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【roots】青年期 《23章》清らかな者・2

昨日の続きから

ディランの魚はサラダと煮物になって出てきた。
美味しく、ありがたく頂いた。
話は尽きず、笑いは絶えずディランの優しい心にふれて僕たちは幸せな時間を堪能した。
20時頃、ディランが遅くなると道が危ないから帰ると言い出した。僕らは泊まって行って!と頼んだけどまた来るよ!と元気に帰って行った。
急に静かになって、なんだか凄く寂しくなった。

窓に立って外を眺めているとルビーが隣に立って
「人を包むパワーねある人ね。なんだか寂しくなっちゃった」と同じ気持ちを口にした。
「うん。ルビーがいてくれて良かったよ」と手を繋いだ。
「明日、行こうね。絶対」とルビーが言った。
「疲れてない?沢山歩くってよ」と聞くと
「大丈夫よ!楽しみだもの」と微笑んだ。
じゃ!早く寝ましょうと背中を押して風呂場に連れていかれた。
1人湯船の中で「森の奥か…迷わないかな」
「!!」「僕の旅なんだから迷うわけないのか」
と疑問とヒラメキを1人で繰り広げ笑ってしまった。
*****
リビングに戻るとルビーに「1人で笑ってたでしょ。さっきまで寂しくて泣きそうだったのに〜」とからかわれた。
それから、すぐに寝て。朝お弁当を作って家を出た。

森を抜けると広がる湖の美しさと静けさに感激して、もっと奥へと進んだ。
これまでとは違う花が咲き、鳥の声が大きくなった。
あの花園へ出たんだ。
「ここ、私の花園…」
「やっぱり!そうだよね」
「あ、あの東屋。ミアと話した…」と僕が言うとルビーが走り出し躊躇することなく座って。あの日僕が座った椅子をポンポンと叩いた。
僕はそっと座った。
すると一瞬で美しい妖精の様な銀色の髪の少女と少年になった。
「ルビーはじめまして。僕はデイビッドです。君に会いに花園へ来ました」
「知ってるわ、入り口で大声で挨拶していたもの」とクスッと笑った。
僕はルビーの両手をぐっと掴んで「ルビーだよね、間違ってないよね」と確認すると「大丈夫よデイブ」と手を握り返した。
そのまま2人でスッと椅子から立ち上がると25歳の僕らに戻った。
ルビーはTシャツにジーンズ、スニーカー。ポニーテールの似合う女性だった。
「こうして会えてたら少し違ったかしら?」
「いや、これで良かった。ミアと友達になれていなかったら、僕はあの時死んでしまったはずだから」
その言葉をルビーはしっかりと飲み込んで
「そうね。そうだわ」と言った。僕はルビーの肩に腕組んで「さぁ行こう!僕が変わらないか見に行こう!!」と元気よく言うとルビーはうなづいた。
花園は奥まで変わらずに美しく手入れがされていた。
これはルビーの美しさを表しているんだなと思った。

水の音が少しずつ大きくなってきた。
まだ見えないけれど。
豊かな流れが迫って来るのを感じた。
一足毎に涙が溢れて来た。
爆音と共に大きな滝が目の前に現れた。
湖の水も澄みきっていて小さな魚も水草の揺れもよく見える。
「良かった。僕は大人になって濁らせてしまったんじゃないかと心配だったんだ」
「デイブはいつまでも6才だもの。」と笑ってくれた。僕の目を見て「デイブは清らかだから私たちを守れたの。戦いに勝ったのよ」と言って僕の手を取った。
湖の中にそっと繋いだ手を入れると水草の小さな花が咲いた。ルビーはしゃがんだまま上を見上げて「見事な流れね」と目を細めた。
「僕が清らかだからね」とふざけると鼻をつまんで笑った。

ここへルビーと来れると思ってもみなかった。
この滝を2人で眺めているこの時が間違いなく僕の人生で今1番幸せだと心から思った。
ただ真っ直ぐに落ちてゆく豊かな水をルビーと眺めた。

to be continue…
*******

この後、デイブたちはどう暮らして行くのか。全てを是非ご一緒に💕
rootsの旅はまだまだ長く果てしなく続きます😊🍀

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