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【roots】青年期 《九章》僕にとっても ルビーにとっても

「コーヒーの良い香りが部屋に漂ってホッとする」マグカップを鼻に近づけてボソッと呟いた。
3人でこの部屋にいる事を考えると不思議過ぎて笑い出してしまいそうだ。
「歳取ったな」とオーウェンが言った。
「君はライオンっぽいよ」と僕が言うとハハハと笑って「俺と君は親友なんだ。もうずっとずっとね」とオーウェンが優しい顔で僕を見て言った。
僕が頷くと。オーウェンは
「で、俺とルビーも友達だ」な!とルビーに言った。「そうなの?」と僕がルビーに聞くと恥ずかしそうに「実はね。私はデイブに誘われないとココへは来られなかったの」と答えた。
「ルビーはデイブに言わずに連れて来てもらうって決まりなんだ。運命は抗えない。君たち2人はいつも手を取り合うと決まっているって事さ」
オーウェンの言葉に驚きながらも平静を装ってココは決めなきゃ!と
「あの時僕が選んだからなんだね」と精一杯かっこつけた。すぐさまオーウェンに
「まぁ、それだけじゃないんだ。2人はずっとずっと一緒だ。それが決まりなんだよ」と言われて
気取った事がすっごく恥ずかしくなり立ち上がってコーヒーをおかわりしようとしたら、ルビーに座るようたしなめられた。
オーウェンが「今回は髪が短いんだな」とルビーに言うと「たまには良いでしょ。好きにしても」とルビーが立ち上がり3人分のコーヒーを入れに行ってくれた。
「今までの旅とは状況が違って戸惑ってるよ。
僕は大人になってるし…生活は?働いてるの?」
と僕が言うとオーウェンは体の向きを僕に向き変えてうなづいた。
「普通に。ここで生活して行くんだよ」
「こ、これから?」
「沢山手にしただろ?それで自分らしく、仕事も決めて。ルビーを愛して家族を作って。歳を取って行くんだ」オーウェンは何かを言わない様にしていると感じたけれど。真剣な瞳からまずは今を受け入れるべきだと思った。
「なるほど、どうするかな。まずは仕事だよね」
ルビーが「私が働くわ」と言った。
「いや、僕が働くよ」それをみたオーウェンが
「じゃあ、共働き決定だ」と笑った。
「オーウェン、もしかして。この状況は何度目かなの?」さっき感じた事を素直にきいてみた。
「デイブ、そう言うことを言ったらつまらないだろ?君は君のままでいて欲しいから。余計なことは考えないで楽しんで探し続けてよ」
オーウェンは上手く煙にまいて、僕を黙らせると
「じゃ、また来るよ!」と軽やかに帰って行った。
*****
新聞の求人広告欄を広げて2人で眺めた。
ルビーはすぐ角にあるフラワーショップで働きたいと指差した。
「いいね。向いてる」と僕が言うとルビーはカーテンを開けて窓からフラワーショップを眺めた。
「私が仕事を決めて来るから、デイブはゆっくり考えたら?」とルビーが言った。
僕もどこかに雇われて仕事をするという事と中身が10歳のままで働く事への不安がなんとも気になって。
「この旅を本にしてみようかな」と言った。
「名案だわ!」と喜んでくれた。
次の日、ルビーは向かいの花屋に仕事を決めてきて白いバラと共に帰って来た。
花瓶に花を生けているルビーを見て
「あの日会った君の花だね」と僕が言うと
「1度目に意地悪をしたから、もう会いに来てくれないと思っていたのよ」とルビーが言った。
「ちゃんと会いたいから行ったんだ」
「そうだったわね」ルビーはスッとキッチンの方を向いて料理を始めて、野菜を切りながら
「今日、どこまで書いたの?」と聞いた。
僕はカウンターに身を乗り出して
「ペリカンの少し前まで!まだまだなんだ」と嬉しそうに言った。
「出版社に持って行くの?」
「そうだね。ペリカンまで書けたら行ってみるよ」
僕のワクワクした様子を見てルビーは小さく何度かうなづいて。
「手伝える?」と聞いてきた。
「うん。」その夜は2人で夕食を作って食べた。

to be continue…

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