフェに行った。
ルビーがお店の人に僕の話をしていたみたいで皆にキャアキャア言われた。
少し恥ずかしいけどルビーは嬉しそうだ。
ま、いっか。僕も嬉しくなった。
「いつ見てもライオンさんね」ルビーの声にオーウェンが立ち上がってハグをした。
「ルビー!あぁ、ルビーだ!ルビーだ!」オーウェンも嬉しそうだ。僕は2人を見て心から幸せだなと噛み締めた。
「まだ仕事があるのよ。お迎えに来ちゃ

もっとみる
【roots】青年期
《18章》心の中に・2

【roots】青年期 《18章》心の中に・2

「決まりで、私を妻にしないといけないと思っているんだろうけど。好きになろうとしないで。ちゃんと私を見ることが出来る?」と心細そうに言った。
「昨日、ルビーを見た時に。どうしようもなく胸が苦しくなって、ドキドキが止まらなくて。僕は君を探してたんだって判ったんだよ」
僕は僕の中の精一杯の本当をルビーに聞いてもらおうと必死に言葉を繰り出して頑張った。
「ルビーも。僕が君へ辿り着けずに今日まで待たせてしま

もっとみる
【roots】青年期
《18章》心の中に

【roots】青年期 《18章》心の中に

水を持ってルビーがやって来た。
「あ、えっと、あ、カフェ・オ・レと。あ、お、おすすめありますか?」
僕は焦ってシドロモドロだ。
ルビー笑って自家製のハムサンドをすすめてくれた。
「じ、じゃあ、それを」
「はい、少しお待ち下さい」と笑顔で去っていった。ダメだ!勇気が出ない!頭を抱えてテーブルにうつ伏せてるとカフェ・オ・レの香りがしてルビーが立っていた。
急いで体を起こして、テーブルを腕でワサワサ拭い

もっとみる
【roots】青年期
《17章》ここから

【roots】青年期 《17章》ここから

日は昇り、外を眺めて僕は途方にくれた。
ドアをノックする音。
「はい」力なく答えた
「デイブ!俺だけど」オーウェン!
ホッとしてドアを開けた。
持って来てくれたサンドイッチとコーヒーを一緒に食べた。少し生きていると思えた。
「ルビーは?」「ミアだったよ」
「ミアは?」「出て…行ったよ」「そうか…」
2人ともわかり切っている事を確認する様に話した。
「僕が勝手にルビーだと思ったんだよ」
「ミアがルビ

もっとみる
【roots】青年期
《15章》旅

【roots】青年期 《15章》旅

2度目のペリカンまで再び書き上げた。
僕はオーウェンと出版社を巡っていた。

時折、エイデンの話もしたけど新しい情報も探すあてもなく時間だけが過ぎていた。

今日は僕が調べていた3つ目の出版社。
ファンタジー本を出しているフォールズ出版。
とりあえず読んでくれるとのことで原稿を渡してお願いをして建物を出た。
2人で少し休もうと久しぶりにペリカンの店に寄った。

すっかり、何も起きずにいる事が僕たち

もっとみる
【roots】青年期
《14章》オーウェンと僕

【roots】青年期 《14章》オーウェンと僕

僕の旅に出てくる人もちゃんと自分の人生を生きているのはわかってはいたけど。
それぞれに旅が存在しているとは思っていなかった。
自分がこの旅の王様のような気になっているのをキツネの旅で正したつもりだったのに。どうして自分が主人公だと思ってしまうのだろう。
いてくれる人に感謝しなくてはいけないとまた学んだ。
オーウェンの旅に出てくる僕は役に立っているのだろうか。
せめて僕の旅に出て来る全ての人の命を守

もっとみる
【roots】青年期
《13章》ルビー

【roots】青年期 《13章》ルビー

「お前たち結婚写真は撮ったのか?」
オーウェンが突然言い出して僕たち2人はびっくりした。「撮ってないけど」僕がシドロモドロに答えるとオーウェンは「いつも3ヵ月くらいしたら撮ってるんだ。ルビーの花嫁姿を残しておかなきゃな」とルビーに話を振った。ルビーは
「いいの、いいの。恥ずかしいでしょ」と僕に言った。「見たいよ。花嫁姿」と答えると
「よし!決まり。週末な」とオーウェンが用意してくれるとの事だった。

もっとみる
【roots】青年期
《11章》小さな炎

【roots】青年期 《11章》小さな炎

朝7時に起きて、2人で朝食をたべ。
ルビーは道路向かいの花屋へ出掛ける。
僕は家で、掃除洗濯。
そしてこの旅を書き続けている。

お昼過ぎ、電話が鳴った。
「ハロー」
「ドレイク書房ですが、デイビッドさんで?」
「はい!僕です」
「読みました。なんだか不思議な話ですね。続きはあるんですか?」
僕はドキドキが口から溢れて聞こえてしまうんじゃないかと胸に手を当てて深呼吸した。
「はい、今も書いてます」

もっとみる
【roots】青年期
《十章》それぞれの仕事

【roots】青年期 《十章》それぞれの仕事

僕は1度目のペリカン兄弟までの原稿を持って出版社を訪ねた。
新聞に求人広告を出していたので住所を書き写して直接足を運んだ。
ドラゴンマークのファンタジー小説を扱っている「ドレイク書房」
ドラゴン書房って事。名前が気に入った!

ドアをノックして中に入ると古い紙の匂いがした。瞳があのドラゴンに似た年配の男性が近づいて来て「何か?原稿?持ち込み?」と聞いて来た。
「は、はい!これはまだ序章で長い長い話

もっとみる
【roots】青年期
《九章》僕にとっても
ルビーにとっても

【roots】青年期 《九章》僕にとっても ルビーにとっても

「コーヒーの良い香りが部屋に漂ってホッとする」マグカップを鼻に近づけてボソッと呟いた。
3人でこの部屋にいる事を考えると不思議過ぎて笑い出してしまいそうだ。
「歳取ったな」とオーウェンが言った。
「君はライオンっぽいよ」と僕が言うとハハハと笑って「俺と君は親友なんだ。もうずっとずっとね」とオーウェンが優しい顔で僕を見て言った。
僕が頷くと。オーウェンは
「で、俺とルビーも友達だ」な!とルビーに言っ

もっとみる
【roots】青年期
《八章》新しいくらし

【roots】青年期 《八章》新しいくらし

目が覚めると僕の隣に寝息が聞こえた。
暗くてよく見えない。
白いワンピースが微かに見える。
ルビーだと思った。

ここはどこだろうとキョロキョロ見渡してみた。
一度目の旅では花園の後はまた廊下に戻っていた。でもあの廊下では無さそうだ。
あの古い洋館の壁紙に染み込む匂いはしない。
目が暗さに慣れてきて部屋の中だとわかった。

細く光がみえる。
側へ行くとカーテンから漏れる光だった。
そっとカーテンを

もっとみる