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esoraの自画自賛作品集

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高校生の僕が、今まで投稿してきた100以上の小説の中から、書いてて「天才かもしれない」と天狗になったり、個人的に好きなものを集めました。随時更新します。
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記事一覧

【短編小説】忠実AI

【短編小説】忠実AI

私に博士からの連絡があったのは、つい今朝。

『人間型AIロボット発明、至急来られたし』

昨年、人間と瓜二つで忠実に再現されたロボットを注文し待ち侘びていた。すぐに身支度を整えた私は左右違う靴下にも気が付かずに家を出た。

博士の研究室に到着するまでの間、私は想像した。

朝。カーテンの隙間から差し込む陽射しに促されて眼を醒まし、リビングに向かう。そこには既に、温かいご飯と味噌汁、そして焼き鮭。

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【短編小説】王子様への惚れ薬

【短編小説】王子様への惚れ薬

 喧騒な人混み中で、私は頭巾を深く被り微笑んだ。手には、手作りのチョコレートを入れたバスケットを握って。

大歓声の中で白馬に乗り笑顔を浮かばせる王子は、相変わらず麗らかに陽の光を浴びた。熱心な職人もその一度だけは手を止め、視線をそちらに遣った。

 この帝国では、隣国との争いに勝利したため数年前から経済の成長期を迎えている。この王子の先代が数々の偉業を残し、街は栄え、市場は活気を取り戻し、広場の

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【54字短編小説】取扱注意

【54字短編小説】取扱注意

「よし!これで全てを溶かす薬が完成したぞ!」

天井を仰ぎ歓喜する教授の手元で、薬は容器を跡形も無く溶かした。

【短編小説】幽霊のもくろみ

【短編小説】幽霊のもくろみ

薄暗い部屋で、一人の男が胡座を掻いて座り込んでいる。真っ黒のテレビをじっと睨んでいたが、突然砂嵐が映った。何かしらの不吉を暗示させるのは男にも何となく伝わっている。

そっと肩に力を入れた。すると、砂嵐の激しさは先ほどよりも増し、男はごくりと唾を呑んだ。

砂嵐の真ん中あたりが裂け、黒く長い髪がゆっくりと現れたかと思えば、悍ましい女の体が男の眼前まで迫って来た。掠れた声は、明らかに生を受けた人のも

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【短編小説】宇宙人との関係を噂されてる研究所Kの職員だけど何か質問ある?

【短編小説】宇宙人との関係を噂されてる研究所Kの職員だけど何か質問ある?

私は、ネットやテレビ番組でよく『宇宙人を隔離し研究を進めている』なんてオカルトめいたレッテルを貼られている研究所Kの職員です。

ここでは、幾つかの質問に答えていきます。まず最早これが本題的なところはあると思うんですが……

Q.宇宙人を隔離して研究してるって、本当なの?

A.嘘です

これに関しては、真っ赤な嘘です。うちの研究所は、宇宙関連の研究で度々物騒な問題やらで皆さんを驚かせていますが、

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【短編小説】動くな

【短編小説】動くな

物静かで、昼間でも人通りの少ない住宅街。ある一軒家のリビングで、一人の男が二回りほど年上の女を、締め付けるような目付きで睨んだ。

「動くな……」

思わず開口したままで身体をとどめていた女は、背丈の高い男の顔を座りながら見上げ、密かに心拍数が上がっているのを感じていた。

「いいか、動くんじゃねぇぞ。さっさと金出せ」

女は男の言葉のなるままに頷いた。女は机の下に置かれた革製のバッグから財布を取

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【短編小説】提灯

【短編小説】提灯

僕は、若き深海魚の研究者だ。これまでにも幾つかの論文を発表し、界隈では『若き天才研究者』などと評価を受けている。自分で言うのも何だが、ルックスもそこそこ良い方だと思っている。それ故か、新聞でも『イケメン博士』なんて記事で掲載されることもしばしばある。悪い気はしない。

ちょうど、僕とキャラが被っていた海洋学の博士が業界から姿を消していたので、それによる押し出し的な面もあったのだと思う。

一頻りの

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【短編小説】叶えられない願い

【短編小説】叶えられない願い

私は神だ。どんな願いでも叶えてやれる。

最下位に沈んでいた球団を、逆転サヨナラホーム

ランを皮切りにトップにまで押し上げた。

大物になりたいという俳優を目指す青年を、

今やハリウッドの世界で活躍するほどビッグに

してやった。

今日は、とある2人組がやってくる。なんでも、

他の神々をお得意の頓知で困らせた曲者らしい。

決して叶えられない願いというやつだ。しかし、

神の中でもトップク

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【短編小説】サ活

【短編小説】サ活

サ活。それは、本格的にサウナを楽しむことで

ある。最近流行になり、『サウナー』と呼ばれる

サウナを楽しむ人が続出している。このビッグ

ウェーブに、乗らない手はない。早速サ活の

工程の確認だ。何でも、その工程を終えた後の

気持ち良い時間を「ととのう」というらしい。

とても楽しみだ。まず、かけ湯で汗を流すなどの

準備を済ませた後、ついにサウナだ。なんでも、

目安としては5分ほど、慣れた

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【短編小説】水たまり

【短編小説】水たまり

「お、めっちゃデカい水たまりある」

先日の雨の影響か、僕の目の前には大きな水たま

りがあった。でも、別に飛び越えられないという

わけでもなく、「水たまり」という括りの中では

かなり大きい方だ。僕が棲んでいた地域は、乾燥

帯で、雨は滅多に降らなかった。だから、水たま

りすら、見たことが無かった。それでも、この温

帯の国に来てからは、よく見かけるようになった

のだ。僕は、この大きな水た

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【短編小説】恋愛詐欺師

【短編小説】恋愛詐欺師

僕は人生の勝ち組だ。歩いているだけで沢山の

人がメロメロになり、貢いでくれる。誰よりも良

い夢のような人生だ。そこで僕は、恋愛詐欺師に

なることにした。そのままのんびり暮らしてれば

困ることもないんだけど、こうも完璧な人生だと

時々刺激が欲しくなるものさ。僕は、キリッとし

たイケメンというよりかは、ゆるっとした、いわ

ゆる『あざとい』というやつだった。世間では、

僕のようなやつを『

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【短編小説】面接

【短編小説】面接

朝日は、私の瞼を容赦なく突き刺す。私は、嫌々

目を開けた。

8:50

「あぁ、50分か……50分!?」

私の普段の出発時間は9:00だ。時計を見て、最初

は動じなかったが、段々とことの重大性に気が付

いた。いや、気付きたくなかったのか。今日は、

私が人生初めての『面接』なのだ。両親が会社の

重役だったこともあり、面接なんかせずに入社す

ることが出来ていた。しかし、まぁ、色々あり、

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【短編小説】大好きなキミへ

【短編小説】大好きなキミへ

「ゴメンね。もうお別れなんだ」

「え?」

それは、突然のことだった。キミからの、あまり

に急すぎる別れは。僕の頭は、内も外も真っ白に

なった。それでも、僕は分かっていたのかもしれ

ない。
 
「そっか」

僕の口は、今生の別れとは思えないほど、冷たく

酷な返しだった。もしかしたら、別れだと思いた

くなかったのかもしれない。それでも、キミとの

別れは刻一刻と迫っていた。

「でも、ど

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【短編小説】いつもの

【短編小説】いつもの

歌舞伎町の路地、ボサボサの猫が懐くマスターが

営むバー『皐月』。「いつもの」と言える隠れ家

的な穴場スポットが欲しかった私にとって、これ

ほど良い店は無いと思う。外観は、敷き詰められ

たレンガを、蔦がまとうレトロな感じ。内観は、

オシャレな絵画が少し錆びた額縁に収められてい

る。常連客に聞けば、売れない画家の玉子の作品

を、マスターが買い取っているのだとか。まるで

ドラマやアニメに

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