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【roots】青年期 《23章》清らかな者

次の日オーウェンが運転する車でルビーが越して来た。荷物を小さくして来てくれたみたいだ。
昨日ディランに会った話を二人にするとリリーも一緒に4人で会いに行こう!と喜んでくれた。
オーウェンは帰り、荷解きも一日で終わりそうだなと思った時。ドアをノックする音が聞こえた。
「はい」と僕がドアを開けるとディランが魚を顔の前につるさげて立っていた。
「ディラン!!入って」
「今日は釣ったの?凄いじゃない!お祝いに来てくれたの?」と嬉しくてハグをして質問攻めにした。ディランは嬉しそうな顔で困ったフリして
「おい!おいっ待て待て。ルビー!挨拶させてくれないか?」と玄関で叫んだ。
「はーい!」ルビーが奥からかけて来た。
「まぁ、こんにちは。はじめまして」ニッコリ笑って手を差し出した。ディランは手を取り
「私はディラン。デイブとは古い付き合いでね。
今日はお祝いに寄せてもらったんだ。ルビー、この森へようこそ」と言った。
「お会いできて光栄です。早速に来て下さるなんて嬉しいわ」
「噂通りの美しさだな」とディランがニッコリ笑うと「ディランはお話上手なのね。あら?お魚も?一緒に食べて行ってね!」とルビーがディランの腕を取って中に入って言った。
すっかり意気投合してる。
「お茶いれますね。ここに座って」とソファーをポンポンと叩いてディランを座らせた。
「僕の出る幕がない」とボヤくと笑って
「デイブはここね」とディランの横をポンポンと叩いてお茶を入れに行ってしまった。
僕は座りながら「今日は釣ったの?」
「もちろん。腕は良いんだ」と力コブを叩いた。
「ありがとう。一緒に食べようね」と言うと
「もうルビーに誘ってもらった」と自慢げに言って笑った。2人で笑っているとルビーがお茶を運んで来た。
「仲良しなのね」と嬉しそうに言ってくれた。
「ルビーほどじゃないさ」とディランは笑ってお茶を一口飲むと
「今日来たばかりと言う事は森の中へはまだ入ってないんだね」と言った。
「そうです。奥には何があるの?」ルビーが答えると
「デイブもか?」とディランが聞いた。
「うん。湖までかな」と僕が答えると
「それなら、明日にでも行ってみたら良い。少し歩くが行く価値がある」と言った。
何?何があるの?と詰め寄ったけど、
「行ってのお楽しみだな」と嬉しそうにディランは言うだけ「きっと美しいものだね。ディランは綺麗なものが好きだよ。そうでしょ?」と顔を覗きこんだら「つまらなくなるだろ〜?全くデイブは。なぁ?」とルビーに目配せして笑った。
ディランはルビーが気に入ったみたいで僕は嬉しくなった。


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